堕ちて出逢えた「無色」の自分
中学校の終わりくらいの歳になってからだっただろうか。誰かの目に映ることを極端に恐れるようになった。一方で、「何者か」にはなりたかった。自己表現したいけれどうまくできない、そんな曖昧な思春期を送っていた。
そんな中、自分を表現する唯一の手段があった。それはバドミントンだった。
暑さ40度を超える体育館の中、乾いた床にシューズが甲高く擦れる音。わずか8センチにも満たないシャトルを打つ音。ぶっ倒れる寸前まで走り込み、コートの傍で汗を拭いながらキンキンに冷やしたポカリスエットを飲