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『テトリス・エフェクト 世界を惑わせたゲーム』の紹介と感想


『テトリス・エフェクト 世界を惑わせたゲーム』
ダン・アッカーマン著、小林啓倫 訳 2017年10月発行

不朽の名作パズルゲーム「テトリス」が鉄のカーテンに閉ざされたソビエト連邦からいかにして全世界へと広まったかを追ったノンフィクションです。
様々な西側諸国の人物達が、この謎多き国から「発掘」されたシンプルなゲームに商業的価値を見いだし、そのライセンスを獲得すべく奔走するさまがとにかくスリリングで面白い。

個人的にはテトリス生みの親であるアレクセイ・パジトノフよりも、もう一人の主役として登場するヘンク・ロジャースの半生にものすごく惹かれてしまいました。
日本に移住して秋葉原でPC-8801を購入し、初めてのゲーム製作に挑戦してまだ当時の日本では珍しかったコンピュータRPGの「ザ・ブラックオニ
キス」を完成させ、自身の会社「BPS」を設立。
そこから各PCゲーム雑誌で取り上げてもらうための出版社訪問や、ファミコンへ参入するため任天堂に乗り込み山内社長の趣味である囲碁を利用しての口説き落とし、そしてついにはテトリスの正式なライセンスを得るため鉄のカーテンの向こう側へ足を踏み入れ……とまあ、とにかくバイタリティーあふれる魅力的な人物なのです。

「ザ・ブラックオニキス」は自分にとってもRPG初体験となるゲームだったので、その作者がこんなにもユニークな人生を送っていたのだと知る事ができたのは収穫でした。
その後ロジャースはパジトノフと意気投合してテトリスの版権を管理する会社を設立するのですが、それはそうとブラックオニキスシリーズ3作目「ザ・ムーンストーン」の発売はまだですかね……?


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