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『LUNARiA -Virtualized Moonchild-(ルナリア)』(Key)感想

どうもです。

 今回は、2021年12月24日にKeyより発売された『LUNARiA -Virtualized Moonchild-(ルナリア)』の感想になります。今年5月に発売された『LOOPERS』に続く、2作目のキネティックノベル作品になります。

 今作のライターさんである、松山剛さんは誠に申し訳ない事にあまりご存知無い方だったので、期待とかは殆どなかったんです。でも前情報何も無いからこそ楽しみにはしていました。どんな文章、物語を書く方なのかなと。他の声優、イラスト、音楽などに関しては好きな方々が多く参加されてたので安心してプレイできました。

 とゆーことで、早速感想書いていきます。今作書きたい事は一つだけだったので、なるたけ簡潔に書けたらなと。こっからネタバレ全開なんで自己責任でお願いいたします。


1.受け取ったメッセージ

 今作が一番伝えたかった事としては以下のQと旅人の台詞に集約されるのかなと思っています。

『宇宙の歴史を一年に引き直すと、人間の一生は〇.一秒。私たちは、まばたきするほどの〈一瞬〉の間に、出会っている』
『だからこそ、たくさんの美しい景色と、たくさんの美味しいものを味わって、そしてお友達とたくさんおしゃべりして……』
『そして、好きな人には、たくさん甘えないといけないんです』
「ヒトの一生って、なんか儚いな……」
『そういうことになりますね』

Q、旅人-『LUNARiA -Virtualized Moonchild-(ルナリア)』

 デート後、夕日を二人で眺めていた時のシーンですね。Qが実は月に取り残されてしまった人間(天宮希優)で、そんな彼女の地球で生きたいと云う意思を以て、儚なくも美しいヒトの一生を説いてくれたと思っています。

 "地球で生きたい"…具体的には地球のリアル空間での話。ずっと母(天宮美優)が生み出してくれたルナーワールドと云うVR世界で暮らしていた彼女がそう思うまでの動線は"当たり前"で綺麗でした。でも、その"当たり前"を旅人含め、私達は今後何十年、何百年先も守り繋いでいけるだろうか…。
 もしかしたら何十年後かの未来、現実世界と仮想世界とが逆転し、今作の世界の様に仮想現実空間が主な生活の場となる暮らしがくるかもしれない。そうなった時に、リアルでしかない大切な当たり前を忘れてはならない。そう警鐘を鳴らしてくれていたとも思います。

 美しい景色…美味しいもの…アナログなゲーム…身体が触れ合う事…大切な当たり前を享受する為にも、絶対に必要なモノ。それが””命””でした。これも当たり前です。でも、この当たり前を失くしかけていたシーンが今作では多々ありました。Skyoutと呼ばれるレーシングゲームで爆発しまくってましたし、旅人もミャウに土壇場の処で助けられましたね。「アバターだけじゃなく、本当に、死んじゃうわよ……」と。Qを助けるにしたって、命あっての事です。一匹狼だった旅人がQを助けに行く過程で、"他者の存在"の有難みを理解していく事もメッセージ性の一つに含まれているかもしれません。他者の存在あっての命だと。実際、天宮美優の言葉でも希優へのメッセージとして記録に残されていました。

 『あの子にも、当たり前のように喜怒哀楽を分かち合う他者――友達や、人生のパートナーと出逢う資格があったはずだ』

天宮美優-『LUNARiA -Virtualized Moonchild-(ルナリア)』

 「絶望の世界は、リアルだけで十分だ。」と一度は心底感じた天宮美優が、それでも、命を残せる、当たり前を享受できる、その希望が実るのは地球のリアルでしかないからと、その為に希優の命を繋げる手段を取る。
 仮想世界は可能性を生み出す為の手段にはなり得る。そして、その生み出した可能性を途絶えさせず繋ぐ手段にもなり得る。天宮美優や旅人達が十分に証明してくれました。でも、最終的に"命"と云う希望が実るのは現実世界のみです。
 希優も言っていましたが、希望(命)は失われるモノだし、残るのは絶望(死)かもしれない。これも現実世界では"当たり前"ではある。でも当たり前だからこそ、無かった事になんか絶対してはいけなくて、ちゃんと向き合わなければならない。
 このヒトの一生と向き合う事で、その儚かさ、美しさを嚙みしめる事ができるはずだと。天宮美優が、旅人達が、ありとあらゆる手段を尽くして天宮希優の大切な大切な命を救って繋いでみせてくれました。
 本当に最後までヒトが持つ執念、それを支える愛情に魅せられ、思わず打ち震えた作品でした。そんなの当たり前だろ、って言われても仕方ないテーマをここまで真っ直ぐに描いてくれた事、素晴らしかったと思います。
 因みに、タイトルにもなっているルナリアには、花言葉に「儚い美しさ」とあるそうです。

 なるたけ簡潔に書いてみましたが、一番書きたかった事としては以上になります。何か少しでも感じ取って頂けたり、考えのヒントになっていたりしたら、幸いです。



2.雑感

 改めてですが、本当にむっちゃ泣かされました。文句なしの傑作。涙量で言えば今年ベスト3には間違いなく入る。泣き系の感動をくれるKeyではあるけれど、二千円と云うロープラでこのクオリティを生み出してくださった事に感謝しかない。最後、若干駆け足気味かもですが、それを補って余りある程に感動させられました。特に天宮美優の記録による衝撃展開。ここからボロボロ泣いてた。余りに残酷な事態を脳内で整理しながらも、それ以上の感情が波の様に押し寄せてきてしまって…。ここの天休ひさしさんによる音楽も泣きを後押ししてくださって素晴らしかったです。「HIDDEN SIDE -Deadalus-」と「SPIRITUAL PAIN」ね。他の楽曲も勿論良かったですが、この2曲が今も気に入っています。
 
 キャラはふむゆんさんと佐伯ソラさん、作風的にもかなり相性良くどちらも柔らかい表情が可愛いかったです。
 背景はわいっしゅさんが参加されていて個人的には嬉しかったです。
 声優の皆さんもいい感じで、特に八巻アンナさんはシャニマスや前作『LOOPERS』とはまた違った演技を魅せてくださって嬉しかったです。
 そして、シナリオを担当してくださった松山剛さん。展開力で魅せるタイプなのかな、っていうが今作からの素直な印象で、ラノベも少し興味が出てきています。あとQの「ウルトラぴょんぴょん事変~」「ぴょんぴょんグランプリ総合優勝!」みたいな可愛い文章も好きでした(笑)

 とゆーことで、感想は以上になります。
改めて制作に関わった全ての方々に感謝申し上げます。ありがとうございました。やっぱKeyだわ。とも想う事ができました。早くも残り1作となったキネティックノベルもまた今から本当に楽しみです。

 ではまた!



©VISUAL ARTS/Key

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