【受賞者が思う】ラノベ新人賞受賞のヒント

はじめまして。量です。
以下、さっと略歴です。

大手ライトノベル新人賞受賞

出版に向けて編集部と1,2年ほど制作

諸事情から出版ならず😂※ケンカしてませんw

エンタメ業界に就職し、創作と会社員の二重生活スタート

ラノベ新人賞受賞の証拠としては以下をご覧ください。

これは受賞後に郵送された賞金の支払調書なんですけど区分は原稿料等という名目で社内計上されるのですね。
あんまり証拠になっていないものの、これ以外に見せられるものが思いつかないので、何か思いついた方はコメントください🙇‍♀

本書のテーマ
ラノベ新人賞を受賞するためのポイントを押さえる

細かい創作論というよりは、ラノベ新人賞に特化した戦略論と見直しポイントのまとめです。
また「受賞するためにやることまとめ」というよりは、「落とされないためにやることまとめ」というディフェンス的側面が大きいです。
ちなみに私が書くジャンルは少年漫画的なちょいハードめのバトルですので日常系やラブコメ書きにはあまり参考にならないかもしれません。

とはいいつつも、私がラノベ新人賞に受賞するために実践したこと、実際に受賞してわかったこと、その後商業で編集さんと制作をしてわかったことなど経験談を交えてラノベ新人賞を攻略する方法を解説していきますので、少しでもタメになったと思っていただけると幸いです。

それではさっそく始めましょう。

もくじ
1. 一次落選の作品が他の新人賞で受賞してしまう理由【ここが重要】
2. 落とされないためにやること5選
3. 高次選考で勝ち残るには

1. 一次落選の作品が他の新人賞で受賞してしまう理由【ここが重要】

この理由こそが、ラノベ新人賞攻略の肝になっています。
結論から言いますと、低次選考(特に一次選考)で重要なのは「面白いか」ではなく「成立しているか」です。
順を追って説明していきます。

まずラノベ新人賞の選考過程が一次に始まり二次、三次と段階分けされているのはなぜでしょうか?
複数の理由があります。

一つは、「作品を適切に評価する」ため。
新人賞の目的は「面白い」もしくは「面白くなる」「ヒットする」作品を掘り出すことですね。しかしそれらが本当に面白いかは数字や論理で証明できません。そこで新人賞では、高次に行けば行くほど多くの人が一つの作品を読むようになっています。厳密な数字は賞によって変わりますが、一次は下読みさん一人、二次は編集さん二人、三次は編集さん全員で、最終ではそこに作家さんも入り、といったように。こうやって面白い・面白くないという主観的な意見を集め、信頼できる評価者内で議論をすることで、作品の優劣を決めていくんです。これが新人賞が段階分けされている理由の一つです。

そして他に考えられる理由として「評価者が足りない」というものがあります。ラノベ新人賞の中で最大といわれる電撃大賞では、直近の第26回で4607本もの作品が投稿されています。これを編集さんだけですべて読み切ることは不可能ですね。そこで登場するのが「下読みさん」です。
編集さんは日頃、プロの作家さんと向き合い、プロのアイデアに触れ、最前線のトレンドにアンテナを張り、「売れる作品を出す」ことを目的に最低でも平日5日8時間を費やしています。つまり、ある物語(作者)が面白いか、ヒットするか、どうすれば面白くなるかを考えるプロということです。
一方で下読みさんはプロの編集さんではありません。つまり面白い、面白くなる、ヒットするといったことを判断できるように訓練していませんし、それを求められてもいません。

では何を基準に選考をしているのか?
それは「編集者が読むに値するか」という点です。

下読みさんは、「その作品が面白いか、面白くなるか、売れるか」という観点ではなく、「編集さんがそれを考えるべき作品か」というところで判断するよう依頼されています。先程書いたように「面白い」は主観的で属人的な、人によって変わる感情なので万人に等しく面白い作品は存在しません。だからプロの目をもつ編集さんでもない下読みさん一人(ないし二人)が投稿作品の面白い面白くないを判断することはないのです。その代わり、下読みさんは「この作品はその編集さんらによる議論に通すべきか」を見ます。そしてそれが、次の項目で具体的に書いていく「その作品が成立しているか」になります。

