正体不明SGタイプのギターの修理
いつもの会社の同僚から、今度はSGタイプのギターを預かった。
Grecoのジャンクとして売られていたそうだが、ヘッドにロゴはなく本当かどうかは不明だ。Lawsuit時代に、訴訟対策でヘッドロゴが消された状態で販売されていたことがあるらしいが、載っているパーツなどを見るとLawsuit時代よりも前の時代のギターに見える。おそらくロゴはあとから消されたものだろう。
フレットは汚れて錆びているが、そこまで減っているというわけではなさそうだ。角丸のインレイはところどころ若干位置が怪しい。
暗い色なのでわかりにくいが、近くで見るとボディはかなり汚れている。
割と見慣れないブリッジやテイルピースがついているところを見ると、まだコピーの精度が低かった70年代前半の国産ギターの可能性が高そうな気がする。
「音が出ない」とのことで、実際最初にアンプに繋いだ段階で音は出なかった。ただ、しばらくスイッチをガチャガチャやっていたらそれだけで音が出るようになってしまった。音が出ない状態で売られていた中古ギターでは、割と珍しくないケースだ。
そのままではすぐに再発しそうなので一応接点を洗浄しておく。このスイッチもなかなかギターでは見慣れないサイズのものが使われていた。
SGタイプであるものの、ネックはボルトオン式。サウンドと見た目に関してはわからないが、メンテナンスのしやすさという点ではやはりボルトオン式は優れている。
テイルピースを外してみたら、なぜかテイルピースの下部分の塗装が削れていた。不思議だ。
ピックガードを外してみると、ザグリは結構綺麗に処理されていた。いつものLizard Spit VIPでひたすら磨く。
取り外して洗浄したパーツを戻していく。TONEノブのトップの「TONE」の文字が洗浄しているうちにどこかに消えてしまった。
ネックはかなり順反りでトラスロッドを大分締めることになった。古い国産ギターにありがちだが、フレットがやたら低いため、すり合わせはしないことにした。
錆びたフレットをいつものFernandesのコンパウンドとミニルーターで磨く。ミニルーターを購入したことで大分この作業は楽になった。
ペグの動きが悪かったので、分解してグリスをさす。
組み立てブリッジ調整。ブリッジの向きはどっちむきが正解なのかよくわからなかった。ネックのコンディションがあまり良くないので若干弦高を高くする必要があった。
簡単ではあるが、以上で今回のメンテナンスは完了。結局修理らしい修理はトグルスイッチをガチャガチャしただけで、あとはひたすらクリーニングと調整だけとなってしまった。
低いフレットと高めの弦高で弾きやすいとは言えないギターだが、サウンドは悪くない。ボディが薄いためか低音が最初から弱く、また弦高が高い副作用でちょっと力を抜くだけで必然的に音が切れるので、ザクザクした切れ味の良い音が出る。しかし、やっぱりこの古い国産の低いフレットの弾き心地はなかなか慣れない。
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