地域文化を未来へ

こんにちは。

2020年4月より
武蔵野美術大学 大学院 造形構想研究科 造形構想専攻クリエイティブリーダシップコースに通っています。

私の学科では「クリエイティブリーダーシップ持論」という授業があり、
毎週クリエイティブとビジネスを活用して実際に活躍されているゲスト講師をお招きし、お話を伺います。

あくまで講義のレポートではありますが、デザイン思考などを学び、実践している方々との繋がりや、情報の共有が少しでもできれば嬉しいなと思います。

武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論 第10回【講義日】2020年7月20日(月)

今回は 株式会社うなぎの寝床・代表取締役の白水高広(しらみず たかひろ)さんにお話を伺いました。


うなぎの寝床

まずうなぎの寝床さんってどんな会社なのか?

白水さんは同社を「地域文化商社」と位置付けています。
地域文化とは「一定の地域における土地と 人、人と人が関わりあい生まれる現象の総体」であると示されていました。

美術館や博物館は「文化」に対する意識は高いが経済の意識が低く、商社などは「経済」を基準に動くが文化への意識が乏しいのが現状です。そこでうなぎの寝床はどちらも両立させる形の「地域文化商社」として事業を進められています。
そのために、産業として潜在化した地域文化の魅力や背景を紐解き、多くの人に知ってもらうために顕在化させ、経済をしっかり回し、生活や生業を持続させていくことが大きな仕事だと示されていました。現在は福岡県八女市を中心に取り組まれています。

「もの」と「ひと」を介した本質的な地域文化の継承と収束
その在り方を思考し、行動し続ける生態系をつくる

株式会社うなぎの寝床は、潜在化している本質的な地域文化を探求します。
そして「もの」と「ひと」を介してそれを解釈し直し、
地域文化の現代社会においての経済的・社会的な継続と活用方法をみつけます。
もしくは、幸せな収束方法を考えます。
そのために思考し行動できる生態系をつくり現代において更新し続ける会社です。
引用:うなぎの寝床ホームページ

同社は4つの活動を軸に展開されています。

・NATIVE SCAPE STORE (つくりてが独自につくったものを取り扱う店/風景をつなぐためのお店)
・UNA PRODUCTS(うなぎの寝床が解釈を加えてつくりてと生み出したもの/地域文化を伝えるうなぎオリジナル)
・OHAKO NATIVESCAPE PROJECT(アーティストやデザイナーと地域文化のコラボレーションプロジェクト/ギャラリー)
・NATIVESCAPE EXPERIENCE(ツーリズム・出版・宿など、地域文化を体感できる環境をつくる)


MONPE


同社で売り上げの多くを占めているMONPE

皆さんはもんぺと聞いてどんな物を思い浮かべるでしょうか。
火垂るの墓のせっちゃんとかでしょうか、?
しかし、このもんぺは、ただのもんぺではありません。
現代版のクールなもんぺです。
従来のシルエットを残しながらも、細身にアップデート。また、久留米絣を使用し、様々な色柄のラインナップが取り揃えられています。また、もんぺを「日本のジーンズを目指して」と称し販売。
ジーンズも元々は作業服でしたが、今ではお洒落なアイテムとして全世界に普及しています。この言葉だけで、おじいちゃんが履くものというイメージから、捉え方がガラッと変わりました。
うなぎの寝床の手にかかれば、古くさい要素はスッと抜かれて洗練した姿になってしまいます。


地域文化を未来へ繋ぐ

地域文化を守るだけではなく、継続させようという姿勢が非常に印象的でした。
昔からの伝統を「良いものなんだよ。変わらず伝えたい。」とそのままの形で伝えるのではなく、時代に沿いながら価値を持ち続ける様にアップデートしていく。また、産業が回る様なアプローチは非常に学びとなりました。
やはり地域文化を継承していくんだという覚悟の大きさから、この様なアプローチが構築されたのだろうと感じました。
「良いと思って買い付けたものは責任を持って絶対に売り切る。」という言葉が印象的でした。
 
また、今回はパネラーとして参加させていただきました。
私の研究計画の中で「地方の工場を輝かせたい」と言っていましたが、甘くは無いことをヒシヒシと感じたと共に、アプローチによって可能性は無限大だと感じました。
お客さんが「伝統を継承したいから買おう」など、そんなことを考える暇もなく、素直に「素敵。欲しい。」と思ってもらえる様にするにはどうすれば良いのか。これを考えていくことが肝だと学びました。
本当に貴重な学びをいただいた時間でした。


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