見出し画像

2021夏アニメ総括感想

 どうもです。

 初めに2021夏アニメお疲れ様でした。

 今クールの満足度は、正直…まぁまぁです(笑) ずっと面白いのもあったけれどね、全体で見るとうーん。って感じです。ただ、見てた本数が今迄で一番少ないのもあって余裕持って見れたのは良かったかな。一本一本丁寧に楽しめた気がしてて、そーゆー意味では満足してるかも。

 では早速、以下から総括感想です。
完走した全10タイトル分になります。一部だけでも読んで頂ければ幸いです。※タイトル名をクリックすると各話感想ツイートまとめたモーメントに飛べますのでよければ※



1.不滅のあなたへ 2クール目

 春クールから継いで13話~20話の感想になります。感覚的に駆け足だなと感じた展開はあったけど、概ね満足。フシと云う存在を通しての死の向き合い方について限定的に評価するなら、素晴らしかったと思ってます。

 フシが次第に責任感を持ち始めて、それに対して彼なりの覚悟(答え)をどう示していくのか。他人の人生―命の責任はやはり計り知れないモノだったと思います。1クール目で亡くなってしまった存在の代わりに自身が生き続ける事で人生を続かせた。でも、そもそも死を自分から遠ざければ良いと関わりを避けたり、自力で護り続けたりする術を選ぶ。それでも護り切れない存在(トナリの仲間等)が出てきた事で一周回って、フシ自身が取れる選択肢は、死ありきの救いしかないと…無力感を突きつける惨い展開でした
 ただ、それでも救いであると捉えていた唯一の存在がハヤセだったと思うんですよね。自ら彼に取り込まれる事を望んでいた訳で。ここからは憶測が混じりますが、彼女はフシに魅入られたと同時に、まだ顔が美しかった頃に戻ってそれを永遠不変の存在として世界に残したかったんじゃなかと思うんです。醜い姿や穢れた躰を拒んでいたので。嫉妬もあったし、ある意味女性らしさを漂わせてはいた。ただ、これもフシは断る。直接殺しはしない。どこまでいっても死を避けていました。

 そして最終話、避けられない寿命による死に直面する。最後にこれを持ってくる事で段階的に死がどういうモノかを彼に理解させ、確実に腹落ちさせた処が本当に良かった。これしかないよな、っていう。死を考える事は、生きる事を考える事であり、ピオランの云う"満足な人生"に近づくには絶対不可欠だと。死を真の意味で経験できる唯一の存在であるフシが死を避けてはある意味本末転倒。自らの死に対しても敏感になり、自分を大切にする事で他人からも大切にされる存在になって欲しいなと思います。(最終話ラストなんかグレてたけどな…)

 まとめると、死を経験できる存在であるフシを通して、死生観と生き方を最後まで描き切った作品でした。当たり前っちゃ当たり前だし、考える必要ないと言われればそれまでなんだけど、だからこそ、この題材をテーマに目を背けず力強く描いてくれた事を評価したいし、自分は好きでした。続編も楽しみにしています。ありがとうございました。


・ベスト話数【第19話 さまよう殺意】
脚本:藤田伸三
絵コンテ・演出:むらた雅彦
作画監督:山川拓己、松本健太郎



2.転生したらスライムだった件 第2期 第2部

 今作の悪い処と良い処がハッキリ表れてしまったなと云う印象です。1クール目の方が全体的には満足してた気がします(笑) 1クール目以上に最終回までの着地が手に取る様に見えてしまった所為で2クール目はその道中が退屈だったのかもしれない。

 悪い処は言わずもがな、無限会議パートですね。いつまでやるんだ…ていう。会議内容自体の必要性はあるんだけど、アニメとして画面の動きの面白さがまるで無いのが本当に致命的でした。その場の雰囲気を伝える様な演出や、キャラの細かな動きの表現があればもう少し退屈せずに話を聴けたのになとは思います。できている瞬間もあったから余計に。

