sl3社共同セミナー1

【新春特別企画】<大手3社>貸付型クラウドファンディングのリスクとリターン

2020年1月31日、当社(クラウドクレジット株式会社)は、SBIグループのSBIソーシャルレンディング株式会社と不動産特化型クラウドファンディング・サービス「OwnersBook」を展開するロードスターキャピタル株式会社をお招きし、新春特別企画として貸付型クラウドファンディング大手3社共同セミナーを開催いたしました。

本セミナー当日は『貸付型クラウドファンディングのリスクとリターン』をテーマとし、業界全体が年月を重ね差別化が進む中にあって、いま一度大手3社各々のご提供するサービスの特色、ファンドのリスクリターンを投資家の皆様に発信する場とさせていただきました。

今回は本セミナーの雰囲気を感じ取っていただくための動画とともに、当日、各登壇者が参加いただいた皆様からオンタイムで募った質問に回答する「第2部:Q&Aセッション」の模様をご紹介いたします。(※)
※ 本セミナー当日のタイムスケジュール、各登壇者の略歴等はこちら(https://crowdcredit.jp/seminar/info/100)をご参照ください。

貸付型クラウドファンディングの案件はどのように見つけているのか

参加者:貸付型クラウドファンディングの案件は各社どのように見つけてくるのでしょうか。営業マンの営業力によるものなのか、借り手からの売り込みによるものなのか、それとも他に何かありますか。

渡部氏:SBIソーシャルレンディングの場合は、借り手を見つけてくる営業マンはおりますが、基本的に現時点では自分たちから「ご融資をしたいです!」といった営業はしておりません。ではどうやって案件を見つけてきているかというと、大きく分けると2つあります。

画像1

SBIソーシャルレンディング株式会社取締役・渡部一貴氏

1つは、我々が協業している企業からの持ち込み案件です。これは、出口も含めてトータルで案件として成立するのではないかという形で提案を受けていますので、彼らが発掘してきた案件を我々が取捨選択するという方法を採用しています。もう1つは、既に借り手になっているお客様からのご紹介です。こういったご紹介はお客様同士の信頼関係に基づくものですから、手堅い案件になりやすいという特性があります。

ちなみに「グループ会社からの紹介が多いのでは?」と言われることもありますが、審査基準を満たさない難しいものも多く、成立しないことが多いです。グループ会社からの紹介であっても、弊社において独立した基準でしっかりと精査しております。

また、電話等で直接「貸してください!」と依頼されるケースもありますが、取捨選択の結果、これまでに案件として成立したものは2件です。なかなか案件化しづらいのが正直なところです。とはいえ、ラインナップの拡充は弊社の課題の一つとして認識しておりますので、人員拡大を含め取組んでまいりたいと考えております。

岩野氏: この論点は私たちロードスターキャピタルも不動産特化型クラウドファンディング・サービスのOwnersBookを運営する上で常に考えている点です。不動産事業者は銀行で借りることができるケースが多いので、弊社としては銀行から何らかの事情で借りることができない案件を探す必要があります。同時にリスクも限定しようとすると難易度が高いです。

画像2

ロードスターキャピタル株式会社代表取締役社長・岩野達志氏

我々の案件で一番多いのは、大きな会社から独立した人が立ち上げた会社や中小の不動産会社です。銀行に行くと「3期連続黒字の財務諸表を出してください」と言われてしまい、それは出せないけれども、現状のネットワークで良質なディールを持っています、というような方々ですね。そうした会社ですと、ほぼ間違いなく売れる良い物件を持っているケースがありますので、そういう良い案件を持っている会社に対してお金を貸しています。

以前は「借りたい!」という会社をインターネットでマーケティングしていた時期もありました。現在全く行っていないというわけではありませんが、それをすると不動産に詳しくなくてお金に困っている会社が来てしまい、いざ貸そうと話を進めても、話が違うなどのケースが多発してしまいました。ですから、我々としては手間がかかっても約束を守ってくれて不動産に詳しい会社に対象を限定して貸付を行うことにしました。

ただ、これも難しくて、何回か貸付を行うと「会社が成長して銀行からお金を借りることができるようになりました!」ということで卒業されてしまうこともあります。我々としては自分たちの行っているビジネスをマーケットの中でも理解していただいて、投資家の方々が増えるのとあわせて借り手も増えていくと良いなと思っています。

評価方法としては、収益性に基づいています。端的にいうと時価を見ています。銀行で積算価格に基づいた評価をされて思ったほど融資額が伸びなかった、という場合であっても、我々は常にマーケットで売買しておりますので、「この物件はこのくらいの価格(で流通する)」というのを見て判断して貸付を行っています。

また、回収する時はその物件を売却される時というのが半分くらいの場合でありますので、売却時の価格をチェックして、貸付時の我々の判断が正しかったかどうかも確認しています。ただ、弊社はコンサバ(保守的)なので、自分たちの評価よりも高く売れることのほうが多いのですが。

稀に弊社の貸付時の評価の9割掛け程度でしか売れなかったケースもありますので、そういう時は何が原因だったのかを分析することに加え、こうしたらもっと高く売れるのではないかというアドバイスをしながらサポートしています。

