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90年代フジゲン製Squierストラトの修理2

スイッチの洗浄

スイッチを分解して洗浄しようと思ったが、ネジが固着していて無理に開けようとすると壊れそうだったので、一旦接点洗浄スプレーと布を使って外側から洗浄して様子を見ることにした。

ガリや接触不良があった場合は、いつもまずこの接点洗浄剤を使って洗浄するのだが、埃やゴミが原因の場合は大抵それだけで直ってしまう。今回も、運良くこれだけでノイズがすっかり消えてしまった。おすすめだ。

パーツ類の洗浄

今回パーツ類の洗浄には超音波洗浄機を導入してみた。

上の投稿にも書いたとおり、超音波洗浄だけではサビや汚れは完全には落ちないが、大分時短にはなったし、「綺麗にしすぎない(光沢を出しすぎない)」という点では割と導入して良かったと思う。

ネックのクリーニング

ネックのクリーニングはいつものLizard Spit VIPを使用。上の写真の21Fから14Fまでクリーニングした様子。磨く前の13Fと比べると、軽く磨いただけでかなりきれいになったことがわかる。今まで試してきたギターポリッシュの中では、このLizard Spit VIPが一番確実に汚れが落ちる気がする。

フレットの摺り合わせ

フレットの凹みが結構気になるレベルだったので、少しフレットを削って摺り合わせをすることにした。トラスロッドを回してネックをストレートにして、マスキングをしたら、ストレートを確認しながら慎重に最低限だけフレットを削る。

トップが平らになってしまったので、リクラウニングをする。リクラウニングをする際にフレットのマーキングに使うマーカーの色は結局何色が良いのか未だに疑問だ。今回は黒を使ったが、黒はインクが残っているのか影になっているのか削っているうちにわからなくなってくる。

最後に研磨をしてネック・フレットの手入れは完了。

ボディのクリーニング

ボディの手入れ。ザグリの部分には何故か細かい木の粉のようなものが堆積していた。最初は削りカスかと思ったが、塗装よりも上に堆積しているのはおかしいので、違うのだろう。まあよくわからないが必要なものではないと思うので掃除しておく。

ボディの掃除もLizard SpitのVIPを使用。本当にこれ一本あれば事足りてしまう。長年放置されていたようで、かなり曇りもあったのだがしっかり取れた。

組み込みと調整

組み込みをして、ネック調整、ブリッジ調整、オクターブ調整をする。ネックはわずかに順反り気味に調整。

完成/サウンドチェック

今回のリストアは比較的スムーズに進んだので良かった。

プラスチックパーツや金属パーツなど、古さを感じさせる部分も残しつつ「汚さ」は良い感じに除去できたのではないかと思う。

サウンドチェックは9:46あたりから。あれだけ適当にやったスイッチ洗浄でノイズがしっかり解消したのはラッキーだった。メイプル指板だからか、少しアタックが強めで硬めの音だった。そこそこサステインもあり、音も良い感じだ。

レビュー

最後に、リストアを終えてしばらく使ってみた上でのギターとしてのレビューを書いておこう。

Fender直系のストラトということもあって、基本的にはサウンド面も弾いた感じもイメージ通りのストラトキャスターだ。分解して自分の好みに合わせて組み直してセッティングしたこともあって、音の詰まりもなくサステインも十分にあるので特にクリーンのフロントは弾いていて楽しい。導電塗料が塗られているわけではないので、ノイズは多少乗りやすく、歪ませて弾くと若干ノイズが気になる。

本体の作りは悪くないと思う。パーツに関しては、GOTOHのペグ以外はこのグレードのギターに見られる値段相応の品質のように感じるが、問題はない。ピックガードだけはちょっと薄過ぎて、安っぽさを感じる。ピックガードなんてそんなに高いパーツではないと思うのだが、なんでここだけ極端に安価なグレードのものを採用したのかは不思議だ。3PLYのしっかりしたピックガードに交換しようかと思ったが、ある意味このギターのアイデンティティだと思うので、そのまま残すことにした。

30年前のエントリークラスのギターが、ちょっとした修理だけで今も問題なく弾けるというのは、よく考えてみるとすごいことだと思う。多分今から木が大きく動く、というようなこともないだろうからあと10年、20年経っても弾き続けることができるだろう。良くも悪くもポリ塗装なので、丈夫な一方ラッカー塗装のような経年変化は楽しめないが、値段的なことを考えても手軽/気軽に試せるビンテージとして人気が出る理由も理解できるような気がした。

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