 良い処はクレイマンへの徹底したヘイト集めと、戦闘描写(主にSE)かな。しつこいくらいにヘイトを溜めさせて、最後にボコボコにするのはお決まりですが、しっかりやってくれて良かったです。他の魔王からもよく思われていないのが好感でした。大所帯での作戦になった訳ですが、リムルが仲間の想いを汲み取って作戦組んだ事がそのまま対戦相手への綺麗な動線になっていたのも良かったです。ヴェルドラの秘密兵器感とかも。
 戦闘描写は動きやエフェクトは1期の方が派手だった記憶あるんですが、音響効果―SEに関してはここまでずっと文句なしのクオリティで大満足しています。小山恭正さんは、派手な処は派手に、ここが魅せ場!っていうのを映像にぴったし乗ったSEで感じさせてくれるので本当に好きです。そのキャラの、その魔法専用の音作りにもなっているので、新しいのが出てくる度に興奮できました。

 ストレスフリーな物語が売りなのに、ストレス溜まった部分もありましたが、何だかんだキャラが好きで、特に紫苑の活躍(料理、戦闘、秘書の仕事)を沢山見れたので満足してます(笑) 続編映画も決まり、先述した音響周りの良さを劇場で体感できるのは楽しみです。ありがとうございました。


・ベスト話数【第47話 起死回生】
脚本:筆安一幸
絵コンテ:清水聡
演出:名和宗則
作画監督:小菅和久、牛ノ濱由惟、大野勉、吉田竜一郎、菅原裕幸、八木澤修平、上村牧子、関口雅浩、島田英明、髙井里沙



3.小林さんちのメイドラゴンS

 流石の京アニクオリティにまず感謝ですし、メイドラゴンも数年ぶりに楽しめて満足しています。話数によってかなりシリアスっぽいのもあれば、ゆるい感じのもあって、「今日はどっちだ…」と毎度変な緊張感持ちながら見てた気がします。あと、今期の中では感想を一番書きづらかったかもしれません(笑)

 単話の中で2,3本エピソードが入るけど、それらに共通的なテーマが見出せて、落とし処としてもジーンとくる様な感じの時は良かった。でもそうじゃない時は、自分の見方含めて消化不良気味で終わってたなと。普通に癒しや笑い要素、アニメーションの良さのみで満足できてるから然程気にならない回もあったが、雰囲気だけでなく、スケール感とかギャップが激しければ激しい程一瞬戸惑いがあったという感じです。5話と9話なんかは繋がりあるのに、他エピソードで間が空いてしまったので少し違和感を感じなくもなかったです。逆に4話や10話は綺麗にまとまっていて特に好きですね。

 イルルの事情から始まった今作ですが、トールの事情に移っても、「個人と団体(家族、地域、種族)」についての囚われがずっとあったのかなと思います。自身についても、トールでありドラゴンであるし、小林についても、小林さんであり人間である。置かれた環境や状態を加味するばかりに認識や考えが中々定まらない葛藤の様なものは、複雑に小難しく考えざるを得なかったですが、最終話で一周回って得た結論を小林の口から言ってくれたので、その点はとても良かったです。また、トールの、気持ちを抑えきれずに行動して後悔していた経験が、後から目的や結論を掴めるなら別に後悔じゃないかもしれないと、笑顔を魅せてくれて更に好きになりました。

 嬉しさと戸惑いと、純粋さと複雑さと、色々あったけど満足しています。2期に限定していえば才川がこんな面白かったか?と毎回笑わせて貰いましたね。細かな仕草や表情で心を映し出す描きも終始流石で隅々まで見たいと思わせてくれました。濃密な時間をありがとうございました。


・ベスト話数【第10話 カンナの夏休み(二か国語放送です!?)】
脚本:西川昌志
絵コンテ・演出:小川太一
作画監督:引山佳代、熊野誠也



4.ひぐらしのなく頃に 卒

 どうなるのか分からない一定の緊張感で最後まで楽しませていただきました。本当に面白かった。業のシーンの使い回しや、それいるのか?っていう間延びしてる印象も無くは無かったですが、それを補って余りある程には満足しています。