これがある新人賞で一次落ちの作品が、他の新人賞で受賞するという奇怪な現象が起きる理由です。新人賞は、「面白い」という感情を信頼のおける複数の評価と議論に委ねることで公平性と合理性を得ている一方、「面白いか」の議論に通してもらえなければ、潜在的に面白い作品も一次落選するのです。これを理解することが、低次選考を突破する方法に繋がってきます。

ここで読者の方に、良いニュースと悪いニュースがあります。
まず良いニュースは、あなたの作品が一次落選していたとしても「潜在的に面白くヒットの可能性がある」ということです。そして悪いニュースは、あなたの作品が一次落選したのなら、少なくとも下読みさんにとっては「何か問題を抱えている」と判断されてしまったということです。

では低次選考の評価軸がわかったところで、具体に移ります。

※余談ですが、電撃文庫に所属し「SAO」「とある」「魔法科」など大ヒット作品を打ち立てた三木一馬さんは、敢えて落選作品の中からランダムで投稿作品を読むそうです。つまり三木さんも低次落選作品の中にも、ヒットの卵があると確信しているんですね。

2. 落とされないためにやること5選

結論から一言でいうと「物語としての欠陥をなくす」ことです。
受賞経験のある私の見解で、以下に欠陥が潜む項目をまとめました。

下読みさんが落選判定する理由
1. 文体
2. 構成
3. 読後感
4. 類似性

私は受賞作の投稿前、上記の欠陥がないか確認し、あれば修正していく、この推敲作業に一ヶ月をかけました(半年かけたこともあります)。ただし必ず膨大な時間がかかるというものでもありません。大きな書き直しが生まれれば時間はかかりますが、一部の修正で済む場合も多いのです。潜在的に面白い作品であれば、以下の項目を読み、推敲するだけで低次選考は必ず突破できます。
それでは一つひとつ見ていきましょう。

◆文体
下読みさんが読んでいて、意味がわからない、どういう状況か伝わらない、となれば落とされてしまいます。原因としては、基本的な文法の用法に問題がある、芸術的すぎる表現を多用している、単純に誤字脱字が多すぎるなどが考えられます。
一方で文体が原因となっている場合、潜在的な面白さが伝わっていないだけで、ブラッシュアップすれば一気に高次選考、可能性としては受賞するかもしれません。伝わらない場合、評価がまずできないですしね。エラーのようなものです。(ただし一つの作品にこだわり続けるのはオススメしないと多くのクリエイターや編集さんが口にしています。ブラッシュアップしつつ新作も書いて一緒に応募してしまいましょう!)

◯文体が欠陥かチェック
時間を置いて、読み返してください。時間があれば一週間ほど寝かせて、記憶が薄れ頭が冷えた頃合いがいいです。日本語として機能しているか、自分が意図したことが表現できているか、自問自答しながら読み返してください。もし知り合いに読んでくれる人がいれば頼むのがベターです。

◯解決
文体問題は以下で深掘っていく問題に比べて、最もわかりやすく直しやすいと思います。まずは受賞作、売れてる作品を読んでみてください。受賞作はそのラノベレーベル・編集部の「答え」。そして売れている作品は「市場の答え」です。参考にするのは、できるだけ最近の作品のほうがよいですね。極端な話古文を見ればわかりますが時代とともに言葉は変化します。それは話し言葉も書き言葉も同じで、微妙に言葉選びや硬さが変わるので最近のものが文体レベルでのトレンドといえるでしょう。
次いで、答え合わせをします。あなたの作品の文体は、答えと見比べてどうでしょうか。必ずしも答えと同質にする必要はありません。新しい答えを作る、という意気込みと自信で芸術的な文章文体にコミットするのであればこの章は完全に無視してもよいです。ただ事実として、受賞作や売れている作品は一つの答えですので、強い思いがない場合は、答えを見本にするのが合理的でしょう。

◆構成
文体をクリアしていれば、あなたの作品は読めば必ず内容が伝わるものということです。しかしそれでも、まだ低次落選する可能性があります。その原因は「構成」です。冒頭でも書きましたが、三幕構成(もしくは起承転結)や「ロードムービー」などの物語構造など、基礎的な創作論はググれば答えが落ちていますので割愛します。ここでは私がそれら基礎の上で意識していたことを紹介します。

①最速で事件を起こす
物語の冒頭では、キャラクターや世界観設定の紹介が必要ですね。導入です。しかしこれを長々とやってしまうのは問題です。物語の時代や歴史背景、設定が地の文や会話劇でずらずらと。読んでも読んでも中々物語が動き出さない!これをやってしまうと「読者を想定していない」「構成の基礎を知らない」と問題作のレッテルを貼られてしまいます。

