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開発テーマづくりの鍵は「怒り」と「不満」

テーマとは、開発の独自課題です。同じ分野の似たような商品でも、ダントツ売れているのはテーマが鮮明です。つまり、商品開発をするにあたって、独自の切り口を持っているということです。そんなことはあたり前だと思っておられるでしょうが、これがなかなか難問なのです。

ヒット要因分析だけで企画する危うさ

例えばヒット商品番付表に載った商品でそれを考えてみましょう。日経MJさんは読者に参考になるように 何故ヒットしたのか?理由を分析し独自の解釈で解説してくれます。読者はそれを参考に…さあ、どうしますか?
もちろん、

ヒット理由=顧客が買いたくなる理由=「消費トレンド」

として解釈し、それをキーワードに自社企画を見直しますよね。しかし、それで万全でしょうか?どうしても少々違和感が残ります。

要因分析は出口分析

ヒットした理由はあくまで売れた結果論です。極端に言うと、それは解析した専門家の経験と価値観に基づく創作だと思っています。そこには、開発者が何を目指して開発したのか?と言う目線では見ていない!大きな落とし穴があると思っています。

個々の消費者はもっと個別的で切実な事情や、心に引っかかる刺激があって、モノやサービスを購入していて、最大公約数のヒット要因とは異なる感覚をもっています。問われれば、「別にそんな気持で買っていないよ…」または「そうかもしれない…だけど」って感じではないでしょうか?つまり、ヒット要因とは全体にほんわり網を被せた解釈だと思いましょう。

怒り、不満、不安がテーマの源

ここからは、事例の商品を参考にみていきましょう。
株式会社オプナスというセキュリティー機器を扱う企業があります。事業理念は“愉しいセキュリティー”です。モノづくりはその理念に基づき実践されています。そこからこんな商品が販売されています。

鍵をかけたかどうか記憶してくれる鍵。「鍵のかけ忘れ、心配なし!」
アイズ - 株式会社オプナス

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この商品開発の開発テーマは、“鍵かけ確認のためにわざわざ家に戻らせない”です。この商品はマスコミでも話題になり、いわゆるヒット商品です。これを結果分析すると、“鍵をかけたかどうか記録が残る”というテーマとして捉えるようです。私の周りにいる多くの開発担当者もきっとこのようにテーマを設定し開発するでしょう。この違いが分かるでしょうか?私は全くこの両者は異次元の違いがあると考え、テーマ設定には細心の注意を払っています。みんなが理性で納得するぬるい落とし所ではいい商品が創れません。

鍵の確認のためにわざわざ家に戻らせない≠鍵をかけたかどうか記録が残る

“鍵かけ確認のためにわざわざ家に戻らせない”この言葉の源はやるせない感情で「怒り」「不安」「不満」です。ですから、切実な解決策を要求するテーマ(課題)です。例えば、

久々家族打ち揃い準備万端いざ温泉に!
快調に飛ばして高速道路へ…

父「鍵かけたよ…ね…?」

しばし間があって…

母「えっ!?あなたかけたんじゃないの!?」

一気に気まずい雰囲気です…切実なテーマになります。
またこんな場面も考えられますね。

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“鍵をかけたかどうか記録が残る”これは理性でたった一つの解決策を想定していて、いくつものアイデアを要求するパワーを失っています。最初から発想の領域を決めてかかり、どことも同じ商品を開発することになります。

怒りから「ウォンツ」へ転換発想する

テーマを創る時に当然の事ながらニーズの調査をしますが、私はウォンツを発想するものだと言っています。しかし、最初からニーズを調査すると平凡で退屈極まりないニーズしか思い浮かびません。深まったウォンツを発想するためには、対象者になりきって思いきりワガママに激しく怒って不満、不安を発想し、それを一つずつニーズに転換すると良いとも言っています、怒りはその人に素の思いだからです。


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