 視点が変わって業では視えていなかった部分が視えてくる、物語の全体像を把握させる描きは旧作から変わらずノベルゲーらしい手法で好みでした。紗都子の途中で改心しないかな、っていう希望を打ち砕くかの様な作戦、発症、惨劇の連続も悲しくはあるんだけど、それ以上に彼女の覚悟の表れの様でどんどん引き込まれました。躊躇や抜かりが全く無かったのに、繰り返す回数が増えるに連れて生まれる余裕と、梨花の気付きが蓄積されて上手い事ハマっていたとも思います。一瞬の隙や綻びもちゃんと描けていましたし、注意深く見ると見所が多かった。

 エウアに関しては高笑いキャラとして、次元を上げた神視点として、魅力的に機能していました。羽入に呆気なくやられてしまった事だけ少し不満ではありますが、紗都子ほど執着が強い訳では無かったのかもしれません。羽入があうあう~じゃなくて、カッコいい感じだったのも良かったですね。あと、羽入に限らず紗都子と梨花もだけど、か弱そうな見た目に見合わない剣を振り回しているのは好きです(笑)

 集落特有の伝染だったり、常に蔓延してる土台だったりは、業・卒と変わらずにあって、その上で肉弾戦が成り立ってると考えるとそんな違和感は無かったんですよね。逆にラスト2話の尺で収めるならこれしかないよなとまで思えた。成長した姿も改めて好きだなと。3クールと長い間ありがとうございました。


・ベスト話数【第14話 神楽し編 其の参】
脚本:ハヤシナオキ
絵コンテ:高橋丈夫
演出:さんぺい聖、池端隆史
作画監督:佐々木一浩、鶴田愛、金城優



5.白い砂のアクアトープ

 連続の2クールの内の1クール目は、まぁまぁかなと。最初と最後は良かったです。不満点としては、がまがまが閉館確実というのを序盤に匂わせてしまったが為に、くくるに寄り添いづらい、感情移入しづらい構造になってしまった事です。

 くくるの居場所でもあるがまがま水族館を何としてでも残したいという想いを中心に描いて、それでもやっぱりダメだった…と響かせるなら、中盤(4話~9話)でも明るい雰囲気や水族館全体の一体感をメインに描いた方が良かった気がするんですよね。くくるがどんなに頑張っても、奇跡を映しても、4話からどうしようもない現実感がチラつくので彼女に寄り添いづらい感じになってしまって…。くくる以外完全諦めムードで、圧が強いのはそっちだった。現実の不条理さ、残酷さに抗う術が創作物にはあると思っていますし、がまがまの神秘的な体験も描いていたからこそ、それを最大限に魅せてから、それでもやっぱりダメだったと落し切ってくれた方がずっと感動できたのになとは思いました。くくるの行動が一辺倒だったので、そこに工夫があっても良かったのかなと。一辺倒になってしまう未熟さで行くのなら、こんなに中盤の尺はいらなかった気もします。

 風花を中心に拠り所となる存在は居たので、落とした後の話もそれなりに描けたと思います。実際12話は良かったですし、11~12話の話にもっと尺を割いて欲しかった。辛い現実にぶち当たっても、頑張ってきた事には意味があって、立ち直る事だってできるはず、立ち直って欲しいと、まだ頑張って欲しいと思わせて欲しかったですね。くくるの人物像は未熟な所含めて良く描けていると思うので。

 2クール目は時間も経過し、舞台も変わって、人物も増えて、物語の厚みは生まれてきそうで楽しみです。くくるの成長と願いを想っているので、後は1クール目よりも彼女の事を応援したくなる様な作りになっていたら嬉しいです。とりあえず、ありがとうございました。


・ベスト話数【第11話 籠城の果て】
脚本:千葉美鈴
絵コンテ:浅井義之
演出:阿部ゆり子
作画監督:井上裕亮、宮崎司、水野紗世、入江健司、佐野このみ、真城楓、J-CUBE(Shin Min seop)



6.Sonny Boy

 大満足です。学園を舞台として、哲学やSF、現代社会を風刺する様な視点など、あらゆる要素を組み込んだ青春群像劇とでも云うのかな。意欲的で実験的な作品で、色々と想像しながら毎週楽しく見る事ができました。

