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人の気持ちと行為をカタチにする

株式会社オプナスの「鍵をかけるという行為」についてデザインをした事例を紹介します。セキュリティというと幅広くなりますけど、基本的に機械加工部品の錠前が主な商品です。銀行の金庫の鍵から始まり、自動販売機の鍵などを経てオフィス機器や建材業界に進出し、たびたびワールドビジネスサテライトのトレたまに取り上げられるなど、新しい価値を持つ商品を提案している気鋭のメーカーです。
こちらのnoteの中でも、「鍵をかけたかどうかを外出先でも知ることができる鍵」を事例に取り上げています。

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右に置いてあるUSBメモリーに似ているのが「キーキッス」です。(左の赤いほうは、本物のUSBメモリーです)
これも鍵なのですが、一見して鍵に見えません。そういう鍵が使われる状況ってどんなことでしょう…?通常、車のスマートキーの様な電子キーでなければ鍵は使う時に取り出さなければならないわけですが、この鍵を取り出す行動の際に日常的に注意を払っている人がいます。それは「働く女性」です。

これは鍵の持ち方に着目したことから始まった商品開発なのですが、アイデア発想をしている中で男性と女性では意識がかなり違う事に気がつきました。

男性は抜き身というか鍵を露出させて持つことに馴れていて、アクセサリーの様にジャラジャラさせていても不安はありません。ところが、女性は鍵をキーケースに入れたり、鞄のポケットにしまったりしています。ほとんどの女性は鞄を持って行動しますが、鞄の中で見失わないように、他のものを傷つけない・絡まないように気をつけているということもあります。

それ以前に、金属の部分を露出させることを恐れているフシがあります。
なぜかというと、仕事からの帰宅時に夜道で鍵束の音が鳴ったり、金属部が反射して光ると自分の存在を誰かにアピールしてしまうような気がするんだそうです。ある女性は鍵の金属部を外に露出していると、裸をさらしているような感じがする、と話していたくらいです。

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『ドアの前で背中を向けている時間を短くしたい』
『さっと取り出してさっと家の中に入りたい』
『しかし事前に鍵を準備する事は自分の家が近いことを表してしまう』
『タクシーの運転手ですら信用できない』

帰宅の遅い女性会社員の方は、様々な工夫をして犯罪から身を守る努力をしています。

ちなみに、キーキッスの名前の由来ですが、キー(鍵)がキスする?何のこと?という感じですよね。これは本体の先端形状と鍵穴のくぼみの形状がピタッと合うことで、大幅に差し込みやすさが向上していることから付いた名前です。別に磁石が入っているわけではないですが、ラフに操作してもスッと入ります。

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元々鍵穴が目立たない「ゼロフラットシリンダー」を組み合わせることを前提としていたので、鍵穴ががわかりにくくても吸い込まれるように鍵が導かれるので、鍵穴にうまく鍵が入らなくて何度か差し込み直すような事が減らせます。これも、急いで家の中に入りたい女性には有効なデザインです。この他にも、厚みがあるおかげで、指をひねるだけで軽く回せるなどのメリットがあります。

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