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絵を描く時の気持ちの在り方

ワタシは「数枚の絵を同時進行で描く」ということが出来ないので、作品展に向けて制作する時など量がある際は、数ヶ月前から1枚1枚をひとつづつ仕上げていきます。
コレは多分、専門学校時代の影響かと思います。
通っていたイラストレーション科では、曜日毎に提出課題が違うので毎日違う絵を描くんですね。アクリル絵の具で動物、色鉛筆でキャラクター、パステル画で人物の顔、マーカーで人物の全身など、授業内で仕上がらなければ当然宿題となるので、家に持ち帰ってからもそれぞれの提出日までに描き上げる作業を毎日します。もちろん、画材も全て持ち帰るので、カバンから出して描いたら片付けてまたカバンにしまって、という作業も毎日やるわけですね。
道具を出したりしまったりという “片付けるクセ” は自然に身についたので、今ではよかったと思うんですが、描く絵がコロコロ変わるのは結構なストレスでした。このまま仕上げてしまいたいけど、提出課題が優先だからあっちを先に描かなきゃ…ということがしょっちゅう起きるので、気持ちの赴くままに絵を描くことが出来なかったんです。コレは辛かった。
気持ちにブレーキをかけながら描くという作業がだいぶこたえたんでしょう、卒業する頃には絵が描きたくなくなっていました。
限られた時間の中で学ぶということは、いろんな弊害も出てきます。専門学校では様々な技術が得られますが、いろんな意味で、自由に描けるわけではないんです。

ひとつひとつを仕上げていくということは、今描いている絵に集中してその絵の世界に入り同じモチベーションで描くことが出来るので、線や点ひとつひとつにおいてもバランスが崩れることはありません。同時進行で描くと、線の太さや強さがバラバラになったり、あるいは全てが同じ線で単調になってしまうことがあります。どうしても同時進行しなければいけない時は、背景なら背景だけ、メインならメインだけと大まかなパーツに分けて仕上げる方が良いでしょう。
連作で数枚の同じモチーフを描く時は良いのですが、「絵の具がもったいないからこっちも塗っちゃえ〜」という理由で数枚同時進行で塗ってしまうのは、安易だとワタシは思います。
まぁ、人それぞれですが。

描き始めたら最後まで描くというのがワタシのやり方なんですが、途中で描くのをやめてしまったものもたくさんあります。描いている途中で別の絵を描きたくなるとか、描いている絵がイメージ通りに描けない時などは、描くのをやめます。日が経ってから続きを描くこともありますが、その時のモチベーションと同じになることはないのでタッチがだいぶ変わってしまうことがしばしば。それが効果的であるようならば描き進めますが、ほとんどはお蔵入りです。

ということで、今描き途中の絵が結構あるんですよ。基本、描くのをやめた絵には興味がないんですが、なぜかこの絵は時間をあけて少しずつ描いています。

木に宿る命の絵。コンペに出そうと思って描いていましたが、「締切日に合わせて急いで描きたくない」という気持ちを優先することにしました。

みなさまのご支援に感謝します。