 これだけ要素があると作品の見方、切り口は多いのだけれど、少年少女の目指す先だったり、それに合わせた成長、心情描写だったりはシンプルに追いやすくて好きでした。表情や演技も素晴らしかったですし。これが物語の骨組みにあって、肉付けされる要素で象徴的に表す事で感じさせてくれる作り。作品理解との距離感を最後まで掴ませてはくれなかったけれど、それはわざとで、その理解しようとする自身の姿勢との対話としてこの作品を扱って欲しかったのかなと。作品に対して能動的になって欲しいと言いますか。現代のTwitter等の語り合いの場までをも意識していて、最終的には作品を通して現実での創造性を促してくれたと思います。実際、毎週感想を読み書きするのは凄い楽しかった。

 SFは主に世界観と超能力の部分で多く感じられました。重力制御、生命倫理、ユートピア、巨大移民船(ノアの方舟)、多世界解釈、超光速航法etc…見出そうと思えばまだまだありそうです。ラジダニが優秀で解説もそれなりにあったけれど、でもこれらはあくまで作品から感じられる人情の機微や物事の本質などにロマンを持たせる為のものだったと思います。SF好きなので追求しても面白かったけれど、別に物語的には深い理解は不要で、各々が感じられるままに成長に付随する憧れを感じ取れれば十分だったんじゃないかと思います。

 哲学は世界を認識する上での自己の在り方を支える要素として多く感じられました。同一性、ダイナミズム、欲望、罪の意識、価値転換、永劫回帰etc...こちらも詳しければ詳しいだけ見出せたんじゃないかと思います。自分は趣味でかじった程度ですが、孤独感の抜けたニーチェの思想を強く感じられた。あき先生や校長、こだまは神の象徴の様にも思えたし、長良と朝風は次第に対照的な存在として映り、超人と末人に当たるんじゃないかと思えます。ニーチェの言葉で、”たった一度でも本当に魂が震えたことがあるなら、その人生は生きるに値するだろう"、とあるけど、長良にとっては漂流体験が魂が震えた体験として残り続け、想い出す事ができると思います。でも、こちらも一つの切り口に過ぎず、無理に当てはめて考える必要はないと云うか。寧ろ学問的に堅苦しく学ぶのではなく、物語を通して感じる事が学びそのものになっていたのが良かったと思います。こーゆーのはとても好き。

 改めて色んな楽しみ方ができた良い作品だったと思います。ラストも希と友達になるのを望んではいたけど、そうではなく、"友達になれる感じ"で踏みとどまった方が確かにこの作品らしいなと思えました。全12話、絵的な部分も音楽も隅々まで満足しています。ありがとうございました。


・ベスト話数【第11話 少年と海】
脚本:夏目真悟
絵コンテ・作画監督:久貝典史
演出:大野仁愛



7.乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…X

 2020春ぶりの2期。1期はそこそこ楽しめたんですが、2期はダラダラしちゃったかなと。1期は破滅フラグ回避という明確な目的もあったのですが、それを達成した後の話という事で、2期は全体的にフワフワしてて、カタリナの魅力ありきな感じが強く出てしまったなと思います。

 ストーリーに一貫性が無くて、スピンオフみたいな感じが8話まではずっとあったなと。彼女に対してのアプローチがいくつかあったけど、彼女の強烈な個性に全く及ばずな感じ。「カタリナらしい」「カタリナが居て良かった」で落ち着くにしても、流石にずっとそれだと飽きが来てしまうのよね。肝心な所で魅せてくれないと。でも、カタリナ自身の新たな√だけでなく、彼女の影響が広範囲に及んで、他キャラ(特にメンズ)の√まで新しく切り開いていくのは良かったと思います。物語としては弱かったけれど(笑)

 9話以降、魔法省の関わりとキースの話メインになってからは素直に楽しめました。カタリナが前世で家族に対して想う処と、今の世界でのキースに対する想いが合致する処が良かったです。キースがカタリナに迫っていくのもジオルドというライバル的存在が既にいたので、嫌な感じはしなかったです。カタリナが対象なのに自覚がないばっかりに蚊帳の外な感じが矛盾してる処とかも。散々キスされて、男性の好みの話に喰いつく様になったので成長したのかなと思います。カタリナに女性らしさを求めている訳ではないですが、今のままでもどっちでもいいので、気楽に描いてくれたらなと(笑)

