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ING思考でつくるモノとコトのデザイン

モノからコト化と巷間で言われて久しいのですが、「デザインは、モノ=カタチのことだけではない」と思っていても、私たちがお金を払うのは、所詮、見ることができる。触ることができる。使うことができる=モノ(商品)やサービスです。

しかし、『いいものだけど売れない…』と悩む企業にとって、モノがあれば良いと思っていては間違いだ、と気がつきつつあることも事実で現実です。では、どのように考えたらいいのでしょうか?

「ING」でモノとコトを捉える

くらしの一コマではなく、快適に流れる動画のように、連続する行為のデザイン。くらしの動作を止めることなく、流れるように使いこなす道具。それがINGのコンセプトです。

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「コト」とは、“ライフスタイル(流れるように使いこなす生活スタイル)そのものを提案する”といった言葉そのものに帰着します。

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※イラストはINGデザインの事例内の「Bee」について表しています。

INGデザインの事例を見てみる

▼「Washcom」株式会社オークス
洗濯機の上の棚が生活感丸出しでも「仕方がないかぁー」と、あきらめていた人に、使うときだけ手元に来る“降式の収納”が用意されています。ここまでなら「あーキッチン上の昇降メカを使ったのね」というところでしょうが、このプロダクトは、洗剤、ハンガー、ピンチなど、あまり嬉しくなくても、なければならない、必要なものを一式見事に片付けられる!痒いところに手が届くデザインがされています。

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しかし、この商品の真髄は、“お洗濯をデザインするランドリーユニット”と標榜するもっと凄い仕掛けがあったのです!

・収納部からハンガーポールを手前に引き出しハンガーを取り出す
・洗濯が終わった衣類をそのままハンガーにかける
・収納ボックスの側面に用意されているチョイ掛けポールに生乾きの衣類をかける

こんな具合に、洗濯の流れを収納具が応援して、ストレスなく洗濯ができる!という、文字通り「ING家具」だったのです。洗濯行為を応援する仕掛けをデザインしたのですね。つまり、洗濯用品収納家具ではなく、洗濯行為応援家具だったわけです。

▼「music gallery」株式会社オークス
“収納ではなくコレクションを楽しむCDラック”という触れ込みの商品です。
ミュージックギャラリーと言うだけあって、これも単なるCD収納家具ではありません。音楽鑑賞を楽しむ時間をデザインしたのでしょう。上段の収納スペースは引き出し式で、表にお気に入りのCDジャケットがディスプレーできるようになっていて、それ自体が音楽ジャンルやアーティスト分類を容易にしています。

下段は、お目当てのタイトルをパタパタたおしながら探した、あのレコード屋さんの店先に販売什器を髣髴させる、引き出し式になっています。

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▼「Bee」川口工器株式会社

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この商品は収納家具の扉を開けると、家具から出し入れできる布製のバックが入っています。引き出しの中にしまった見つからない大切なものを、じっくり探すために、引き出しごとテーブルに持ってくる。誰にもあるそんな経験が、この商品を生み出す元になっているのでしょう。

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“散らかりがちなリビングの「保管・動作」の新しいスタイル”を標榜したものです。ただ収納するというスチル写真のような細切れな単機能を、取り出す→使う→仕舞う→保管する。という一連の営み、行為全体を、ムービーのようにとらえているところがこの商品の真骨頂です。携帯電話の家でのホームポジションが、充電装置機能付きで用意されているなど、細かな「ING」がうれしいものです。

▼「OSSO」川口工器株式会社
「OSSO」は、イタリア語で「骨」という意味だそうで、ネーミングが示すとおり、座椅子の中に閉じ込められていたフレームを、クッションの外に露出させ、背後に張り出したフレームデザインが特徴のスタイリングです。

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従来の座椅子のフレームより、数倍の剛性を実現し、ロングライフの商品にするために、かなり太いパイプを使っていることが一見してわかります。キャッチフレーズは、“自分の好みに合わせ永く使えるフロアチェア“で、背抜け尻ぬけせず、後ろの倒れない!など座椅子の3大欠点を克服。さらに簡単に着せ替えができるという、使い続けることができるように、いつまでも新鮮さを「ING」していくデザインです。

ING思考のヒント

いかがでしょうか?単なるモノのデザインで終わると、いくらなの?って聞かれ、競合他社の商品と比較され、バイヤーさんに選ばれる側になりますが、この事例のように、あらたな土俵をつくり、あらたなご利益(コンセプト)を開発すると、見た目(スタイリング)も新鮮になり、中小企業でも立派に大企業と渡り合えます!この全体の創造がデザインだと思ってください。

・提案商品があってしかるべき状況まで研究対象を広げる(暮らしの研究)
・それらの結果を洗濯や収納のあり方、仕方に反映する(コトの開発)
・あり方、仕方というソフトを具体化する新しい形(モノの開発)

事例で扱ったモノのように、これらを一式にデザインすることがヒントです。ハード(商品)と共に、ソフト(新たな使い方)まで、セットでデザインすることが、つまりモノとコトのデザインなのです。


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