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LTVを上げるために数字を分解してみましょう

久々にCRMのことを書きます。

今回のテーマは「LTVの上げ方」です。

LTVの上げ方1:単価アップ

まず復習がてら、LTVを構成する要素を見ていきましょう。

LTV=購入単価(1)×購入回数(2)

(1)はいかに単価の高い商品を購入していただくか、(2)は長く継続していただくかというシンプルな考え方で施策を設計していきます。

単価アップの方法はアップセルとクロスセルの2つがあり「定期縛り」が淘汰された今の環境下では多くの事業者が注力している施策です。

【アップセル】

「単品定期」から「おまとめ定期」への引き上げが主流で、オンラインであればLPの確認画面(※)やチャットボットでの接客時、オフラインであれば受電時にオペーレーターさんのセールストークでオファーを提示します。

(※)細かな仕組みについては、売れるネット広告社さんのサイトをご参照ください。

■売れるネット広告社様 確認画面でアップセル®
https://ureruad.com/system/knowhow/819.html

私の肌感ですが、20%程度、最大で35%はおまとめ定期に引き上がっています。

以下のような条件の場合のLTV(※)へのインパクトがこちら。

(※)各回継続率は一律80%と設定しています。

比較条件

12ヶ月LTVの推移比較

35%がおまとめ定期を購入すると、顧客全体(単品購入者+おまとめ購入者)のLTVは2,739円アップします。

LTVアップはもちろん、おまとめ定期は4ヶ月目で6回目までの商品購入をしていただけるので、1ヶ月毎にお届けするよりも早く投資回収ができるというのも魅力の1つです。

【クロスセル】

フロント商品である化粧水を購入した顧客に乳液やクレンジングをおすすめし、併用していただく施策ですが、これは商品の組み合わせとオファーがカギになります。

LTVマップ簡素版

既に商品ラインナップが揃っている場合は、上記のような感じでフロント商品+クロス商品の組み合わせ毎にLTVを算出してみましょう。

このLTVが高い組み合わせを中心にオファー設計を行います。

オファーの内容は「クロス商品の定期初回無料」というのが最も強いです。

初回無料であっても、2回目への継続率は60~70%は計算できるので、非常に効率の良い施策であると言えます。

クロスセルの有無でのLTVは、2倍程度の差が生まれるので、複数商材持っている事業者は施策を強化、単一商品の事業者はクロスセル商品を開発すると良いかも知れません。

しかし、一番は最初からクロスセルも計算に入れてフロント商品を開発することだとは思います。

これからD2C立ち上げます!という方は、

・新規獲得はかなり頑張らないとうまくいかない
・縛りが使えないので継続率が上がらない(頑張ってCPO下げるだけでは投資回収が難しい)

このあたりの市場環境を頭に入れたうえで事業計画をしていただくことをおすすめします。

D2Cで成功している会社さんのことを詳しく知っている訳ではありませんが、まだまだ未熟ながらもこの業界経験を積んできたなかで「そんな楽じゃない」ということだけは申し上げられるかと思います。

LTVの上げ方2:リピート率のアップ

LTV推移

LTV推移_2

この表は、上が継続率80%、下が70%で推移した場合のLTV比較です。

見込めるLTVは12,370円。表1との差分は6,819円。

購入者数が1,000人で、売上としては6,819,000円もの差が生まれます。

これが毎月だったら、年間で8,000万円以上のインパクトです。

仮にこの顧客の新規獲得単価(CPO)が10,000円だった場合、表1では4回目でLTV10,000円を超えるのに対して表2では6回目でようやくLTV10,000円を超えます。

回収できるタイミングは、早い方が良いに決まっています。

チャネルの設計

それぞれの切り口で施策を行う際に必要なのが制作物です。

同梱物・DM・LINE・メールなど、チャネルに合わせたクリエイティブが求められます。

制作にあたって意識すべきが「そのチャネルでどれほどの顧客にリーチできるか」です。

メールを受け取る方がほとんどいないのにメール施策を頑張っても効果的ではありませんし、LINEもまずは友だちを増やさないことには始まりません。

ざっくりとでも自社の各チャネルの戦闘力(どの程度の人数をカバーできるか)を試算してみましょう。

※顧客数10,000人の場合

チャネル別リーチ可能数

結論、100%の顧客にリーチできる完璧なチャネルは存在しないのでそれぞれのチャネルを目的や施策内容に合わせて構築していきましょう。

例えば、販促効果が高いのはメールよりもLINEですが、定期継続顧客へのフォロー
や情報提供についてはテキストと画像を使い分けやすいメールが適していたりします(コンテンツページが充実していてそこに誘導できる場合は別)。

ちなみに、20代の女性をメインターゲットとしている商材のECでも、メルマガで20%、購入後のフォローで最大60%メールが開封されていました。

メールに限らず、先入観で「このチャネルはレスポンスとれない」と判断はしない方が良いかもしれません。

まとめ

LTVを向上させることは、言わずもがな事業成長のためには必須の施策です。

CPOを10,000円から9,500円に下げるのとLTVを10,000円から10,500円に上げるのでは後者の方が負荷は少ないと思います。

LTVを上げることでCPOの上限も上げることができます。

2022年はぜひLTV向上に注力してみてください。

そして、その際はアップセル・クロスセルだけでなく顧客に長く愛用していただけるようなフォロー、情報提供やコミュニケーションのコンテンツも充実させてください。


余談ですが、投稿を開始して7ヶ月目。

意外にも(?)記事のタイトルにLTVというワードが含まれている投稿はここまでありませんでした。

それでは。

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