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半生を記録する
父親から「手に職をつけろ」と言われて育った。
家にあったのはエレキギターだったが、ゆずにハマったのでエレキでコードストロークしまくっていた。
高校でバンドのマネごとをした。ベースがいなかったのでベースをした。 別にじゃんけんで敗けたとかではなく、自分から言い出したのを覚えている。 なぜ自分から言いだしたのかは覚えていない。
大学に入って、まだSNSもない頃(ちょっと後にmixi全盛期)、内輪のホームページを作ろうということになって自分から名乗り出た。
htmlの知識なんてゼロなのに、なぜ自分から言い出したのかは覚えていない。
大学ではちょっと真剣にバンドに取り組んだ。
学生生活の中心だった。幸い機材などが学校にある環境だったので、レコーティングのマネごと、CD発売のマネごとなんかもした。
なんかのオーディション企画で決勝まで残ったりして、600人くらいの前で演奏もした。コード進行とかよく分かっていなかったのでベースで良かった、とたまに思ったりしていた。
大学で専攻した建築に即興味を失い、新卒でホームページ制作の仕事についた。甘ちゃんも甘ちゃんで、8ヶ月で辞めた。迷惑をたくさんかけた。親を泣かしてしまった(人づてに聞いた)。
大学のときにホームページ制作でお世話になった塾に転がり込んだ。
足を向けて寝られないし、今度は迷惑かけたくないとまあがんばった。
大学は理系卒だが、小学校のとき漢字が好きだったことを思い出して国語を担当したいと申し出た。
塾は大手ではないので転勤も無いし、付き合っていた彼女とちょっと結婚式場見てみるか、と徒歩3分の式場に行ってみたらとても良かったのでそこで結婚式をあげた。
子どもがふつうには授からずまいったこともあったが、今は無事娘がいる。
仕事も、結果を出せることも出てきた。
結果、塾講師というスキルと、ホームページ作成と付随するPCの知識というスキルと、音楽に関する少しのスキルを持っている。
結果、普通のサラリーマンとなり、普通の家庭がある。
なんか、ベースにしろ、ホームページにしろ、今の人生のおおもとにあるものって、なんでやり出したのかあまり覚えていないものが多い。
不思議だ。
そして今、自分の人生というか、まだ死んでいないので、半生というか、なんなんだろうと思うようになった。
娘がいると強く思うが、やはり幸せだし、苦労だってあるけれど、がんばればなんとかなるとも思ってやってきた。まだ生きているので、なんとかなっていると思う。
別に爪痕を残したいとかも思わないし、塾だって、生徒の人生に少しでも影響があれば良いとは思うが、それでも受験が終われば他人だ。それでいいと思っている。
ところで、勉強は計画性だとよく耳にするが、私は計画を立てるのが苦手だ。完璧主義のきらいがあるので、いろいろ盛り込んでしまう。いわゆる計画倒ればかり。自分ができないことを生徒に強要はできないので、私はよく「勉強の記録をしろ」という。 自分がどのように勉強してきたかを知れば、次の見通しが分かる…かも、と伝えている。実際、生徒の記録を見ると、いろいろ見えてくるし、アドバイスもできる。
ふと思った。
自分の半生がよく分からないので、この勉強のように、自分を記録してみたらどうか。
どこかで見返したり、だれかに見られたりすることで、もしかしたら、半生に意味があるかもしれない。そもそも、半生に意味をつけて何になるのかも分からないが。
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