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Bitcoinを動かすM2マネー

概要

この記事では、M2マネー供給量がビットコインに与える影響を分析しています。具体的には、M2マネーがステーブルコインを介してビットコインの取引量や価格にどのように影響を与えるかを詳述しています。経済全体の流動性が増減することで、ステーブルコインの発行量が変動し、それがビットコインに波及するメカニズムを解説しています。


M2マネーとは

M2マネーは、経済全体で利用可能な流動性のある資産の総量を表します。そのため、各需要先でM2マネーを奪い合うことになり、結果的にすべての市場はM2マネーの供給量に支配されます。

M2マネーの供給元には、現金預金、当座預金、普通預金、小口定期預金などがあります。その需要先としては、債券市場、株式市場、暗号資産市場、コモディティ市場、マネーマーケットファンド、不動産市場などが挙げられます。

M2マネーの影響

株式

この支配については、チャートを見れば一目瞭然です。もっとも分かりやすい株式から見てみましょう。

S&P500とGlobal M2

S&P500とGlobal M2(グローバルのM2マネー)のチャートの動きを比較すると、その相関性が明らかです。株式市場はさまざまな要因で上下しますが、株式を購入する資金はM2マネーから供給されます。必然的に、M2マネーが潤沢な時にはより多くの資金が、枯渇傾向にある場合はより少ない資金が株式の購入に充てられます。

これは暗号資産市場においても同様ですが、M2マネーは暗号資産市場にどのように供給されるのでしょうか。

ステーブルコイン

暗号資産の取引をしたことがある方なら誰でも分かりますが、暗号資産を購入する際は通常、まずステーブルコインを購入します。つまり、M2マネーは暗号資産に供給される際、一度ステーブルコインに変換されます。

USDT+USDCとGlobalM2

USDTとUSDCはステーブルコインの約90%を占めていますが、その担保としてはM2マネーが使用されます。そのため、株式と同様にM2マネーが潤沢な時にはより多くの資金が、枯渇傾向にある場合はより少ない資金がステーブルコインの発行のために担保とされます。

M2マネーをステーブルコインに変えたからには、通常、ステーブルコイン以外の暗号資産の購入に用いられます。その対象で最も大きいのが、2024年6月1日現在、ドミナンス54%を誇るビットコインです。

ビットコイン

では、ビットコインとM2マネーを比較してみましょう。

BTC価格とM2マネー(月足)

需要先の時価総額が下がれば下がるほど、需要先固有の事情による影響が大きくなるため、乖離は大きくなります。しかし、ビットコインであっても、ステーブルコイン、そしてその元であるM2マネーの供給に逆らうことはできません。とはいえ、月足のデータでは取引戦略に使いづらいかもしれません。そこで週足との比較も確認してみます。

BTC価格とM2マネー(週足)

詳細な検証はしませんが、かなりの頻度で山谷が一致しており、明確に相関関係があることが読み取れます。

ビットコインは半減期を中心としたサイクルがあると言われており、これは事実ですが、それと同様に近いサイクルでM2マネーのサイクルが発生しており、その影響を受けていることは明らかです。

このように、ビットコインにとってM2マネーは遠い存在のように見えて、実際にはビットコインの価格に大きな影響を与えています。

分析の方法

TradingView

暗号資産のチャート分析を行う多くの方はTradingViewを利用していると思いますが、TradingViewではM2マネーを確認することができます。

残念ながらグローバルM2マネーに該当するシンボルは存在しないようですが、各国の個別のM2マネーが存在します。代表格であるアメリカ、EU、中国、日本のM2マネーを参照することで、グローバルM2マネーの代替とすることが可能です。利用する場合は「M2 Money」でシンボルを検索してください。

また、インジケーターには「Global M2 Money Supply」など複数が存在します。

さらに、M2マネーとビットコインの間に位置するステーブルコインを用いて代替することもできます。

ステーブルコインについては、「USDT_MARKETCAP」などを使用すると良いでしょう。正確を期するためには、計算式に「USDC_MARKETCAP」を足しこむのも良い方法です。

CryptoQuant

ステーブルコインに関しては、CryptoQuantを用いることでより直接的な参考指標を確認することができます。

指標の名前はStablecoin Supply Ratioで、以下の計算式で算出されます。

SSR = ビットコインの時価総額 / 流通しているステーブルコインの総供給量

最後に

M2マネー供給量の背後には連邦準備制度(FRB)がいます。

M2マネー供給量はFRBが直接決定するものではありませんが、FRBの金融政策がM2に影響を与えます。具体的には、FRBは以下のような手段を通じてM2マネー供給量に影響を与えます。

金利政策

FRBはフェデラルファンド金利を設定し、この金利は商業銀行間での短期貸出金利に影響を与えます。金利が低下すると、借入が増え、経済活動が活発になり、結果としてM2マネー供給量が増加します。

公開市場操作

FRBは米国債やその他の証券を売買することで、市場に流通する通貨の量を調整します。証券を購入することで市場に資金を供給し、逆に証券を売却することで市場から資金を吸収します。

預金準備率の変更

商業銀行が保有する預金に対する準備金の割合を変更することも、マネー供給量に影響を与えます。準備率が引き下げられると、銀行はより多くの資金を貸し出すことができ、M2マネー供給量が増加します。

したがって、FRBの金融政策はM2マネー供給量に間接的に影響を与えることになります。


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