高校生からはじまる地域イノベーション
こんにちは。
2020年4月より
武蔵野美術大学 大学院 造形構想研究科 造形構想専攻クリエイティブリーダシップコースに通っています。
私の学科では「クリエイティブリーダーシップ持論」という授業があり、
毎週クリエイティブとビジネスを活用して実際に活躍されているゲスト講師をお招きし、お話を伺います。
あくまで講義のレポートではありますが、デザイン思考などを学び、実践している方々との繋がりや、情報の共有が少しでもできれば嬉しいなと思います。
i.clubについて
武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論 第2回【講義日】2020年5月25日(月)
第2回目は、i.club 教育デザイナー 小川悠さんにお話を伺いました。
i.club社は中学生・高校生へのイノベーション教育と、そこから生まれたアイデアの事業創出を大人と目指すことにより地域がイノベーションを起こすキッカケの仕組みづくりをされています。下記3つの事業を軸に活動されています。
・イノベーション教育プログラム
若者が将来地域で新しい価値を創り出していくのは困難との考えから、イノベーション教育の知見を活かし、ユニークな手法を織り交ぜながら、地域でイノベーションを起こすための作法・心構え・動機づけを学ぶ。
・アイディア開発
主に高校生へのイノベーション教育や、
そこから生まれたアイデアの事業創出を大人と目指す「アイディア開発」
・商品ブランディング
商品ブランドの実現と合わせ、商品販促の企画・立案を行う。
ー「i」(innovation)から生まれる問いをすべての10代にー
:i.club ビジョン
**「イノベーション」(innovation) ってそもそもどういうこと?
**
まず小川さんは「イノベーション」について
丁寧にご説明くださいました。
最近よく耳にする「イノベーション」という言葉。
皆さんはどう説明しますか?
先生や社会人に聞くと 技術革新 と答える人が多いそう。
広辞苑で調べると 「広義的な意味の革新」
新明解国語辞典だと「(経済発展の基本動因となる)技術の革新」
”技術革新”
なんとも難しい…。理系がすることだよね…。
そんなイメージを持たれがちなこの言葉ですが、
小川さんの答えは 未来を作るアイディア とのことでした。
つまりイノベーションとは、人々の価値観、行動、習慣が変化し、アイディアを出し普及させ、未来をつくることだそうです。
では具体的にどういうことか、
実際に小川さんが行った「イノベーション」の例をご紹介します。
**イノベーション事例 ジョセササイズ
**
福島県西会津町で誕生した「除雪」のイノベーション事例。
「除雪」と聞くと 辛い、やりたくない というマイナスのイメージがあるかと思います。
私自身北海道出身のため、痛いほど除雪の辛さを知っています。
出かける1時間前には雪かきをしないと車が出せず、
まだ小さかった私もシャベルを持って、一生懸命母と除雪をした記憶が鮮明に蘇ります。出かける頃にはヘットヘトでした。
そこで小川さんがご提案されたのが ジョセササイズ です。
ジョセササイズとは「除雪」と「エクササイズ」を掛け合わせた、「除雪でエクササイズ」の略です。
除雪は労働ではなくエクササイズであるという考え方へ変えました。
このアイディアによって、除雪が 辛い から 楽しい に変わり、
今では東京からジョセササイズしに、わざわざお金を払って福島までやってくるそうです。
あんなに辛い思い出のあった私でさえ、もう一度除雪をしてみたい様な気分になってしまいました。正に人々の価値観、行動、習慣が変化し、未来を作られている活動です。
「Josetsu is not a lobor, It is an exercisecise!」
「除雪は労働じゃない!エクササイズなんだ!」
引用:日本ジョセササイズ協会 on Strikingl
好きな事で生きていく為にはどうしたらいいか**
「好きな事で生きていく為にはどうしたらいいか」という問いに対して小川さんは 自分の旗を立てられること と述べていました。
自分の旗を立てられること とは
1.自分の旗を持つ力
自分の「好き」から生まれる問いをたてられること
2.誰も立てていない場所に旗を立てる力
自分がイノベーションを創造できること
→どうしたら、自分の「好き」から生まれる問いを立てられるのか が重要であるとのこと。
i.club社としては、地域を舞台にイノベーションに挑む、ことで旗を立てていらっしゃるそうです。
i.club社のイノベーション教育プログラム**
i.club社はアイディアを出すことはセンスや才能ではなく 物事を解決には、どの様に解くか 作法を学び 挑むことが 非常に重要であり、それこそがイノベーション教育であるとのこと。
イチローも同じことを残しています。
「僕は天才ではありません。なぜかというと自分がどうしてヒットを打てるか説明出来るからです」
:イチロー
i.club社では、正解があるものをどうやって早く導くかのいままでの教育とは違い、未来をつくるアイデアを出すための「作法」を学び、加えて「挑む」ためのイノベーション教育を開発・提供しています。
一般的な教育は、自己理解 → 自己変容 のフローで進めます。
しかしそれでは難しいため、 価値創造 と 他者理解 を加え、
価値創造 → 他者理解 → 自己理解 → 自己変容 と4段回のアプローチをしているそう。
また、地方の若者離れは
1.地方の魅力を理解する機会がない
2.同世代や世代の枠を超えた繋がりを持つ機会がない
3.未来を作るアイディアを出すことを学んだことがない
の 3つのない から進んでいるとのこと。
この 3つのない の解決のために、イノベーション作法の教材づくりや
イノベーションに挑むプログラムを提案されています。こちらは学生自身の地元で行うものと、旅先で行うものの2通り実施されているそうです。旅先でのプログラムは地元ではないからこそ、非日常が故に得られる学びである為、高校生も楽しんでプログラムに取り組むそうです。また、頭が柔らかい若いうちに学んでおく重要性も述べられていました。
まとめ
i.club社 小川さんのお話を伺い
・誰もがイノベーションを創造できる
という点が最も印象的でした。
センスやアイディアではなく、作法を知り、挑むことで誰しもがイノベーションを創出できることを学びました。小川さんが実施されているような教育がもっと高校生へ広がっていくことで、自由な発想を促すことで、より一層日本の未来は明るくなるだろうと感じました。
また、イノベーションにおいても自己肯定感が重要というお話も印象的でした。
今では大分緩和されてきたものの、地方と都会の情報格差による自己肯定感の差は大きく、普段から周りに褒められ、自分の考えに自信を持つ事で目的を持って行動できるのだそうです。
今までの思考を解き放ち、誰しもがイノベーターとなれるような大人の環境づくりが非常に重要だと感じました。
そのためにも私たち大人自身も日々作法を学び、挑むことで日々を切り開いていくことが重要であると感じました。
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