杉山:弊社では、借り手となる資金需要者からの申込みよりも、弊社のソーシング、貸付先の探索活動により見つけ出した会社に対する貸付が圧倒的に多くなっています。クラウドクレジットのことを知ってくださっている海外の会社からの紹介やお問い合わせをいただくケースは多いのですが、そこから組成した案件は本当にごくごく一部です。

画像3

クラウドクレジット株式会社代表取締役・杉山智行

基本的には弊社からアプローチをしていくというスタイルです。具体的にはその年ごとに異なるのと直近のスタイルは非公表としていますが、たとえば2018年頃のスタイルだと、世界中のカンファレンスに参加したりもしていました。

立ち話レベルの商談だと年間1,000社程度、そのうちの200社くらいと初期商談を行い、うち80社程度の会社さんに本審査プロセスにはいっていただいたようなイメージです。

初期商談について、立ち話の時には話が盛り上がったけれども、いざ真剣に商談にはいると、先方が当社の貸付条件をのめない、逆に当社から見て先方のガバナンスが当初思ったより弱そうまたは財務ステージが若すぎるといったことも少なくありません。また、先方の事業が素晴らしくて条件の目線をお互いが合わせることができても、現地の国の金融関連の法制や税制のハードルから案件化が厳しくなってしまうことも少なくありません。

初期商談に続いて行うデューデリジェンス(投資対象の価値やリスク等の調査)、本審査を通過いただくのが、前述の例だと80社のうち20社くらいのイメージです。この時期(2018年後半から19年前半の時期)にファンド組成してお客様にご提供した案件の数が、ちょうど20件程度だったかと思います。

各社が目指す貸付型クラウドファンディングの未来像

参加者:貸付型クラウドファンディングに投資したいという需要は増加し続けているかと思いますが、需要が供給を大きく上回るとすると、全体的に利回りは下がっていってしまうのではないでしょうか。貸付型クラウドファンディングの10年後の姿はどのようになるか、お三方の考えをお聞きしたいです。

渡部氏:たしかに投資需要、投資家様からのニーズは増えていると感じています。弊社においても投資家様が出資できずにご迷惑をお掛けしているケースがあることは重々認識しております。供給、案件のラインナップを増やしていくことは事業規模の拡大による事業の安定性という意味でも重要な課題だと考えております。その中で、需要の拡大により利回りが低下していくというよりは、幅広い利回りのラインナップを増やしていくことを考えています。高い利回りの案件もあれば、低い利回りの案件もあると。

画像4

弊社にとってのライバルは、同業他社はもちろんですが、金融において融資を扱っている観点からすると、銀行をライバルとして位置付けてもいる。貸付型クラウドファンディングが銀行と異なる点は、支店網がない、体力がない、裏を返せば身軽という点かと思いますが、いずれ銀行と肩を並べ、選択肢となり得るような資金提供者になることを弊社は目指しています。

岩野氏: 結果的に利回りは下がっていく傾向にあるのかなと正直思います。以前と比較すると、リスクも低くなっているのではないでしょうか。最近は法整備が進み、事業者の行っている内容も事業者ごとのトラックレコードも見えてきていますので。

もちろん、今後もハイリスクハイリターンの商品が継続して出てくるかもしれません。ただ、私からすると個人のリスクはそれほど過度に取れるものではないと思いますので、よりリスク管理が行き届いた商品が増えたほうが嬉しいかなと。究極的には個人投資家の皆様から人気のある商品にお金が集まっていきますので、その需要がどこにあるかを探すのが我々の課題だと考えております。

画像5

私たちが行っているビジネスは、様々な事情で銀行がやりにくいというところを私たちが穴埋めしているという状況にあると思います。その点からすると必ずしも銀行がライバルで競合するわけではなく、色々と棲み分けしていけたらと。また、貸付型クラウドファンディングの事業者は日本国内においてまだまだ少ないのが現状ですので、もう少しこの業界にトライしてくれるプレイヤーが増えて、切磋琢磨して皆で盛り上げていけたらと思っています。

杉山:弊社の場合、海外案件になりますので、国内とはまた事情が異なります。先ほど2018年(から19年前半にかけて)だと20件程度の案件を提供したとお話させていただきましたが、直近ではかなり絞っています。理由は、実は当社の審査を通っていただけるのではないかという資金需要者の方の数は、実際に案件化しているよりもかなり多いのですが、出せるだけ全部案件化してしまうと食い合いになり1案件当たりにきちんとお金が集まらない懸念があり、せっかく当社プラットフォームを利用いただいている資金需要者の方々に申し訳ないからです。その点からすると、お客様(日本の個人投資家の方)の需要がファンド案件の供給量を大きく上回ることは現時点で想定し難いと考えています。

画像6

先ほど渡部さんは銀行がライバルとおっしゃっていましたが、弊社の場合は、常々運用会社と比較をしていただきたいと情報発信しています。運用会社と比較して遜色ないパフォーマンスを出すことによってより多くの投資家の方にご支持いただくことで、当社は成長をしていきたいと考えています。

また、投資家の皆様には、コア・ポートフォリオとしては100年以上の歴史を有する国内外の上場株式、それらを投資対象とした投資信託で運用をいただき、弊社ファンドは新興国の経済成長の応援、社会貢献の意味も込めてサテライト・ポートフォリオとして余裕資金中の余裕資金でご投資いただければと思っています。

画像7


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?