見出し画像

79年製Greco EG800 その2

「美品」として売られていたGreco EG800だが、改めて分解してみると結構汚れている。ピックガードの下やブリッジ周辺など普段手入れがしにくい部分は特に汚れていた。

ポリ塗装の耐久性はすごく、ワックスでしばらく磨いたら何事もなかったかのように綺麗になった。汚れはすごかったが傷や打痕は少なく、そういう意味では確かに美品かもしれない。

ネックは調整されていたのか、全然問題のない状態だった。元のフレットの高さがどれくらいだったのかわからないが、凹凸が全然ないことを考えるとすり合わせがされているのかもしれない。フレットは多少汚れてはいるものの、そこまでひどいコンディションではなかったので今回はフレットバターだけで手入れを済ませることにした。

ガチガチに固まっていて、ガリノイズも酷かったポット類は洗浄と注油で問題なく動くようになった。以前は5-56による注油は埃を吸い寄せて固着やガリの原因になると聞いていたのでなるべく避けてきたのだが、最近のリペアの中で「洗浄した上で少しだけ挿しておく」方がスムーズに回るし接点のコンディションも長持ちするような気がしてきたので、最近は少しだけ挿すようにしている。

一通りのメンテナンスを終えて組み終えた。ポリ塗装は強固だしプラスチック/金属パーツのコンディションも良好で、40年以上前のギターだが良くも悪くも経年を感じる要素は少ない。固着とノイズが酷かったポット類も洗浄で問題なく使えるようになった。

いわゆるジャパンヴィンテージと呼ばれるギターで、かつ当時の上位グレードのギターを手にしたのはこれが初めてだ。この個体はおそらく過去にもちゃんとしたメンテナンスを受けたことがあるものだと思われるが、改めて今回分解・メンテナンスをしていく中で、細部を見てもしっかりした造りで安さだったり問題を感じる箇所はなかった。今まで見てきた70年代半ばのGrecoとは明らかにクオリティが違う。

ただ、ジャパンヴィンテージならではの「特別さ」を感じる部分も今の所ないというのも正直なところだ。弾きやすさ、サウンドは良好だが、現行のGibson Les Paulだったりあるいは他メーカーの近年のレスポールタイプのギターに比べて特別優れている、とは今の所感じていない。むしろ、2010年頃に製造・販売されていたGreco EG-95の方が個人的には演奏性・サウンド・軽さ・美しさという点では興味深く、感激が大きかった。

この79年製のEG800は、翌年以降のSuper Realシリーズと違い、ヴィンテージ指向ではなく当時のLes Paulの仕様に追従するという方向性で作られていたものだというのも、特別さが少ない要因としてはあるかもしれない。いつかはSuper Realシリーズも試してみたい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?