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熊本の方言は荒っぽいらしい

約8年前、熊本地震があった時、
テレビで毎日のように熊本の避難所から中継がやっていて、
そのなかのひとつの中継現場で、
避難所にいた熊本の人の発言が全国放送されて、
その話の内容の荒っぽさと言葉使いに
全国の人が驚いて「熊本ってどういう街なんだ」となったことがあった。
その時に投稿した文章


熊本の避難所の人の発言が、
テレビで生中継され、
ネット上で怖れられた件についての補足ですが、
僕が中学生の頃
こういうことがありました。
中学の先輩(卒業生でヤンキー)が、
熊本に行く用事があり、
その時に感じたギャップを
わざわざ母校に話しに来てくれました。

「熊本では『きさん』のことを
なんて言うか知っとうや?」
九州の方言に詳しくない方のために
まず「きさん」という言葉の解説をすると、
「きさん」とはおそらく「貴様」が語源で、
相手のことを呼ぶための言葉です。

この言葉は、
親しい人同志が親愛の意味をこめて使う場面にも、
親しくない相手に対して嫌悪の情を表す場面にも、
どちらでも使われることがあります。

同じ「きさん、なんばしよっとや」という言葉が、
親しい者同志があいさつ程度に使う場合と、
今にも喧嘩になりそうな場面で
憎しみを込めて使われる場合があるのです。

これをふまえて先ほどの
「熊本では『きさん』のことを
なんて言うか知っとうや?」
という先輩の発言の続きですが、
「熊本では『ぬしゃー』て言うとぜ」
と先輩は教えてくれたのです。

「ぬしゃー」という言葉は、
おそらく「お主」という言葉からきているのでしょう。

時代劇のような語感ですが、
その言葉の響きが新鮮で、
一時的に僕のクラスで、
突然胸ぐらをつかんで「ぬしゃー」と言う、
という遊びが流行りました。

このことをうちの奥さんに話すと、
うちの奥さんはかつて熊本で
小学校の事務の仕事をしていたことがあり、
その時に少し離れた(つまり田舎の)
小学校に赴任していたのですが、
そこの小学校の生徒は、
同級生に対して「ぬしゃ、なんばしよっとや」
などと言っていたそうです。

熊本市に住んでいる奥さんが聞いても、
小学生の女の子が
そのような言葉を使うことには違和感があったそうで、
違う地方の人が、
いきなりそんな言葉を聞いたら、
ビックリするのもしかたがないよね、
と話していました。

ちなみに僕は熊本生活8年目になりますが、
いまだに熊本の人が
ネイティブで「ぬしゃー」と言っているのを
聞いたことはありません。
熊本の人でも多少は自覚しているようです。


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