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胸を張って好きだと言える

昔から、大した趣味はなかった。
小学生から中学生にかけては、J-pop最盛期だったのもあり、AKB48、backnumber、BUMP OF CHICKEN、GReeeeN、嵐、いきものがかりなど、とにかく歌に踊りにハマっていた。

しかし、「ライブに行きたい!」というまでの熱量はなく、学校やカラオケで友達と歌ったり、懐かしのウォークマンで聴いたりするので充分だった。

きっと、誰に何と言われようと私はそのアーティストが好き!!というより、
いろんな情報を得ていくことで生まれる、友達との「この歌いいよね!」「え〜わかる!」という会話が、一体感が、好きだったのだと思う。

だから、少しずつ音楽の流行が変化して、自分と好みの合う友達が減るのに比例して、音楽への熱量も落ちていってしまった。


高校大学でもこれといって何かにハマっている、ファンである、ということは全くなかった。

たまに、誰かに勧められて誰かの曲を聴いたり何かのドラマを観たりしたが、自然とハマってしまったものではなく、半ば強引にハマりにいこうとしたからか、どれもそれほど長くは続かなかった。


強いて言えば、家計簿をつけて、ひたすら貯金して、銀行残高を眺めるのは前々から好きではあったが、ネタでそれを趣味ということはあっても、本気の趣味はない。



だが、今は胸を張って「ハマっている」と言えるものがある。それが、プロ野球。初めて、好きだと言えるものが見つかったのだ。

誰かと話を合わせるために何かを好きになっていたあのときの自分とは違う。


きっかけは、塾の生徒からの勧めだった。

具体的にどういうやりとりがあったかは忘れてしまったが、その子の言葉がなければ今こんなに野球にハマることはなかっただろうな、という確信はある。

私が応援するのはソフトバンクホークス。
ホークスの情報を追い始めるようになったのは、WBCでの周東選手の俊足を観たところから。


今までの私のプロ野球へのイメージは、(どれも周りの人から聞いたものでしかないが)「本気で走らないからつまらない」「高校野球の方が面白い」「スポーツする人の身体じゃない人がいる」…とまぁ、いいものではなかった。

また、地元愛知は中日ドラゴンズのホームであるが、テレビで試合中継をしていても、父親が無言で、しかも一瞬でチャンネルを替えるため、もはや“観てはならないもの”くらいの気持ちでいた。

私のドラゴンズとの関わりといえば、幼い頃母親について行っていたピアゴ(当時はまだユーストアだったかもしれない)で耳にした『燃えよドラゴンズ』くらいである。


そんなイメージで溢れていたなかで観た、あの周東選手の走りはそれを一瞬で打ち壊した。

「なんだ!足速い人いるじゃん!」

となんとも情けない感想を抱きつつ、気づいたときには周東選手のいるホークスのファンとなっていた。

はじめは野球速報アプリとXで試合情報を追っていたが、次の情報が来るまでの時間に耐えられなくなった。続きが知りたくてうずうずしてしまうのだ。

というわけで、リーグ戦が始まって2か月もしないうちに、ライブ配信サービスに登録。音楽配信サービスへの課金でさえ数ヶ月迷った私が、躊躇わずにカード情報を打ち込んで登録していた。


そうしてプロ野球を観るようになって1年半が経とうとしている。

昨日最終戦を迎えた交流戦は、惜しくも優勝を逃してしまった。

交流戦序盤で主砲・柳田選手の離脱があり、途中近藤選手の怪我もあり、ヒヤヒヤしながらの応援が続いたが、若手の活躍もあり、パリーグの他球団とのゲーム差も開いた。ポジティブに考えていきたいと思っている。


そして、これからまた長い戦いが続く。
周東選手はもちろんのこと、個人的には、同い年で昨年のファーム最優秀選手賞にも輝いている川村選手、それからプロ1年目で2桁本塁打&2桁盗塁を達成した野村勇選手にも頑張ってほしいと思っている。

その2人は今は2軍にいるが、また1軍で暴れ回る姿が見られることを楽しみにしている。



周りがドラゴンズファンばかりの愛知でホークスファンでい続けることは、少々肩身が狭い気もするし、試合の感動を共有できる人が身近にいないのは悲しい気もする。

しかし、それで冷めるような熱量ではない。

こんなに好きになれるチームが、選手が見つかって本当に良かったと思っているし、これからもたくさんの試合を観て、たくさんの選手の活躍や葛藤を知って、もっともっと好きになっていきたいと思っている。

そして、まだまだ勇気は出ないが、いつか、遠く離れた福岡のドームへ、応援しにいきたいと思う。

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