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とある新人作家の日記 #10「削ればよかったのか!」

小説の完成度に、どうしても満足できなくて……!

 何回も読み返して、調整して。
 アドバイスをもらって、改稿を繰り返しても。

(何かが足りないんだよな……?)

 という考えが拭えなかったんです。

 このまま、お披露目して感想をもらっても、多分、自分は(もっといいものが書ける予定だったんだ)と心の中で悲しくなってしまうだろう。


 原稿の〆切が迫っていく中。

 自分は改稿の度に、(ここでヒロインはこんな顔をしていて……)(主人公はこういう性格だから、こんな気持ちになっていて……)と描写を足していきました。

 最初、原稿のページ数が少し足りないと指摘されて、(だとしたら、こんなシーンを付けたそう!)(ここの描写は、こう印象づけよう!)と盛っていく内に、どんどん原稿のページ数は増えていきました。

 第三稿くらいから(……あれ?)と上り調子だった原稿の完成度が、下降していくような感じがしたんです。

この原稿、何が足りないのだろう……?


 ページ数は増えて、いいシーンも増えたのに、今目の前にある原稿に何が足りないのかわからない……。

 アドバイスをもらって、いい感じと言われても、自分の中で納得いかない。


 その時、自分はもともと、ページ数を多く書ける物書きではなかったと思い出しました。

 それは、逆に言うと軽い読み物が書けるという長所でもありました。   

 自分が思っているよりも、その長所は私の文章に大きな役割を果たしていて……。

 改稿を繰り返していく内に、キラリと散ってしまったような感覚があったんです。

いいシーンは増えたし、後は削っていく作業!

 なによりも、自分の原稿を削って洗練させていく作業が大好きだったことを思い出しました。

(長編を書こうとして、無駄なシーンを削っていく内に短編のような文章量になってしまったこともありました笑)

 けれど、自分の中では(ショック……)といった感情はなくて、(こんなに洗練できた!)と、感動みたいなものがありました。

 今、原稿のページ数は足りています。つまり、これから削って洗練させていくと、自分はようやく納得できるだろう! 感動を目指して、頼りないけれど、自信を持って、作業しよう。

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