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米国の暗号資産取引所への訴訟の行方


 さて、米国の政府機関が相次いで有力な暗号資産取引所に対して訴訟を起こし始めました。なんだか、中国めいて来ました。とはいえ、公の場で戦うと表明しているところは一方的に規制して取り締まる中国よりましかもしれません。



 ここからは単なる憶測です。ここから先どうなるかは事態の推移を見守るしかないのですが。タイミングといい、対象の取引所といい、なんとなく政治的な意図を感ぜざるを得ないというのが個人的感想です。
 そもそも、コインベースもバイナンスも、米国の政府機関とのやりとりはそれなりにあったはずです。元々いろいろ言われていたようですし、ロビー活動もやっていたはずです。にもかかわらず、訴訟にまで行くというのも何かしら意図を感じます。
 もともと証券だとか証券じゃ無いとかの線引きが曖昧だったり、資産なのかそうでないのかの定義も曖昧なまま進んでいたのが米国の実態のようです。確かに、日本だと、関係者間の協議でなんとなく決まっちゃって、いや、これはセーフ、これはアウトみたいな最終結果が出て来て、議論のプロセスが不透明になりがちな状況よりは、公開ベースで何がセーフで何がアウトなのかを公にしてもらった方が良いのかもしれません。
 それにしても、コインベースの件もバイナンスの件も、双方の言い分が結構かけ離れていて、今まですりあわせ的なことをやってきたとは思えないほど主張が食い違っているように見えます。
 少し乱暴ですが、取引所側からすると、言われたとおりやってきたのに、今更違反だと言われても理解できない、みたいな感じです。まあバイナンスの場合はそもそも会社の所在地も曖昧なので、ちょっと違うかもしれませんが。

 とにかく、法律やら規制やらを具体化する前に、違反だから訴訟、という結構乱暴なように見えるやり方で進めているのは何かわけがありそうに見えて仕方ありません。SECやCFTCがコインベースなりバイナンスを潰して終わり、という話では終わらないでしょう。

 まあ、結局、ロビー活動でうだうだ密室でやるより、裁判で公開ベースで何が良くて何が悪いのかを明らかにしてもらった方がすっきりする気がします。だとすると、米国の政府機関の真意は、裏でごにょごにょやるより、表に出て正々堂々議論しようや、ということなのかもしれません。ただ、法律が無い部分もありそうなので、そこは裁判所には判断出来ないかもしれません。裁判所はあくまで法律に基づいて、罪なのか罪じゃないのかを判断する場所なので、そもそもの法律がなければ判断しようがない状態になるかもしれません。
 もちろん、そんなことはわかりきったことなので訴状はxxに違反したというふうにはなっていますが。

 なんだかんだ言っても、世界経済の中で米国の存在は大きいので、米国での暗号資産の利便性と活用がどういう方向に行くのかは非常に興味深いところです。政治が賢いとは限らないので、紆余曲折しそうです。今の米国の政治状況を見ていると、結局誰が得をするために政策をやっているのかが見えにくい部分があります。GAFAMの勢いはここでそろそろ頭打ちでしょうから、次の稼ぎネタを見つけないと米国もヤバイはずです。国益を考えたときに何がベストの選択で、米国は何を選択するのか。いつまでも米ドルを基軸通貨に戦っていくだけの戦略では厳しくなってくるのではないかと思っていますが、米国のエリートたちはどう考えているのでしょうか。これからいろいろ出てくると思いますのでその推移を見ていきたいと思います。

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