◯チェック
前提として、物語とは「事件→解決」という流れをもっていますね。(初耳の方は、一度このnoteを閉じてググってみてください。初めはどんな大作家も初心者なので焦る必要はありません。むしろとにかく手を動かして作品を書けていたのは才能です。)

つまり、物語は事件で動き出し、解決で終わりますね。事件によって主人公が解決すべき問題、主人公が行動する方向性が浮かび上がります。そのシーンがいつ書かれているか、それが問題となります。ページ数でチェックしてみましょう。
有名な映画脚本術本『SAVE THE CAT』では、1ページを映画の1分として絶対に12ページ目で事件を起こせと述べています(ラノベの投稿原稿をWordで120枚だとすると同じく12枚目となりますね)。ちなみに『SAO』の12枚目(P32,33)では、キリトとクラインがログアウトできないことを悟ります。事件起きてますね。読者の方も好きな作品の12枚目をチェックしてみてください。その周辺か、それより早くに事件が起きているはずです。

では、今度はご自分の作品の12枚目を確認してみてください。どうでしょうか。その周辺で事件が起きていればこの項は問題ないでしょう。素晴らしいです。次の「設定を後半で後出ししない」へ進んでください!

◯解決
事件は、読者を物語に引き込む「掴み」と言われる部分です。物語視点で見ても、この事件によって主人公がどんな問題にぶつかっていき、何と戦っていくのかなんとなく方向づけられます。これが遅いと、読者は飽きてしまいます。(典型例は、フィリップ・K・ディック×トム・クルーズ×巨万の製作費のドリームチームが作った『マイノリティ・レポート』。観てない方はどう感じるか観てチェックしてみましょう。きっと事件をより早く起こせればもっと面白いと思うはず。)

さて、解決策ですが、まずは事件が後ろへ押し出されている原因を探りましょう。最も多い原因はシンプルで「設定の語りすぎ」です。この場合は「設定の断捨離」をする、もしくは「分散させる」ことですぐに解決できます。以下のツイートでも語っている通り、設定は武器武装みたいなものなので、それ単体では面白さに繋がりづらいです。なので不要なものは思い切って消しましょう。そして然るべき有用なタイミングで語るように説明を分散しましょう。

他に考えられるのは、前置きのシーンが多すぎるパターンです。私自身も主人公を描くために、主人公の部屋を描写して、家族を人柄とともにそれぞれ紹介して、朝学校に行く前にやる日課を描写して、、、と物語とは直接関係のないセットアップを長尺で描いていたことがありました。この場合はスッキリ短くしちゃいましょう。読者は「事件」を待っています。刺激的で緊張感のある、これから起こる物語の空白部分に胸躍る事件を。

②設定を後出ししない
続いては、設定の出しどころに関する構成の問題です。
想像してください。あなたは物語のクライマックス部分を読んでいます。主人公は窮地に立たされ、ボスは圧倒的に強い。あまりの力の差に主人公は負けてしまうのではないか。そんな風にドキドキしながらページをめくります。すると突如、主人公は初耳初見の特殊能力に覚醒し、勢いのままにボスを倒してしまいました。
・・・??
となりますね。笑
これは極論ですが、設定は前半部分で出し切り、後半では新たな設定は出さないようにしましょう。それがクリマックスや物語の根幹に関わる場合にはなおさらです。もし主人公がボスとの戦いで頭を使って設定を応用し勝つ、というような展開を用意するなら、主人公が使う設定はあらかじめしっかりと説明しておいてください。また主人公がなんならかの能力に覚醒する場合には、その能力が存在していることや、主人公が何らかの力を秘めていることを描写するなど、しっかりと匂わせておきましょう。そうすれば読者はある程度予期することができます。それを予期させない、ミスディレクションによって忘れさせる、そのあたりが作者の腕の見せ所です。
この予期なくしていきなり主人公が能力を得て勝利すれば、読者はまるで後出しじゃんけんで負けたときのようなフラストレーションに襲われます。またそれをやってしまった瞬間、物語世界では何が起きてもよいことになり、すべての設定が意味をなくしてしまいます。突如既にある設定を覆せる新しい設定を出してよいということになりますからね。

◯チェック&解決
意識して読めば明らかにわかり、そうとわかれば設定の出しどころを前半に限定するだけなので対応は明快かつ簡単です。読み返してください。もしくは誰かに読んでもらい、そういう感想がでないか確認しましょう。そして問題があれば、「設定は前半で出し切る」を満たす形に書き直しましょう!

