別冊・医学のあゆみ p118-123を読んで

 ミクロ・マクロ経済学、行動経済学は聞いたことはあるが、概要は説明できない用語であった。用語の意味と近日の医療における応用について述べられている。

・ミクロ経済とは
個人の経済主体の意思決定と行動を分析する学問である。
・行動分析学とは
経済学は合理性がある決定を前提として構築されてるが、人間は合理的であるという仮定が成り立たないことが多いことに着眼し、人間の非合理性を分析する学問である。

専門家からは一見非合理的と取れる、意思決定であれ本人が熟慮の上納得して決めたことであれば、経済学的には合理的であると判断する。しかし、直感的に即座の意思決定をする場合、簡便な意思決定に頼ってしまうことで合理的な判断ができなくなる。この非合理的な意思決定の原因はヒューリスティクス(heuristics)と表現される。

医療保険分野において行動経済学は応用されている。著者は①患者の医療サービス需要への応用②医師の医療技術選択への応用という点で述べている。

①患者の医療サービス需要への応用
費用対効果と需要のバランスを考えて治療方法は選択されるべきとするなら、費用対効果が高い/低い治療を正しく評価し、治療を受ける/受けない音が理想である。しかし、患者が治療の真の価値を判断できずに非効率性が生じることを行動ハザードという。この、保険診療は保険がない場合に比べ需要が過剰になることから、ハザードが生じやすいとしている。現状の医療制度を踏まえたハザードの解決策として、費用対効果の高い治療で過小評価されている医療サービスの自己負担を下げることが有効と述べている。

②医師の医療技術選択への応用
昨今では、合理的ではない医師の行動が医療ヒューリスティクスとして注目されている。医師の治療選択における、治療効果以外の要素として、メーカーによるマーケティングなどの外部情報がある。この外部からの情報によって治療選択が左右されることが注目されている。対策として、医療機関の組織拡大、合併による交渉力を高めることが挙げられている。

行動経済学は、患者の生活習慣の行動のみならず、医療提供側の行動分析にも応用されており医療保険分野で多彩に応用されていると述べている。

 効率よい外来患者対応を求められ、短時間で判断を下す必要に迫られることが多々ある。後述するヒューリスティクスの生まれやすい環境下であるが、検査や治療法の費用対効果と保険点数を認識し合理的な判断ができるよう心掛けたいと考える。

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