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Gestus *委嘱新作初演(アコーディオン&ピアノ デュオ作品) 稲森安太己

アコーディオンとピアノという二つの楽器は発音原理が全く異なるものの、鍵盤(ボタンを含む)に対応して固着された音を発する点では似ている。柔軟に微分音などを発することができないなど、対応の難しい楽想が存在するものの、鍵盤の数の多さで広い音域を高い機動力で走り回ることが可能で、運動性に優れる。

この特質を活かした音楽を考え、ユニゾンや近似した音型を駆使した聴取の混乱をねらった。タイトルの《Gestus》は「身振り」や「演技」といった意味で、二つの楽器の音型の関連の深さを表している。また、本作ではアコーディオンのストラデッラ·バス·システムを採用している。

一つのボタンで三和音や7の和音を演奏することができるこのシステムは、調性音楽を演奏することのみを目標に定めている機構であり、自由な音の組み合わせによって新しい音楽を創造していこうとする無調音楽に適さないように思える。

しかし、考え方によっては、シンプルなボタン操作で複雑な和音を組み上げることが可能で、フリー·バス·システムとは違った面白さを創出できるのではないかと考えた。本作はCROSSAirのお二人によって本公演のために委嘱された。

稲森安太己

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