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[機材レビュー]Anboy AN-25

オフィシャルな情報がなかなか見つからないが、90年代にフジゲンがやっていたAnboy(もしくはF&C Anboy)というオリジナルブランドがあったらしい。フジゲンのブランドでありながら、一部の安価なギターは中国の工場で製造されていたようで、今回入手したAN-25というディンキータイプのギターも、調べた限りでは中国で製造されたモデルの可能性が高そうだ。

当時の販売価格はわからなかったが、今中古市場ではフリマアプリでは5000円前後、店頭でも15,000円前後で売られているようだ。

長らく放置されていたギターのようで、弦やフレットは錆び、ボディもかなり汚れていた。電装系はボリュームにガリがある以外は正常だった。いつも通り、弾く前に一通りメンテナンスをすることにした。

ネックやブリッジ、エスカッションなどを外す。電装系については接点洗浄だけで解決しそうなので、外さないことにした。ネックポケットの一部に塗装されていない箇所が見える。上位グレードのDN-50RのボディはCASTWOODという樹脂を固めたMDFのような素材が使われていたようで、おそらくこのAN-25もそれが使われているのではないかと思う。以前購入したSquierのストラトキャスターのボディもそうだったが、この時代のフジゲンは積極的にこの素材を使っていたようだが、2022年現在製造されているギターには使われていないことを考えると、あまり定着はしなかったようだ。

分解をしていて、意外にも木部の造りが結構しっかりしていることに驚いた。ネックと本体の固定部分も、ブリッジなど各パーツの固定もガタつきや歪みがなく、かなりしっかりと固定されている。

ネックはメイプルネックにローズ指板というオーソドックスな構成。反りもほとんどなく、フレットのバリもなくこちらもしっかりしたギターだという印象を受けた。フレットは表面に軽い錆が発生していたので、一応磨くことにした。今回はマスキングをせずプレートを使って磨いてみた。マスキングをするのに比べると大分楽ではあるが、フレットの側面の指板に近い部分はどうしても磨き残しが発生してしまうので一長一短だ。

ボリュームのガリはいつも通り接点洗浄剤で対処する。やっぱり今回もこれだけで直った。

特に問題なく、スムーズに組み上げと調整まで完了。残念ながらゴールドパーツはコンパウンドで研磨することができないため、くすみや腐食部分はどうすることもできなかった。これがあるので個人的にはゴールドパーツはあまり好きになれない。

ところでこのギター、ジャックの位置がボディの真下という珍しい箇所にある。立って弾く分には特に問題ない(が別に便利でもない)が、座って弾くと意外とシールドが邪魔な位置にきやすい。なぜこの位置にしたのか不思議なところだ。

サウンドは動画の最後にて。個性はあまりないが、サステインもトーンも割と悪くないように思う。そして何よりこのギター、ネックのコンディションが良いこともあって、意外にもかなり弾きやすい。

2022年現在、フリマアプリやオークションを見る限り、このギターはどちらかというと人気のあるギターではないように見える。集成材ボディ、杢目のない塗装、国内製造ではなく中国製造であるという点などが人気を下げている要因なのかもしれないが、それらの点を忘れてギター単体として演奏する分には割と悪くなく、もうちょっと評価されても良い一本なのではないかと思った。


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