サッカークラブ事業の難しさとは?
記事を書く背景
皆さん、こんにちは!クリアソンの卓間です。
最近、事業会社で働いている知人やファンドやコンサルの知人から
「サッカークラブはもっと収益出てよいのでは??」
「スポーツビジネス興味あるけど実態がわからず、教えてほしい」
等、色々と声を貰うことが多くなってきました!
基本的には「もっと稼げるだろ!!」という趣旨の言葉を貰うことが多いです笑
日本のサッカークラブのみならず、海外のクラブもその知名度、影響力にしては割安だ、というレポートが多数で、ビジネスとして見たときに国内外関わらず難しさを抱えてる気はしています。(それが面白さでもある気も)
今回は7年間クリアソン新宿で働いて、実体験で感じている難しさを言語化してみることで、ビジネスとして何がボトルネックになっているのか分析してみたいと思います。
※全て個人の見解です。
これまでの経験
概略
まず、自分の業務の体験を棚卸したいと思います。
2017年にクリアソン新宿に入社し、最初はサッカークラブの事業で稼ぐ手段がなかったため、大学生の就職活動の斡旋事業に従事しました。
その後、サッカークラブがカテゴリーを上げていくにつれ、パートナー営業(世で言うスポンサー営業)の必要性が高まり2021年に法人営業に従事したあと、2022年以降はtoc関連事業(ファンクラブ、チケッティング、グッズ等)の責任者をしています。
事業の特性がそれぞれ異なる
それぞれの仕事で、お客様や関係者が大きく異なります。
大学生の就職活動斡旋事業
年間で大学生2000名程の開拓
法人100社以上の採用サポート
サッカークラブのパートナー営業
主に経営者やコーポレート部門の方を相手に営業し、クラブのサービスを提案、受注後サービス履行、アフターフォロー
toc関連事業
ファンクラブ
構造自体は、アイドルや歌手等のファンクラブと同様。ファンを獲得し、限定グッズや会報誌等の入会特典を届ける。
チケッティング
収益と集客で分け方が難しいですが、来場者数を増やすためにお客様の属性や媒体など様々な切り口で分けてアプローチしています。ビジネスでいうとマーケティングに分類される側面もありますし、仲良くしている地域の方がまとまって応援にきてくださったりするので政治でいうと票を獲得する選挙活動に近い側面があるかもしれません。
グッズ
メインとしてファンクラブの方向けターゲットの商品が多いですが、試合会場で初めてクリアソンに触れる顧客や、こどもなどファンクラブに入会できない方を対象にオフラインで訴求して購入してもらうグッズ開発や販売等もあります。
自分が担当したのが上記の範囲で、上記以外にも
サッカーチームの仕事、18歳以下を対象としたアカデミー、コーポレート部門、地域活動、挙げればキリがありませんが、仕事は多岐に渡っています。
何がいいたいかというと笑
あくまで自分の経験の範囲ですが、50人~100人程度の会社にしては恐ろしいほどに多角化していることが、ビジネスとして捉えたときの難しさのひとつだ、ということです。
普通、50人程のベンチャー系企業や中小企業であれば、事業は1個や2個です。それが、サッカークラブだと切り方によりますが、細かく分けると10個以上に及びます。
冒頭に記載した通り、現在世界一と言われる、マンチェスターシティやレアルマドリードといった1,000億円級のクラブでさえも、割安だと言われますが、構造が同じくして多角化していることが理由のひとつだと思っています。
営業、という切り方をしても、リクルートのように法人営業を突き詰めた会社に勝てる訳でもない。
マーケティング・物販という切り方をしても、サントリーに勝てる訳ではない。
ファンクラブビジネス、という観点でも芸能人ほどの稼働、質と量を担保できず、現状は勝てない。
加えて、選手の遠征費やスタジアム利用料など固定費が高い。
地域貢献に関しては右に出る事業は多くはないと思いますが、現状は資産価値や収益として換算しにくい。
ドライに表現すると、どの切り口で捉えても現状はビジネスという観点では中途半端、と言わざるを得ません。
じゃあどうする?
