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「UFO真相検証ファイルPart1 戦慄!宇宙人拉致事件の真実」を見た

昨日は久しぶりに
「どうしようもない映画」を見ました。
それは「UFO真相検証ファイルPart1
戦慄!宇宙人拉致事件の真実」という映画です。
おそらくはアメリカで作られた、
UFO検証映画のようなものです。


安いドキュメンタリーのような
テレビ番組レベルのものが、
ただ映画館で上映されているだけの映画でした。


UFOに誘拐(アブダクション)された人についての
検証的な内容でしたが、
アメリカでは基本的にデフォルトとして、
信仰(キリスト教)というものについて、
どういうスタンスを取るかということが、
その人の社会的立場にとって最も重要で、
安易にUFOを認めることは
キリスト教の神様を否定することと
イコールになってしまうので、
俳優でも軍人でも報道関係者でも学者でも、
キリスト教に対して、
配慮というか、目配せしなければ、
何も発言できないので、
それで映画が激つまらなくなってしまうのです。


この映画はPart1とあるように、
当然Part2の上映も予定されています。
でもおそらく行かないと思います。
残念な映画でした。
映画の配給を仕切っているトカナの角さんのことは
とても好きなだけに残念さひとしおです。

ところで「呪怨」がハリウッドでリメイクされた時のことなので、
2004年前後のことだと思うのだが、
清水崇監督を追いかけるドキュメンタリーの中で、
清水さんがハリウッドの若手脚本家チームと、
シナリオ内容の検討をしていて、
「なんでこの場面でこの登場人物が、
死ぬ必要があるんだ?」と清水監督が聞くと、
「それはサクリファイスです」と、
その脚本家の女の子が答えたことがあります。


「はあ?サクリファイス?
そんなのダセえんだよ、書き直せ!」
と清水監督は激昂していたのだが、サクリファイスとは犠牲という意味で、
キリストが人類を救済するために自ら十字架にかかったという
聖書に出て来るエピソードに由来する。


欧米のキリスト教文化においては、
このサクリファイスという概念が、
とても重要な意味を持つものとして出て来ることがあるが、
キリスト教文化にあまり侵食されていない日本人からすると、
意味不明だったり、理解不能に陥ってしまうことがある。


アンドレイ・タルコフスキーの遺作が、
まさに「サクリファイス」という、そのまんまの題名なのだが、
そのストーリーを簡単に説明すると、
ある日、第三次世界大戦が勃発し、
それを憂いた主人公が、
村で魔女と呼ばれている女性を介して、
私の全てを捧げますからと神に祈って、
自分の家に火を放つ、
というような映画なのだが、
ラストの約10分間のワンカットの長回しで、
家が燃え落ちるシーンは、
映画史に残るくらいの名シーンである。
これは共産主義への絶望と宗教への盲信が、
美しい果実に昇華した稀有な例だが、
昨日僕が見た「UFO真相検証ファイルPart1
戦慄!宇宙人拉致事件の真実」という映画は、
宗教の弊害の典型的な例のひとつだと思う。


第二次世界大戦における日本軍の行為が、
正しかったとは思っていないが、
「神風」や「腹切り」を
理解できない野蛮な風習として否定する、
欧米のキリスト教文化に対しても
「お前らなんぼのもんじゃい」と、
憤りを感じるのである。

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