 どんな状況でも、どんな関係になっても、ブレないカタリナがやっぱり好きだなと2期でも想えました。"カタリナあってのはめふら”ではあるけど、それだけでは勿体無いくらいキャラがいるので、続編では関係性の描きに期待できればなと思います。ありがとうございました。


・ベスト話数【第11話 キースがいなくなってしまった…(後編)】
脚本:清水恵
絵コンテ・演出:井上圭介
作画監督:井本由紀、大槻南雄、西道拓哉、藤岡三徳、武志鵬、松浦里美、三船智帆



8.マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝 2nd SEASON

 2020冬ぶりで、話忘れてて楽しめないかも…とか色々心配してたんですが、思いの外楽しめました。いろはの妹―ういについて、マギウスの翼について抑えておけば然程問題無かったお蔭かもしれません(笑) 楽しめただけに作画が崩れる時があったのは少し勿体無かったなと。

 2期では1期よりも力の入ったスケールデカめの戦闘が見れて良かったです。むっちゃカッコよかった。超広角的な描き方の乱発は少し好みから外れましたが、2話のやちよvsみふゆはそれが殆ど無くて、質感と規模感の方が強調されていたので凄い良かったです。あとは、見滝原組とも合流して、コネクトなんかも沢山して、見所は多かったなと。見滝原組の謎の先輩感、安心感が好きでした。3期でも見たいなぁ…。ところで、みふゆは嘗ての親友だったのに扱いが終始可哀想だったなと。彼女なりの思惑を汲み取ろうとしなかった、やちよの焦りはブーメラン的に返ってきたので結果的には良かったのかもしれないけれど(笑)

 マギウス側では「魔法少女が救われること」に対して、灯火の個人的な感情による目的だけでなく、マギウスはマギウスでその手段を模索する人物がそれぞれいて良かったです。その点、謎としても残ったまま3期まで引っ張る形にはなりましたが、2期中では柊ねむや黒江の存在がプラスに働いていたので、道中の描きとしては十分だったのかなと。神浜組のいざこざは片付いたので、3期はマギウス側のいざこざが中心になるのかな。黒江が良いキャラなので、どうなってしまうのか楽しみです。

 まさかの8話で幕を閉じた2期で色んな意味で安定感無かったですが、物語の内容は面白かったです。やちよの男勝りな感じは見事にハマってて結構好きでした、ハンドル握る姿とか似合いすぎでしょ(笑) 3期も楽しみにしています。ありがとうございました。


・ベスト話数【第2話 あなたとは少しも似てなんかない】
脚本:小川楓、劇団イヌカレー(泥犬)
絵コンテ・演出:大谷肇
作画監督:佐藤隼也、伊藤良明、清水勝祐、宮嶋仁志



9.かげきしょうじょ!!

 原作評価が高かったので、期待していたのですが、期待以上でした。ずっと面白かったです。キャラの深堀を物語へ活かす描きが抜群に良かったと思います。丁寧でありながら、無駄のない必要最小限の台詞や動きが挟まれていたのも。心情を想像させる余地も、捉えどころのないヒロインと嚙み合っていました。

 作品としての主人公はさらさなんだろうけど、全然そんな事ない、一人一人の物語を大事にされてるなと印象は最後まで変わらず、感動展開もお約束通りありました。対等でありながら、競争心を抱かせる事も欠かさない。いくら才や経験があっても、厳しい世界である事も忘れさせない。予科生と本科生、そして教師。それから家庭事情、想い出…。ごちゃごちゃになりそうな処をしっかり動線が視える様に描いていた所も好感が持てました。何となくでもこの子はこういう子です。っていう土台がしっかりしてると、自然と物語は安定するもんだなと改めて思わされました。