■読後感
作品を読み終えた時、読者がどう感じるかを想像してみてください。ポジティブな読後感があれば大丈夫です。単純に考えて、ワードで100枚を超える分量を読んで、嫌な気持ちになるものなんて需要ないですよね。それだけなんです。時間と体力を掛けて読んだ末に、どんな気持ちになれるのか。そこでいい気持ちになれればそれでいいんです。
下読みさんは、読者が嫌な気持ちにならないか見ます。具体的には主人公は勝利しているか、敗北したのだとしたらそれなりの感動的な敗北、納得感のあるものか。ヒロインは幸せなシチュエーションにいるのか。また別の観点でいくと、戦いはこれからだ!のような続編に投げるような展開で終わっていないか。広げた風呂敷が畳まれているかですね。これは物語を完結させる能力を見ているので、構成にも近いかもしれません。
下読みさんは、しっかりと物語が終わっていて、かつ読者が楽しめる作品を通します。自分の作品をフェアに見てください。誰かラノベを買う読者があなたの作品を読み終えて、いい気持ちになるか、嫌な気持ちになるか。前者ならOKです!

■類似性
これはポジティブにいうとオマージュ、ネガティブにいうとパクリに近い問題です。オマージュとパクリは違う。その通りです。ただ新人賞においては、リスペクトもオマージュもマイナス評価に繋がる可能性がかなりあります。なぜか。それは編集部やレーベル、ひいては会社が同じような作品を「新人賞受賞作!!」とわざわざ宣伝費をかけて売る必要がないからです。既に出版されていて売れている作品。もしくは既に世に出て評価されファンがいるキャラクター。それと似ているものが再び別の作品として世に出ると、単純に売上を相殺してしまうことにも繋がりかねません。ラノベで一斉を風靡した「SAO」ですが、電撃大賞から似ている受賞作を出しているでしょうか。ないと思います。

続いて、キャラクターのオマージュ。これは単体なら問題ないです。なぜならツンデレ、クール不器用、天然ポンコツなどキャラの属性や類系があり、そもそも新しいキャラ属性を打ち出すのは相当に難しいですよね。一方でキャラ単体では収まらず、「関係性」まで類似すると確実にマイナス評価となります。
関係性とは、例えば「魔法科高校の劣等生」では、主人公の達也がクール×最強、ヒロインの美雪か品行方正×ブラコンのような属性を持っていますね。この作品をリスペクトしオマージュし、例えば主人公を達也を下敷きにクール×最強にするのはありでしょう。達也以外にもクールで最強なキャラクターは大勢います。しかし、そこに同じく品行方正×ブラコンもしくは主人公デレのヒロインを投入すると、個別のキャラが「魔法科高校の劣等生」に似てくるだけではなく、キャラ同士の関係性も類似し、ひいてはキャラ同士のかけあい、キャラが結果として生み出すストーリーラインや展開までもが似てきます。これはアウトです。いくら別のヒトとして、生誕から家族構成までを考えていても、ここが似てしまえば表面上同じに見えてしまうのでマイナス評価となります。
複数の作品のいいとこ取りをした作品は、編集部が喉から手が出るほどほしい作品でしょう。いろんな作品の部分のかけ合わせをオリジナルと呼んだりもします。しかし、単一もしくは少ない作品のみからエッセンスを受け継いだ作品は別個の作品というよりも「◯◯」みたいな作品として受け取られてしまいます。これではいくら上述した文体や構成、読後感ができていても残念ながら落とされてしまいます。
投稿予定の新人賞のキャッチコピー、どんな作品を求めているのかを見てみてください。おそらく「新しい」「面白い」作品を求めていると思います。オマージュは商業的に売れ線の作品を製造するように作る場合は効果的ですが、新人賞という才能の発掘や次世代の可能性を探る機会においてはある意味で最も敬遠されてしまう性質です。

(なろう系はどうなのかとお思いの方。なろう系などWeb発の作品は新人賞とは別ルートで書籍化されますね。最大の違いは、新人賞作品が未発表の無名の作品であるのに対し、Web作品は既に作品の人気やファンをもっていることです。なので出版社からすれば、同じような作品であろうと出版すればファンの方々が買ってくれると数字が見えるのです。だからなろう系や異世界系は次々とWebから出版され、既にデビューしている作家さんから新作として書かれたりします。端的にいうと、なろう系などのジャンルはそのジャンルそのものが市場をもっているため例外なのです。新人賞で出すのであれば、そのジャンル内でどう既存の作品と差をつけるかでしょう!)

