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誰から必要とされなくなっても

夢を見た。
開始五人、後々七人くらいになる小さな学級。
簡単に言うなら、人間不信に陥った人が通うような場所だ。みんな例外なく愛想は悪い。
一年だか二年後には、七人内だけなら笑えるようにはなったけど。くらいの。

昔話をしていた。
最初の頃のお前は、今と変わらず、私たちの冷めきった心に入ってきてさぁ、と、先に卒業するっぽい人が言う。
きっと、私にはそれしか出来なかったんだ。
誰が優しいと評価しようと、傷付いて疲れきった自己にも変われない自分はいる。
それが私なのだ。

他の子と、そんなこと言ったら私だって信じられるの先輩だけ(※知り合い)だけだったしと、見覚えのある顔が言う。
今でこそ愛想のいい子だけど、元々は愛想が悪く、無視一辺倒で心を開かない。

そんなこともあったなぁ。
そう思っていると、場面が切り替わる。
いわゆるループもののように、その「最初の五人」しかいない、険悪な雰囲気のところへ、何故か居た。何が起きた。夢だなぁ。

見覚えのある顔の子は無視一辺倒へ戻っていて、返事を期待しない話しかけをする。やはり無視される。まあ想定内だ。
こころが疲れている人に何してください普通はこうするもんですなんてご高説は不要だ。したくないならしなくていい。
その子は驚きはしたものの、やはり先輩以外は信用出来ないからと顔を背けた。

先輩は先輩で、荒れている頃のようだった。
そういや最初は荒れてたんだっけと思いつつ、スマホだけは何故か履歴が巻き戻ってないのと、重宝するので使っていた。揉める前も検索画面出てたもんな。

しかし、先輩は何故か執拗にスマホを狙ってきた。
だから持って安全確保してたんだけど。
『私が大事にしている』と思うからこそ、気に入らないやつの大事なものを壊したいタイプだったから、それを渡せだのなんだの言ってくる。
渡すのも御免だし、今まさに殴る蹴るのタイマンになりかけてる時だ、実に面倒くさい申し出である。

私は嫌だと応える。
馬鹿にしたように笑う過去の先輩。
知らないよな。信じられないよな。
だって私たちは、他人に傷付けられてきた集団だ。
それが私ではなくても、自分を守るために先に攻撃するしかなくなった人はいる。
悲しいとしても、それは事実だ。

何度も催促してくる。
よほど私が気に入らないらしい。壊す気しか感じない。しかし渡さない。
相手が聞く意味もない「何でだ」は、私の言葉なのだろうか。

なんでだ?
簡単な話だ。
これは巻き戻っていない。二年間かけて笑えるようになった先輩とのやり取りが記録されている。
目の前の張本人がそれを知らなくても。


大事な思い出を消せなんて、残酷な言葉だ。



紡いできた絆をリセットされるなんて、断固拒否だ。



それが巻き戻った世界に合わなくても。
二年後に笑い合える日がくるのを知っていながら、壊すことはできない。


そんな夢。

携帯電話は、『人との繋がり』。
壊したい先輩は、イライラしている私かもしれない。人間関係で気を害してきたからだ。
ずっとずっと消えない。
失われた友情にしろ、復活しない絆にしろ、それがどうであれ、私から消えてなくなったりしない。
スマホから消えても、私から消えない。
私だって変われない。

雲行きが怪しくて、きっと私の望まない方向に進むだろう、私の機能不全家族。
みのりみたいに、いつかは、いつかは、頑張っていれば、諦めなければ、自分が終わりにしなければと、ずっとずっともがいてきた。
私が唯一、変われない部分だったからだ。


過去の自分を見て
「頑張って」と言うみのりを見て
みのりの言葉だからこそ疑わないものの、信じる価値があると思うものの、



私の32年間は既に無駄になった後だ。
謝罪もない。
『いい親』らしく、『あんたが幸せなら帰ってこやくていい』とか言う。
どれだけ帰りたいと言っても、あっちは謝るより、いい親の役を演じる方が大事。



頑張ればいつか報われる?
つらいことや苦しいことばかりで、その先に解放なんてなかった人生で。
今まさに、私の希望を未だに否定する現実で。
まだそれを言える?


みのりが言えば、まだ信じられる?
こころはまふゆよりも砕け散って粉々でも。



でも、無意識の理性である夢は、拒否した。
『繋がり』を断つのは嫌だと。
私が自分を捨てるのも、無理だと。



最近は鎮魂のために色々やってるから
眠れなかった魂が還る前に、色々やってくれてるのかもしれない。



私に行き場はない。
行き止まりなんだ。疲れたんだよ。



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