 あとは全体的に人間味が凄いあって良かったです。奥底のドス黒い感情から、相手を共感する力まで幅広く扱っていて、シビアな世界観だからこそ人間味を喪失させる事なく描いていたと思います。雰囲気重くなりがちな所も、時にはコミカルに描いたりと、緩急あったのも良かったですね。さらさと愛ちゃんには良く笑わされました。先輩方も聖先輩なんかは嫌な女というベースの上で、彼女の自信や行動力の強さが本物であるからその性格すらも認めざるを得ないのが魅力的でした。

 ハズレ話数みたいなの無しに満足できる物語が沢山ありました。好きなキャラとか関係性とかできる程ハマりはしなかったですが、そこは好みなので別として素直に良い作品でした。続きは是非アニメで見たいですね。ありがとうございました。


・ベスト話数【第11話 4/40】
脚本:森下直
絵コンテ:森田宏幸
演出:林直孝
作画監督:下地彩加、三橋桜子、古賀美裕紀、新井博慧



10.ジャヒ―様はくじけない!

 かなり好みと合いそうだったので、かなり楽しみにしていた作品でした。予想通りジャヒ―様のキャラ性は好きな感じで、健気で応援したくなる感じが良かったです。物語としては少し波があったかなと思いますが、全然満足しています。

 ジャヒ―様があまりに不憫で心痛む場面がありましたが、こっちの世界に来ても支えくれる人物が大勢いたので見続ける事ができました。特にドゥルジの存在がいわば緊急時の保険の様なもので、この子がいる限りは何があっても大丈夫だろうと思えました。オマケに彼女面白い性格してるので、本当に良かったです。店長や大家に関しては、必然と日常の一部になってくれていたので、ジャヒ―様からしても甘えざるを得ない、感謝せざるを得ない関係になっていって微笑ましい限りでした。声優さん的にも、茅野さんと日笠さんは俺得でした。このカップリングほんと好き。

 魔界No2のくだりとか、魔石の力とか、魔法少女の存在とか、疑いの余地はないんだけど、なんか妙に噓っぽい感じも凄い好きですね。ジャヒ―様が自慢げに、だけど悔しそうに語るのがそうさせるんでしょうかね。過去の栄光に縋るのではなく、前を向いて本気で魔界復興を願っている姿は間違いなく本物で、ならば彼女の語る過去もきっと本物なんだろうと信じさせてくれるのかもしれません。ただ、少し心配しているのが、魔界復興が叶ってしまうとこの作品の見所の大半が失われてしまうよな…っていうのはあります(笑)

 1クール目は8話で終わってしまいましたが、2クール目は12話ちゃんとあるっぽいので引き続き楽しんで見て行けたらなと思います。ジャヒ―様の泣き顏も好きだけど、できるだけ笑って欲しいですね。第2話ぐらいの泣きも密かに期待しております。ひとまず、ありがとうございました。


・ベスト話数【第2話 「ドゥルジ嬢は疑わない!」】
脚本:横手美智子
絵コンテ:澤井幸次
演出:上原秀明
作画監督:永田正美、吉田肇、金子匡邦、スタジオグラム、斎藤晴輝、山廣喬介、王斌




 各作品の感想は以上になりまして、以下、ランキングになります。概要については前回同様です。

【概要】
・(基本的には)上記の見た作品からのみ選出
・部門内での作品被りはNG
・各部門の内容や作品数は、そのクールの気分で変動する可能性アリ
・あくまで個人的な趣向をまとめたものである
・作品の優劣を示唆する意図はない
・世間の評価なんてものは知らない



OP部門ベスト5

1位.小倉唯「Fightin★Pose」―『ジャヒ―様はくじけない!』より

2位.ARCANA PROJECT「たゆたえ、七色」―『白い砂のアクアトープ』より

3位.彩音「Analogy」―『ひぐらしのなく頃に 卒』より

4位.ClariS「ケアレス」―『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝 2nd SEASON -覚醒前夜-』より

審査員特別賞.水瀬いのり「HELLO HORIZON」―『現実主義勇者の王国再建記』より

〈コメント〉
 小倉唯ちゃん好きだし、ジャヒ―様好きだし、1位は放送前から決まった様なものでした(笑) アイドルソングでありながら、ギターロックっぽい要素もあって好きです。何ならヒップホップ要素もあってトレンド押さえてるなと。


