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枠を超えたデザイナー

こんにちは。

2020年4月より
武蔵野美術大学 大学院 造形構想研究科 造形構想専攻クリエイティブリーダシップコースに通っています。

私の学科では「クリエイティブリーダーシップ持論」という授業があり、
毎週クリエイティブとビジネスを活用して実際に活躍されているゲスト講師をお招きし、お話を伺います。

あくまで講義のレポートではありますが、デザイン思考などを学び、実践している方々との繋がりや、情報の共有が少しでもできれば嬉しいなと思います。


川上元美さんについて

武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論 第4回【講義日】2020年6月8日(月)

今回は デザイナーの川上元美さんにお話を伺いました。


川上元美さん
ボトルのデザインから橋までプロダクトデザイン、インテリアデザイン、環境デザインなど幅広く、生活を取り巻く環境をかたちづくる日用品、家具、空間をデザインしてきた川上元美さん。
 手掛けたデザインはほぼ全てにまたがっており、常に第一線でご活躍されています。言葉では簡単に言えますが、これを本当に実現されている方がいらっしゃるのかと、改めて驚きを隠せませんでした。

川上さんのお言葉からも非常に強く伝わります。

現場に於いて、デザインは空間ーひとー道具の関係のさまざまなシーンを見据えながら、手法としての多岐にわたる新旧の技術や素材、また直面している資源問題や住環境の劣化、高齢化社会、あるいは南北問題など、社会的、文化的諸々の因子を選択し、統合する作業や能力が求められています。
多摩美術大学環境デザイン学科のWebより

もう既にご存知の方も多くいると思いますが、川上さんの有名な数々の作品の
いくつかをご紹介させていただきます。


「BRONX」

カッシーナ・イクスシー社の名作です。

インテグラルポリウレタンフォームという表面素材の独自性に加え、フォールディングした時のコンパクトさ、またアーム付きであるという点など、折り畳み式の椅子として優れたデザインを誇る製品です。
今までの折り畳み椅子のイメージを刷新した1作

また、積み重ねられた際の美しさが特に印象的でした。単体でも美しいBRONXですが、重なるとまた新たな一作品として成立するほどの美しさです。
会議室の後ろに積み上げられている、折り畳み椅子を美しいと感じたことはありませんでした。ですが、デザイン次第で主役ではないとき(収納されているとき)も美しく演出できるのは一つまた学びとなりました。



鶴見つばさ橋

羽田空港と横浜ベイブリッジ間を結ぶ高速湾岸線の主要橋梁として、橋長1020mの橋です。

なんと言ってもこの最大限に無駄のないデザインが特徴的です。

↓鶴見翼橋 デザイン の検索結果です。


光との調和を計るため、よりシンプルに、スレンダーに仕上げる点を徹底的に意識されたそう。止めるビスを全て隠すまでのこだわりです。

一眼見たときに、「橋」だけではなくその周辺の空や車の景色も
同じレベルで視界に入ってきた
ことに驚きました。
これこそが調和するデザインということなのだとハっとさせられました。

ご本人のナレーションの入った動画です。
素敵な信念を持ってデザインをされていることが、ヒシヒシと伝わりますので、
ぜひご覧ください。

夕陽に照らされた鶴見つばさ橋は圧巻です。




デザインに枠はない

今回川上さんのお話を伺い、デザインに枠はない。ということを強く感じました。

世間ではデザインだけでも、 
グラフィックデザイナー、インテリアデザイナー、と沢山の肩書きがあります。

これは知らないどこかの誰かが決めた枠組みです。
知らぬうちに既存の枠に囚われ、その外側は他人事だと思い、果敢に励む人は少ないかと思います。
ですが川上さんのお話を伺い、枠はどこまででも広げられる物だと学びました。

デザインにおいて、それっぽい理屈はいくらでも付けられると思います。
ですが、川上さんのデザインはどれもが一目で釘付けになる物ばかりでした。
理屈なんて聞かなくたって、美しいと誰もが分かる。
それをジャンルを超えて実現してしまう川上さんの偉大さを改めて実感しました。

また、お話をされている姿はとってもチャーミングで永遠の少年の様な方でいらっしゃいました。
短い時間でしたが、川上さんの周りには笑顔が溢れていらっしゃるのだろうとすぐに想像でき、美しい人間の元に美しいデザインが宿るのだと感じました。

ご本人自身も「人としての豊かさがデザインとなる」と示されていました。

私自身も、世界の小さなイノベーションを見逃さず、日々の全てに好奇心を持ち、咀嚼してゆくことで、より社会が豊かになる様なデザインの発想を鍛えてゆきたいと思いました。


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