今回の記事は解決策を出すことが目的ではなく、また仮に個人として何か発見したとてクリアソン新宿やサッカー界の方向性もあるので採用されるかはわかりませんが、一応ジャストアイデアで自分の意見は出しておきたいと思います。
(読んだ方がいたらフィードバック欲しいです!)
それは、法人の課題解決に多くのリソースを集中させる、ということです。
それが回りまわって個人のファンの課題解決にも繋がるのではないかと予想しています。
法人とサッカークラブの関係
採用サポート関連の仕事で100社以上と触れてきましたが、法人から見たときに、関係性としてはサッカークラブはIT系のSaasのモデルと近しいと思っています。サッカークラブは経営者やマーケティング、広報、人事といったコーポレート系の部署に営業活動で接点を持つことができます。その方々が喜ぶサービスを拡充し提供できれば、使用頻度が高まると思っています。
また、以下に続けますが、日本は個人と法人が強く結びついていると感じており、法人と強く接点を持った方が、結局個人とも関係を築けるとも思っています。
日本の個人の特徴
自分はアメリカ在住のいとこがいる関係で、アメリカを色々見て回って思ったのですが、個人的にはコミュニティとして捉えたときに、アメリカの方が宗教や地域の意識が強いと思っています。いとこに連れられて教会にいきましたが、毎週日曜日に教会に集まってミサや歴史の授業を受けていました。社会人になって毎週日曜日家族以外に会う人がいるというのは、日本だとそこまで多くないような気がしています。また、連れていかれたアメリカのある地域の高校のバスケの試合にとんでもない人数が集まっていました。正直、そこまでレベルが高い訳ではないのに、すごい盛り上がりようです。
一方、日本は、地域の意識が無いとは思いませんが、アメリカと比較すると全体的にすごく強い!という感じは受けていません(あくまで個人の見解)。どちらかというと、コミュニティ=企業や働く場所、という印象が強いです。
グローバル化やIT化で日本でも雇用の流動性が一定高まるとは思いますが、それでもコミュニティ機能を企業に求める個人が、日本では相対的に高い傾向は続くのではないかと見ています。
社内コミュニケーションや、社外との交流機会、福利厚生、採用、研修など様々な分野にサッカーやサッカーから取り出せる要素を掛け合わせ、課題解決していくことがビジネスとして大きくなっていくし、サッカークラブを通して個人も法人も地域と繋がることができる、というサービスにしていくのが良いように思っています。
自分がいま責任を持っているtoc事業も、もちろん個人の方に価値を届けていますが、その応援してくださる個人の方が会社で使いやすいような商品を提供したり、あるいは法人パートナーの社員の方が喜ぶような商品も試しに入れてみたら面白いかもしれないと考えています。
さいごに
読んでいただいた皆様、ありがとうございます!
お察しの通り、難しいなあと感じるばかりで、まとまっておりませんので壁打ちでも手伝うよ!という方がいたらぜひお声がけください!
先日、某自動車会社のマーケティング担当の方が話したいと言ってくださって面談したのですが、本当にそれが参考になりすぎて差し支えない範囲で取り入れさせていただき、売上増加に貢献しています笑
サッカークラブはネガティブな言い方をすると多角化しすぎていると思っていますが、ポジティブに捉えるとビジネスのほとんどの領域をカバーしており、先進的なもの何を取り入れると必ずと言っていいほど何かしら効果が出ます。
某中華のチェーン店が、マーケティング費用が無いから、莫大なマーケティング費用をかけているであろうマクドナルドの目の前に店舗を置く作戦で成功したという記事を見ました。リソースが無い企業の鉄則は巨人の肩に乗ることだと思っています。スキルや経験のある方は、ぜひひと助けだと思ってお声がけください!笑
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?