 クレジットで作詞田淵智也さん、編曲堀江晶太さんと出た時は声出ましたね(笑) 作曲草野華余子さんも後でチェックしたら、普通にあの曲の人じゃん!ってなりました。サビ直前が堪らなく好き。


 イントロ、ピアノで入る癖に、ギター鳴った瞬間メタルコアっぽいんだよなぁ。くそカッコイイ。間奏もエグイカッコいいので、フル尺で聴いて欲しいですね。ブレイクダウンあるし。


 ClariSのアニソン好きだなぁと改めて。数年前にライブ行ったきり全然行けてないですが、この曲はライブで聴きたいなと。サビのサウンドの数と彩り方が好き。


 アニメ見てないですが、いのりちゃん好きとして特別賞です。イントロから既存曲にない新鮮さがありました。ライブ映えしそうな雰囲気が所々あるので、ライブ楽しみだわ。



ED部門ベスト5

1位.銀杏BOYZ「少年少女」―『Sonny Boy』より

2位.TrySail「Lapis」―『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝 2nd SEASON -覚醒前夜-』より

3位.鈴木このみ「Missing Promise」―『ひぐらしのなく頃に 卒』より

4位.スーパーちょろゴンず「めいど・うぃず・どらごんず❤」―『小林さんちのメイドラゴンS』より

審査員特別賞.鈴木瑛美子「kIng」―『キングダム 第2クール』より

〈コメント〉
 エンドロールクレジット相まって、この曲の感情に直接訴えかけてくる感じ最高でした。音楽ってこれだよな!っていう(伝われ)。懐かしさと新鮮さが共存してる素晴らしい楽曲。


 イントロ好きすぎて…。低振動の抜けるような静けさが良い。Lapisの意味する処はわかりませんが、瑠璃色の深海の雰囲気は出てますね。


 Bメロが好き。不気味で興奮できる『ひぐらし』という作品感にも合っていたと思います。しっとり感を味わえるのも良い。


 アニソンってこれだから最高なんだよ。っていう。頭空っぽにして楽しめる、踊りたくなる楽曲。メロディ歌っちゃう感じとか、合いの手みたいな処とかむっちゃ好き。


 「キングダム」みてないんですが、作編曲澤野弘之さんと云うで外せませんでした。二段構えのサビの盛り上がり方は完全に澤野節。完璧です。



総合部門ベスト3

1位.Sonny Boy

2位.ジャヒ―様はくじけない!

3位.ひぐらしのなく頃に 卒

〈コメント〉
 Sonny Boyは前クールでいうゴジラSPとほぼ同じ理由ですね。話数を重ねるに連れて夢中にさせてくれました。考える事を絶えさせず、モチベーションも最後まで高いまま見る事ができました。
 ジャヒ―様はくじけない!は完全に好み。キャラも声優さんも、音楽も、物語も好き。円盤は買わないけど、原作買うかどうかは2クール目に掛かってます(笑)
 ひぐらし卒もずっと楽しかった。答え合わせしてるだけなのに、やっぱ根底の狂気が素敵。ラスト2話も良い意味で裏切られました。羽入が良かったよ、羽入が。




 以上、各種ランキングでした。
今回は、劇伴、台詞、キャラのランキングは好みがハッキリ出てこなかったので無しです。強いて言えば、紫苑が只々良かったですくらい。

 で、総評。まず、1クールで見る本数が10本なの個人的に丁度良かった。毎期このくらいに押さたいなと思うくらい(笑) ペースも勿論だけど、これくらいだと内容が薄まる事なく見続けられたし、作品毎に考える時間を上手く配分できて良かったです。オリアニなんかは特に考える事だらけなので、その時間を取れれば取れるだけ楽しめますし。そんな感じで個人的には良い発見ができたクールでした。クオリティは、冬や春に比べると不作だったかも感は否めないですが(笑)

 では、ここまで読んでくださった方、ありがとうございました!秋クールもよろしくです。


この記事が参加している募集

アニメ感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?