◯チェック
リスペクトやオマージュは書き手が強く意識しています。なので問題があるかは既に読者さん自身でわかると思います。もしその自覚がない方で心配な場合は、知り合いに読んでもらうか、自分のキャラの特徴でググって似ているキャラが同じ関係性ででているか探してみましょう。

◯解決

上のツイートでも書いている通り、私は作品を「キャラクター」と「設定」が掛け合わされて生まれた「ストーリー」だと捉えています。また同時に、設定こそがオリジナリティを作ると考えています。なので設定が既存の作品と強い類似性を持っている場合には、キャラクターとストーリーで異なる世界観、新しさを出すしかないです。ただ設定は新しさを作る一方で、読者にその世界設定を理解してもらうという負荷をかけています。なので設定が似通っているのは問題ではありません。キャラとストーリー展開で魅せましょう!

キャラクターの関係性については、以下で書きます。
1. キャラを替える
2. キャラを変える(属性を薄める)
ひとつめはシンプルですが残酷なやり方ですね。類似している関係性をつくっているキャラの片方を変えて、新しい異なるタイプのキャラを投入してください。既にプロットを組んでいる場合、執筆を開始している場合は大部分が書き直しとなってしまうでしょう。しかしこの類似性をなくせば、類似性をもつ作品よりも高確率で低次選考を突破でき、かつその後の高次選考でもより評価されやすいです。これは実際に編集さんから聞いた話ですが、「作品の根本に明らかな類似性がある作品には大賞は出ない」そうです。もう一つのキャラ属性を薄める方法。こちらはやりようによっては類似性を含んだまま選考を突破することができます。具体的な方法を以下にまとめます。

1. 口調を変える
2. 髪型・髪色を変える
3. 年の差や立場を入れ替える(反転させる)
4. 他人なら兄弟に、兄弟なら他人にする

小手先ですね。しかし上記はキャラクターの印象を決める重要な要素です。口調は性格がでますし、髪型や髪色は現実でもそうであるようにもろに印象を変えます。年の差や立場、他人か兄弟かはキャラ同士の関係性とイコールですので、ここを変えれば大きく改善できるでしょう。
修正後には、また時間を置いて読んで確認してみてください。キャラに関しては客観的に見るのが特に難しいので、できれば誰かに読んでもらい感想をもらうのがよいでしょう。

3. 高次選考を突破するのは面白さ、つまり熱意【書きたいことを書けばOK】

いかがだったでしょうか。ここまで書いたことすべてができていれば、
・読んだ人に伝わり、
・読む人を想定して物語を構成していて、
・気持ちのいい読後感があり、
・有名作品と酷似していない
作品になります。
ここまでできれば、低次選考で落ちることはまずないです。つまり高次選考に行きます。

ここからは見る人が下読みさんから編集さんに変わります。そしてそれによって「面白さ」が要求されるようになります。残っている作品はすべて基本を備えて物語として成立している作品たちなのです。その中で勝ち抜くにはいわゆる「なにか光るもの」と呼ばれる、突出した側面が必要になるでしょう。簡単に言うと「面白さ」ですね。好きな漫画を読んでいてもたまにありますよね、はっとさせられる瞬間。あれです。こればかりは論理的な戦略では作れません。あなたしか作れません。

それでは終わりたいと思いますが、最後に私が受賞をした時に編集さんに教えていただいた、面白さの源について書きます。
シンプルです。
面白さとは、つまるところ「熱意」だそうです。
ただし、ハチマキ巻いて熱い気持ちで叫びながら書けといっているのでは当然ありません。熱意をもって突き詰めようと思うこと、もっと知りたいと思うこと、すごく好きだと思うこと、そういったことを掘って掘って行く先に、とんでもなくリアルなキャラであったり力の籠もった設定が生まれる、とおっしゃっていました。なので、書きながらも、自分は何が好きなのかを考えていくといいでしょう。まずはなぜ創作が好きか、から始められますね。そのあとはなぜこの作品が好きなのか。分析です。自己分析です。

分析は、面白さを創ります!

では。これにて。
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