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「7日間映画チャレンジ」四日目 『ラヴ・ストリームス』
タイトルの通り、止まることのない愛の流れはしばしば奔流となって氾濫し、全てのものを押し流します。主人公2人の心のエネルギーがトゥーマッチで、周囲の人々との関係を何もかも滅茶苦茶にしていく。痛い、痛すぎる!と顔をしかめたまま、でも見入っちゃう。この感覚は何なのかと思います。
作家のロバート(ジョン・カサベテス)は、顔を見たこともなかった実子を預かる羽目になりますが、滅茶苦茶な扱いをされた子どもは、当然家から逃げ出してしまう。けれど、何を思ったか走る子を車に乗って追いかけちゃうのが、ロバートって人なんですね。この場面の広角レンズの凄まじい移動撮影が、酩酊したような愛の暴走を、映画の体験として観客に届けてきます。
彼の妹サラ(ジーナ・ローランズ)は、何かというとテンションが上がってしまい、夫と娘との家族の場や彼らを交えた離婚調停の場面を、どんどん滅茶苦茶にしてっちゃいます。その挙句に、いきなりその場に倒れ込んじゃう彼女には、呆気にとられます。愛が自家中毒みたいに身体に回っていく感じなんでしょうね。
階段から転げ落ちる。裸足でボウリングを投げる。運びきれない大量の荷物と一緒にハイヒールで右往左往する。……心の迸りはいちいち過剰な身体のアクションになっていって、それが日常を壊していくのが痛ましいけれど、いつしかそのアクションに快感みたいなものを、私たち観客は感じてしまう。ジョン・カサベテスっていう監督は、ほんとにちゃんと人間に付き合ってるな、って思えるんです。
季刊「リュミエール」という雑誌の「90日間映画日誌」には、公開当時(1987年)、こんな書き込みをしていました。「車の中の酔漢を引っ張り、大きな旅行カバンを引っ張り、ボーリングの球の穴から指を引っ張り、動こうとしない山羊を引っ張る。引っ張ることのもどかしさが愛という言葉を輪郭づける映画。」
雨や風、動物たちといったガジェットがどんどん入り込んでくる怒涛の終盤を、ぜひ皆さんにも体験して頂きたい映画です。
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