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#2-2読書記録(戯曲考察編)

こんにちは、青木葎です。

前回の読書記録のつづきです。→【本編の読書記録はこちら】

①シェイクスピア全集「お気に召すまま」W.シェイクスピア(末尾解説)

全集の面白いところって、注釈に英訳版にこういう言葉遊びになるんですよとか巻末に作品に関することが載っていて読み終わった後にまた読みたくなるところですね。「衣装・演技・ジェンダー」というタイトルで過去の上演記録や今回の松岡和子さん訳と原作のニュアンスの違い等スポットをあてて書かれていました

②「ジェンダーの驚き―シェイクスピアとジェンダー」浜名恵美

「お気に召すまま」も含め、シェイクスピア作品のジェンダーの歴史・資料・価値観を交えた読み方をはじめ、社会におけるジェンダー構造の考察がされた一冊。(シェイクスピア作品同士の比較もあるので事前によんであらすじを知っておいたらより読めたかもしれないとちょっと思った)

③「性を装う シェイクスピア・異性装・ジェンダー」スティーブン・オーゲル

映画・小説・戯曲においてのジェンダー考察が展開されているが、生理学や男女の身体構造も考察に含めているので②より多層的な語っている。そして青木はとても頭が混乱した。引用されている文献や図を用いての解説も多い。

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分析されていたのは作品についてもありましたが、主に「ロザリンドを男性が演じるか女性が演じるか」によって解釈が変わることに焦点をあてて書かれている章もありました。今回はちょっと深堀して楽しくなったので書くことにしました。

(原作では)少年の俳優が演じることで解釈が観客にゆだねられる。きっと「お気に召すまま」という言葉も「自分が気に入ったように」というような意味があるので「これは恋の物語ですが、解釈は観客の皆様のご想像におまかせします」という意味にもとれる(と青木は勝手に想像しております)

またあえて、男女どちらが演じるかによってテーマを変えられるのも魅力だなと作品と今回読んだ書籍を読んで思いました。

(ロザリンドを男性が演じる)同性愛もテーマにできる。多分、本編の最期のセリフから少年俳優を使うことを前提としているのでシェイクスピア先生もこの見方もできるようにしていたのではないでしょうか…。

(ロザリンドを女性が演じる)男女の恋愛がメインテーマになる。〔★原作のロザリンドとシーリアのセリフの掛け合いから女性同士の恋愛にもとらえられるという見方もありましたが、青木はシェイクスピアが生きた時代の女性の価値観に関する資料やちくま文庫以外の翻訳をまだ見つけられていないので、ここでは「男女の恋愛」として読む解釈に1票いれます〕

加えて、ボクが思った魅力はどちらがテーマでも気軽に見れるという点で優れているのかなと思いました。どうしても重いテーマになると重い感じになるものに思えます。

書いていて差別のつもりで書いていなくても見たり聞いたりする人(不特定多数の観客とか)にとっては受け取り手にどう思うか、重いテーマになればなるほど下調べをしたり、思い込みやイメージで書くことは危険だとボクは考えています。でも、もし、本当にその問題を理解するならば「ボク、白米すきなんだ」ぐらい気軽に言える・思える世界線が理想だと思うのです。

演じる側も好きな格好を、好きな理解を、特別なものでなく「恋」という題材で楽しく演じられ、楽しく観れるのはこの戯曲ならではの魅力なんだと思います。演劇の特権は「実際にその姿でその時間を生きられること」、他人になれる幅が広がればきっともっと自由になれないのだろうかと再認識したのも今回読んでみて思いました。

比較作品として「ヴェニスの商人」(異性装のキャラクターが登場)「十二夜」(異性装と同性愛のキャラクターが登場)がよく挙げられていたので、今後も見ていきたいと思います。

それではまた…

追記:ボクが文学を学んでいた時に恩師はとても優しくも厳しい方だったので、恩師の声で「根拠が足りない」「資料足りない」「ほかのシェイクスピア作品との比較は」と聞こえる病にかかりながらこれ書きました。本当は翻訳の比較と論文も引っ張って、最新の情報を手に入れたほうがもっといいのはわかってます。…恩師、ごめんさい…ゆるして…ください…。


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