#2-1読書記録(戯曲編)

こんにちは、青木葎です。

今、「なんだよおおおこのくそつまらねぇぇはなしはよおおお」と心折れながら、力試しにいったん全部通しで書いている作品の参考資料を探していたら面白い作品を見つけたのでご紹介です。

①「お気に召すまま」W.シェイクスピア(松岡和子訳)

https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480033154/

今まで野田秀樹さんの「真夏の夜の夢」や三谷幸喜さんの「恐れを知らぬ川上音二郎一座」等、元の題材としてシェイクスピア作品がモチーフになっているものしか観たことがなかったので今回初めて読みました。

面白い。「牧歌的喜劇」、すごくラフな表現にをすると「さまざまなカップルが織り成す痛快!恋愛ラブコメディ!」みたいなお話でした。アクシデントが起こってもみんな前向き朗らかでコミカルに進んでいき、最後はみんなハッピーエンドで幕を閉じます。

見所は主人公をはじめ恋煩いをしている人物達の(限りなく奇行な)言動が笑いを誘い、最後にまとめあげてみんな幸せにしてしまうシェイクスピアさんすげぇなあと思いました。

(あらすじと人物さえつかめたら楽しく読めます。ただ、ボク日本文学・近代文学専攻の畑で生きてきてしまったのでこの手の海外文学が苦手で…。初読時は海外特有の片仮名人物に苦戦し、あらすじ探し、ラジオドラマを探してそれと照らし合わせて、相関図みながらもう一回全部読み直してやっと読めました。片仮名って難しいですね…。)

〈ざっくりとしたあらすじ〉※Wikipediaさんより〈ざっくりとした人物説明〉(※人数多いのでメイン一部のみ)

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8A%E6%B0%97%E3%81%AB%E5%8F%AC%E3%81%99%E3%81%BE%E3%81%BE

<ド・ボイス家>…主人公・オーランドのいるとこ
◯オリヴァー…ド・ボイス家の長男。最初は亡き父の遺産を一人占めして三男・オーランドーと大喧嘩の末に屋敷からも追い出す上に元召使のアダムも焼き殺そうとする悪人。だったが、後半に森でライオンに襲われた中オーランドに助けられ改心する。

◯ジェイキス…ド・ボイス家の次男。(詳細は描かれず)、最後に朗報を伝えにくるお兄さん。

★オーランドー…主人公。ド・ボイス家の三男。「走れメロス」のメロスみたいな、曲がったことが大嫌い、純朴、恋に狂うと奇特なことをする(→片思いの女の人(ロザリンド)の名前と自作の詩を森の木に刻みまくる)お兄さん。

◯アダム…亡き三兄弟の父から使えていたド・ボイス家の召使の老人。オーランドーを慕ってる。

<新公爵の宮廷の人々>…ヒロイン・ロザリンドのいるところ。
◯フレデリック公爵…兄である前公爵(ヒロイン・ロザリンドの父)を森に追放して公爵になった人。シーリアの父であり、ロザリンドの叔父。自分で開催したレスリング大会でお抱えのレスラーがオーランドーに負け、「お前のせいでうちの娘(シーリア)の評判下がんだよ!宮廷からでてけ!」とか言う気分屋で横暴、ひどいやつ(※作中でも結構けなされていました)

◯シーリア…フレデリック公爵の娘。ロザリンドとは仲睦まじい姉妹のように育ち、ロザリンドが追放を言い渡された際に一緒に家出したすごい子。恋煩いのロザリンドのよき相談相手。追放(家出?)後はエイリーナと名乗る。

★ロザリンド…ヒロイン。前公爵の娘だが前公爵の追放時は幼かったためフレデリック公爵に引きとられ、シーリアとは姉妹のように育つ。フレデリック公爵から追放を言い渡された時に身を守るため「ギャミニード」と名前の変えて男装し、シーリア(エイリーナ)と森へ逃げる。ここまではしっかりした人に見えますが、オーランドーを見かけたシーリアに「あなたが会った時、あの人何してた?何て言った?どんな顔してた?どんな格好してた?」(原文ママ)と聞いてキャイキャイしたり、男装していることをいいことに自らオーランドーに近づいて「恋煩いをカウンセリングしてあげるよ」と片思いのオーランドーにひたすら自分をロザリンドと呼ばせて(自分好みに)告白の練習をさせたり。さらに、練習の待ち合わせに遅刻したオーランドーにふて腐れた態度とると思えば「四六時中オーランドーをみてなきゃだめなの」(原文ママ)とこちらも(奇特な)恋煩いをしているお嬢さん。

あとは、ギャミニード(男装したロザリンド)に恋してしまった不細工な羊飼いの娘・フィービー、そしてずっとフィービーが好きで好きでフラれても顎でつかわれてもなお「おこぼれの笑顔をみせてくれ、それを頼りに生きていくよ」(原文ママ)と惚れている羊飼いのシルヴィアス等、個性豊かな登場人物が出てきます。余談ですがボクはとにかくめげない(脳内恋のお花畑満開な)シルヴィアスが好きです。かわいいんですよ、この子。

(補足1)今回は筑摩書房からでているシェイクスピア全集を読みました。ただ、色んなあらすじが出て来た際に「恋心を探るために男装した」という解釈がでてきたのですが、もともとフレデリック公爵からの追放宣言に伴ってシーリア森へ向かうときに「女二人じゃ危ない」ってところから男装したんですね。

(補足2)興味深いなぁと思ったのがこの作品の最後のこの文章です。注釈には「ロザリンド役(作中男装した女性の役)を演じていたのが少年役者(男性の役者)が演じた際に「素」に戻ったこと」を想定して書いているセリフです。

ロザリンド:(前略)もしも私が女だとしたら、私好みの髭の方、好きなタイプの顔の方、息が臭くない方々皆様に、一人残らずキスをするでしょう。ですから、いい髭、いい顔、きれいな息をお持ちの皆様には、この気持ちをお汲み取りいただき、このように頭を下げるわたくしを拍手で送っていただきますよう。(退場)

動画サイト等ではロザリンド役を女性が演じているものをみかけたのですが、きっとロザリンド役をはじめ男女配役を変えるとまた解釈やはばが広がるお話なんだろうなと思いました。

今回タイトルで2-1としたのは、もう少しまとめたいものがありましたのでとりあえず、ここまでとしたいと思います。



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