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必要なのは技術力、アイデア、向上心と目標

雨続きで、多湿環境に嫌気が差す今日この頃。
絵の制作においては、湿度が高いことで手がペタペタしてしまい、「紙が手に貼りつく」とか「手汗で紙が歪む」とか、思いも寄らない支障が出たりするので、部屋の除湿が欠かせません。
梅雨の時期は普通に集中力が出ないので制作する気も失せるんですけど、ここまで雨が続くと更にやる気がなくなって、人としてどうか?くらいの、ぐうたら人間になりつつありますから、「描く」という作業はしておかないとと思っています。

とはいえ、悶々として集中力もない時に描く絵は納得のいくものに仕上がるはずがないので、ここは試作をすることにしました。

ペン画はドローイングペンか、黒インクをつけペン使用で描いているんですけど、ずっと前から「もう少し工夫出来ないか?」と考えていましてね。
黒一色で描き込み具合を調整して濃淡をつけて描く以外に、何かいいアイデアはないか?と。
カラーペンやカラーインクで描くのは普通すぎるし、誰でも出来る。
唯一無二の、誰にも真似出来ない技術力とアイデア、という点がポイントなわけです。
自ら『粒密画(りゅうみつが』と名付けた絵は、点より更に細かい粒で描くもので、現在はこの技法が大部分を占めています。

宇宙のカケラたち-キレイだね


線・点・粒での表現の仕方はだいぶイメージが固まってきて、テーマやモチーフなんかも定まってきた中での、更なるオリジナリティが欲しいわけですね。

そこで、使用している黒インクに変化を加えてみようかと、試しにあるものを入れてみることにしました。
それが、コレ↓

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金色の「パール粉」です。
パール粉は、真珠の層を粉砕し精製して作られるものですが、この「吉祥のパール粉(金)」は、雲母をベースとして色材を特殊コーティングしたものとなっています。
基本、パール粉は日本画に用いられ、岩絵具や水千絵具同様に膠(にかわ)を混ぜて使います。
古くからある絵具ではないので(近年作られたので)、歴史的日本画にはみられないのですが、パール粉の原点ともいえる日本画作品は数多く存在してまして、今のパール粉同様の光沢で輝きある作品を作り上げていた代表人物が、あの伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)です。

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今でも、鮮やかな色彩と光沢ある輝きが失われずに残っているのはすごいことですよね。

話がズレましたけど、要はこの「パール粉」を黒インクに混ぜたらどうなるか?ってことなんですよ。
つけペンで、しかも点描で描いた際に発色するのか?っていうのは、やってみないとわからないので、モノは試しに混ぜる量を3段回に分けて描き比べてみることにしました。
直径3.5cmの円の中に3つの円を書き、つけペン(Gペン)で点を描き入れてみます。

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金が乗りましたね。
一番外側の円が、パール粉の量が最も多い部分でグレーっぽくなっています。粉の量を変えればグラデーションが容易に出来そうですから、分量(適量)を試し中です。
今回の試し書きでは太めのペン先を使ったので、一番細いペン先でも金が乗るのか?、黒い紙に描くとどうなるか?など、確かめたいことはまだあるので今後はそれらについても試作を重ねていく予定です。

ワタシは、何百年も残る、残したいと思ってもらえる作品を創ることを目標としていて、そのためにはどうしたらいいか?を考えた時に、歴史的作品から学ぶことが多々ありました。
そもそも、今の画材には化学成分や防腐剤が入っているので、100年後作品がどうなっているかなんてまだ証明されていませんから、耐久性については全くわかりません。
それを考えると、数千年の歴史に耐えられる実証があるものを使用した方が確実で、それがワタシの場合「墨」と「和紙」になるわけです。

書は一色で表現しそれが成立する素晴らしいアートですが、「墨を用いるからこそ立体的な黒の色合いが出せる」といいます。
墨汁じゃダメなんですね。
水とともに硯(すずり)ですり下ろした状態のものを色材として用いるのが墨ですが、これにも色々種類があるのでただいま勉強中です。
小さな点や粒レベルには関係ないかもしれませんけど、耐久性という点では墨&和紙がベストと考えるので。
墨を用いて制作するとなると、墨をすり下ろし、すった墨を硯から絵皿に移して濃度の調節をする、というのを毎回しないといけませんから、今の練習段階レベルではインクで十分なわけです。

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テーマや表現方法、技術等が自身の中で確立された時に、墨&和紙に取り組めるよう、今は日々自己鍛練しかありません。
技術力の向上は当たり前ですが、それだけで「残したいと思ってもらえる作品」が創作できるわけじゃないので、いろんな意味での努力を積み重ねていきたいと思います。

みなさまのご支援に感謝します。