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【全文和訳】日本メディアに「報道の自由」はない?報道の自由度世界71位の衝撃
※この記事は全文無料で読めます。詳細は記事末尾を参照のこと。
こんにちは、烏丸百九です。長めの記事を更新出来ず申し訳ないのですが、喫緊の話題なので、翻訳メインの記事をアップします。
「世界報道自由度ランキング」日本71位の衝撃
先日、国境なき記者団(RSF)が、メディアの独立性や多様性を評価する「世界報道自由度ランキング」の2022年版を発表し、日本の順位が71位だったことが話題になっています。
フランスのパリに拠点を置く「国境なき記者団」は、世界各国の報道の自由度に関する分析を毎年発表していて、3日、180の国と地域についてことしの報告書を発表しました。
それによりますと、自由度が最も高いとされたのは6年連続でノルウェーで、最下位は北朝鮮でした。
日本は韓国やオーストラリアと同様に「強まっている大企業の影響力がメディアに自己検閲を促している」として去年から順位を4つ下げて71位に後退しました。
一方、ウクライナに軍事侵攻して以降、報道規制を強化したロシアは155位と、去年から順位を5つ下げました。
他人事感が半端ではない内容ですが、日本の位置が他国と比較しどれほど低いかの詳細な解説もなく、ことさらにロシアの不自由度を強調する辺り、図らずも「報道内容の真実性」を表してしまっているようにも見えます。
こうした報道に対し、Twitterでは米国のNGOフリーダム・ハウスの2016年調査結果が良かったことを持ち出して「このランキングはおかしい」と言い張るものや(そもそもフリーダム・ハウスのランキングからして世界50位なのですが……)、下記のような指摘もありました。
報道の自由ランキング、国を挙げて外資メディアを排除する法律を制定したポーランドやジャーナリストがギャングに殺されまくってるハイチより日本が下の順位で草。このランキングで言論の自由を語るジャーナリスト様、海外の情報に接する能力も分析力もないのに世界を語れるとか逆に尊敬するわ。 pic.twitter.com/cNMmwn75UI
— 窓際三等兵 (@nekogal21) May 4, 2022
要は「海外のメチャクチャヤバい国よりも日本の順位は低い」のですが、確かにロシアのようなジャーナリスト暗殺などまず起きない日本で、これほど低い評価は不思議に感じます。RSFの調査に誤りがあるのでしょうか。
この答えを知るべく、RSF公式サイトの日本ランキングについての解説ページを全文和訳致しました。下の見出し内全てが翻訳部分となります。ランキング71位の「根拠」は、これを読めばわかるかと思います。
国境なき記者団(RSF)―日本の報道自由度について【全文和訳】
![](https://assets.st-note.com/img/1651724860149-0oWcSRTgL0.png)
議会制民主主義国家である日本は、一般的にメディアの自由と多元主義の原則を尊重しているが、伝統やビジネス上の利害によって、ジャーナリストが監視役としての役割を完全に果たせないことが多い。
メディアを取り巻く状況
日本では、伝統的なメディアの方が、ウェブニュースサイトよりも影響力がある。主流となる新聞と放送局は、日本の5大メディア・コングロマリットによって所有されている。読売、朝日、日経新聞、毎日、フジサンケイグループである。読売と朝日はそれぞれ1日700万部、500万部と世界一の新聞発行部数を誇っている。同時に、日本放送協会(NHK)は世界で2番目に大きな公共放送局である。
政治的背景
2012年以降、民族主義的右派が台頭し、多くのジャーナリストが、国民のジャーナリズムに対する不信感、さらには敵意を抱く風潮を訴えている。日本の「記者クラブ」という制度は、既成の報道機関が政府の公式記者会見などに参加し、役人に向けてインタビューを許可するだけで、ジャーナリストの自己検閲を誘発し、フリーランサーや外国人記者に対する露骨な差別を示している。
法的背景
2021年に制定された曖昧な表現の規制は、ジャーナリストを含む一般人が、国防施設や福島原発のような「国家安全保障上の利益」とみなされるインフラの近くなど特定の場所に立ち入ることを制限し、違反した場合は2年の禁固刑と最高200万円(約1万8240米ドル)の罰金を科すものであった。また、政府は「特定秘密保護法」の改正も拒否しており、「不法に」入手した情報の公開は、最高で懲役10年の罰則が定められている。
経済的背景
世界で最も高齢化が進んだこの国では、紙を中心とした媒体が主要な経済モデルであり続けているが、読者層の減少により、その将来は不透明である。日本には新聞と放送局の相互所有に対する規制がないため、極端なメディア集中が起こり、時には2,000人以上の記者を抱える相当規模のメディア集団が成長している。
社会文化的背景
日本政府と企業は日常的に主流メディアの経営に圧力をかけており、その結果、汚職、セクハラ、健康問題(Covid-19、放射能汚染)や公害など、デリケートとみなされる可能性のあるテーマについては、激しい自己検閲が行われている。2020年、政府はCovid-19の健康対策を口実に、記者会見に招待するジャーナリストの数を大幅に減らし、公共放送のNHKを、重大な国家的危機の場合に政府の「指示」に従うべき組織のリストに加えた。
記者の安全性
日本のジャーナリストは比較的安全な労働環境を享受しているが、中には「中傷的」とみなされる内容をリツイートしただけで、政治家から起訴された者もいる。ソーシャルネットワーク上では、政府に批判的なジャーナリストや、福島原発事故が引き起こした健康問題、沖縄の米軍駐留、第二次世界大戦中の日本の戦争犯罪など、「反愛国的」テーマを扱うジャーナリストへの嫌がらせも日常的に行われている。
都合の悪いことにはダンマリな左右のメディア
以上、RSF公式サイトの拙訳をご紹介しました。
このように、「特定秘密保護法の存在」「汚職、セクハラ、Covid-19、放射能汚染や公害報道の自主規制」「SNS等での「反愛国的」テーマを扱うジャーナリストへの嫌がらせ」などなど、国内保守派にとって極めて不都合な事実を率直に紹介しており、これらが「大企業の影響」などよりも余程直接的に「報道の自由」を脅かしていることもハッキリ明言しているわけです。
にもかかわらず、NHKや読売産経はおろか、朝日、毎日など「リベラル」と目される大手メディアすら、RSFの意見を紹介しておらず、かろうじて「メディアの自主検閲が深刻だ」と(自虐的に)述べるに留まっています。
RSFの意見をどう評価するかは個人の見解に委ねられていますが、「ジャーナリストが暗殺されるような国よりも「報道の自由」がない」と見なされている理由は、これで明白なのではないでしょうか。
最後に、サムネに使った「報道の自由度」世界マップ(2022年版)をご紹介します。
![](https://assets.st-note.com/img/1651727006186-czTaPjIGiO.png?width=1200)
青色→赤色になるにつれて「自由度」が低くなっており、一番濃い青が「良い状況」、薄い青は「満足できる状況」、黄色は「問題がある」、オレンジ色は「難しい状況」、赤色は「非常に深刻な状況」を示しています。
日本と同じ「色」の国が何か、じっくり見てみるのも良いでしょう。尚、韓国と台湾は「薄い青」です。
![](https://assets.st-note.com/img/1651727597585-Nu6thwcdcM.png?width=1200)
記事をお読み頂き有り難うございます! 今後も日本メディアが報道しない海外情報について積極的に取り上げていきたいと思っていますので、もしも面白いと感じて頂けたならば是非購入・マガジン登録でのご支援お願いします。
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