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バプテスト信仰告白 1章 聖書について 3.外典や偽典(アポクリファ)の扱い

THE BAPTIST CONFESSION OF FAITH
With Scripture Proofs Adopted by the Ministers and Messengers of the general assembly which met in London in 1689


3.外典や偽典(アポクリファ)の扱い

Chapter 1: Of the Holy Scriptures
3._____ The books commonly called Apocrypha, not being of divine inspiration, are no part of the canon or rule of
the Scripture, and, therefore, are of no authority to the church of God, nor to be any otherwise approved or made use
of than other human writings.
( Luke 24:27, 44; Romans 3:2 )

THE BAPTIST CONFESSION OF FAITH
With Scripture Proofs
Adopted by the Ministers and Messengers of the general assembly which met in London in 1689

翻 訳

通常、外典とよばれている書物は神の霊感によるものではなく(ルカ 24:27,44;ローマ3:2)、聖書の正典(または規範)の一部ではない。
したがって神の教会においては何の権威もなく、また他の人間による著作と違ったもののように承認したり、使用してはならない。

解 説

アポクリファとは、日本語で外典であるとか偽典と呼ばれる書簡です。一般的にはキリスト教の聖書の一部とは認められていない一連の古代の宗教的な書簡を指します。

アポクリファは、神聖な霊感によるものではなく、したがって、アポクリファ(外典、偽典)は聖書の正典(教会が神の言葉であると認める書簡)の一部ではありません。

したがって、アポクリファは、神の霊感によって記された聖典とは異なり、神の教会に対する権威を持たず、人間の著作物と同じように扱われるものです。ですから、アポクリファが教義を決定するための基準ではありません。

引用されているルカ24:27,44とローマ3:2という聖書の節は、聖書が神の霊感によって書かれたという教義を支持しています。これらの節は、アポクリファがこの基準を満たさないという主張を裏付けています。

聖書の正典化と外典の扱いについての歴史的経過

まず、ヘブライ語の旧約聖書が最終的に正典化されたのは、ヤムニア会議(紀元後90年頃)であると述べています。この会議では、ユダヤ教のラビたちが、どの書籍が神の霊感によるものであるかを決定しました。

しかし、この選定から外れた一部の古代ユダヤ教文書は、キリスト教会で尊重され、聖書に準ずる扱いを受けました。これらの文書は「外典」と呼ばれ、その扱いは地域や教会により異なりました。

特に、これらの外典の一部は「70人訳聖書」(ギリシャ語訳旧約聖書)に含まれ、その存在が認知されました。新共同訳の「旧約聖書続編」リストには、この70人訳聖書の外典リストが参照されています。

これらの外典は、次第に正典との区別が薄れ、カトリック教会では正典と同等に扱うことが基本的な立場となりました。一方、ルター以降の宗教改革者たちは、正典と外典の区別を明確にし、これがプロテスタントの基本的立場となりました。

外典と偽典について

「外典」と「偽典」は、両方とも聖書の一部とは認められていない一連の古代の宗教的な書籍を指しますが、その定義と扱いには違いがあります。

外典は、聖書におさめる主張もあったが、正典から除外された文書群のことを指しています。外典は旧約聖書、新約聖書の正典に近く、有益だが、正典と認められていない文書です。例えば、旧約外典の「マカベア書」など13文書はカトリックでは正典に準じ、聖書に含められます。

偽典は、そもそも聖書として認められたことがない文書のことを指して用いられます。偽典は外典よりも劣るが、価値ありとされるものです。

したがって、外典と偽典の主な違いは、その文書が聖書の一部として認められる可能性と、それらがどの程度価値を持つかにあります。

したがって、バプテストを含め、プロテスタントの多くは偽典や外典は聖典ではなく、歴史的資料として利用すべきものとされています。

日本聖書学研究所によって翻訳・編纂され,教文館から刊行された『聖書外典偽典』によるリストを示す.
 (1) 旧約聖書外典.
  1.第1エズラ書
  2.第1マカベア書
  3.第2マカベア書
  4.トビト書
  5.ユディト書
  6.ソロモンの知恵
  7.ベン・シラの知恵
  8.バルク書
  9.エレミヤの手紙
  10.マナセの祈り
  11.ダニエル書への付加(アザリヤの祈りと3人の若者の歌,スザンナ,  
   ベルと龍)
  12.エステル記への付加
 (2) 旧約聖書偽典.
  13.アリステアスの手紙
  14.第4マカベア書
  15.シビュラの託宣
  16.スラヴ語エノク書
  17.ピルケ・アボス
  18.ヨベル書
  19.エチオピア語エノク書
  20.ソロモンの詩篇
  21.シリア語バルク黙示録
  22.第4エズラ書(第2エスドラス書)
  23.12族長の遺訓
 (3) 新約聖書外典.
  24.オクシリンコス・パピルス840
  25.同654
  26.同1
  27.同655
  28.カイロ・パピルス10735
  29.エジャトン・パピルス2
  30.ファイユーム断片
  31.エビオン人福音書
  32.ヘブル人福音書
  33.エジプト人福音書
  34.ヤコブ原福音書
  35.トマスによるイエスの幼時物語
  36.ペテロ福音書
  37.ニコデモ福音書
  38.ラオデキア人への手紙
  39.パウロとコリント人との往復書簡
  40.セネカとパウロの往復書簡
  41.パウロの黙示録
  42.シビュラの託宣
  43.ペテロ行伝
  44.パウロ行伝
  45.ヨハネ行伝
  46.アンデレ行伝
  47.トマス行伝
 (番号は,以下の説明の便宜上,千代崎が付けたもの)
 (4) 旧約聖書偽典補遺.
 上記の(1)―(3)にはないが,ロストの『旧約外典偽典概説』(教文
  館)に取り上げられているもの.
  48.第3マカベア書
  49.ギリシア語バルク黙示録
  50.モーセの昇天
  51.イザヤの殉教
  52.アダムとエバの生涯
 (5) その他.
  同じくロストによる.ただし「付説」として叙述されていることでもわ
  かるが,一般には〈外典・偽典〉の中には数えられない.53から61はい
  わゆるクムラン写本に含まれる.
  53.共同体の規則
  54.ダマスコ文書
  55.戦いの巻物
  56.ハバクク書注解
  57.外典創世記
  58.感謝の詩篇(ホダーヨート)
  59.神殿の巻物
  60.アヒカル
  61.フィロン偽書

『外典と偽典(旧約,新約 4.リストと分類』新キリスト教辞典 いのちのことば社

証拠聖句

ルカによる福音書 24:27
それから、イエスは、モーセおよびすべての預言者から始めて、聖書全体の中で、ご自分について書いてある事がらを彼らに説き明かされた。

ルカによる福音書
24:44 さて、そこでイエスは言われた。「わたしがまだあなたがたといっしょにいたころ、あなたがたに話したことばはこうです。わたしについてモーセの律法と預言者と詩篇とに書いてあることは、必ず全部成就するということでした。」

ローマ人への手紙
3:2 それは、あらゆる点から見て、大いにあります。第一に、彼らは神のいろいろなおことばをゆだねられています。