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ハンドメイド作家だった頃を思い出す

20年近く前ハンドメイド作家をしていた頃は、ペンケースやブックカバー、ポーチ類などを作っていたんですが、「昼は子育てをして夜中に製作」というのを2年半続けたら体を壊したのでやめざるを得なくなり、それ以来小物製作はしていません。
今でこそハンドメイドがマーケットとして確立されていますが、当時のハンドメイドというのはいくら良いものを作っても高い値段はつけられませんでした。
「手作りなのにこんなにするの?」ってなもんで、手作り=安いものという位置付けだったんですよ。

ワタシがハンドメイド雑貨を作りはじめた頃、東京の恵比寿で『30cm四方のスペースをお貸しします。1ヶ月2000円〜。何を置いてもOK。販売可能』というBOXのレンタルを見つけて、そこに置かせてもらうことにしたんですね。
そうしたら1ヶ月程してショッププロデュースされている方から連絡が入り「表参道にお店を出すので商品を置かせていただけませんか?」と言われたのがきっかけで、本格的にハンドメイド雑貨の製作をスタートすることになったんです。

今思うと「ど素人がよく引き受けたもんだ」と心底ビビりますが、その時はとにかく嬉しくてやる気しかありませんでしたから、気軽にはじめちゃったわけです。
最初は友人と2人でユニットを組んでいたので、仕事も半分ですし「とにかくやってみよう」となったので、仕入れ、製作、納品等を分担して活動することにしました。
試作品を作ってプロデューサーがチェック、OKなら店頭で販売、ダメな場合はボツという流れで、季節に合ったモノをタイミングよく納品していきます。
価格も自分で設定するんですが、なにせ素人ですからどれくらいが適当なのかがわからず、控え目な値段をつけると「もっと高くていいよ」なんて言われたりしてね。
「こんなちっこいポーチに2000円も誰が払うのか」なんて思いながらも価格を決定し納品すると完売したりして、マジ驚きました。
数が作れないので自然と「限定○個」になってしまうこともありますし、なによりも場所が良く、スタッフさんも素敵な方たちばかりなので、ショップ自体人気が出たんだと思います。
コレには本当に恵まれました。自分が何にもせずとも雑誌やテレビの取材が来るので、知らないうちに広まるわけです。
この広告という点において、自分では絶対に出来ないやり方で宣伝してもらえるのは大きかったですね。
有り難いことにそれによって注文が入りますから、製作が追いつかないこともあったりして、大変ながらもやりがいのある活動でした。
それが、途中から1人で活動することになったので一気に負担がかかり、体調が整えられないままやめることになりましたけど、あの時の「波に乗る」という感覚は今でも忘れられない経験です。

なんでこんな話をするのか?というと、片付け中に当時使っていた材料が見つかったんですよ。
商品タグやら納品書なんかを見ると、その時の記憶が一気に甦りましてね。
「とにかく大変だった」の一言に尽きます。
忙しいのは喜ばしいことなんですが、体がついていかずしんどくて仕方がなかったある日、なんとなく収入を時給換算してみたら『時給300円』という実態に愕然として先が見えなくなりやる気がとことん失せた、という情けない記憶ですけどね。

今ではハンドメイドのイベントがあちらこちらで開催されたり、ネットショップも出来たりして市場が広がっていますし、クオリティの高い作品ばかりで驚きます。
当時のワタシの小物たちは、果たして今でも通用するのか?と思うと疑問ですよ。

残っていた布地たちは、現役で活躍するハンドメイド作家さんたちに託しました。
たま〜に使っていただいているようで嬉しいです。
ちなみに、その素敵な作家さんたちの作品が販売されているサイトがコチラ
→minne『GOCONOTE'S GALLERY

布地はテンションが上がるアイテムのひとつなので、お気に入りの柄だけは今でも手元に残してあるんですが、今後これらが形になる予定はありません。
たたんでしまっておくんじゃなく、生かしてあげた方が良いに決まってるんですけどね。
今はそっちに時間を使っている場合じゃないので、作りたいモノを作家さんに依頼して形にしてもらう方が確実ですから、何をどんなものに仕立ててもらうのかをちゃんと考えたいと思います。


みなさまのご支援に感謝します。