Orangestarは疲れている

Orangestarは疲れていると思う。
別に、私がOrangestarの何なのかというと、何万人もいる彼のリスナーのうちの一人でしかない。

その一リスナーが、彼が疲れていそうだなーと思っているだけである。
具体的には、今までのような曲が作れなくて苦悩していると考えている。

もちろん、アーティストであればほぼ全員がこの悩みは持つだろう。ブランクだの何なのとか言って。

しかし、私が彼に対して感じているのは、そんなブランクよりももっと深いものではないかと思ってる。
もう元には戻らない。例えるなら、子役の成長。
子役が成長して、もう当時のキャスティングができなくなったかのような。

こう見える理由を話す前に、私には彼の曲がどう聞こえているのか書く。

彼の曲は、n-bunaやその他のアーティストと違って、感情がわーっとなり叫んでいる彼の姿がIAと重なって想起されるのだ。

それは叫んでいるような曲調を採用していることもさることながら、私が彼をそう見てしまっているのもある。
なぜなら、列車のレールに将来のレールを重ねて葛藤したり(空奏列車)、虫を潰したときの後悔を歌にしたり(ヴァーミンキラー)と、今では悩んでた理由も分からないような感情を思い出させてくるから。

私の中のOrangestarは今でも虫を潰してしまったことに命を惜しむような少年なのだ。そりゃ感情が高ぶったら叫ぶでしょ といった感じなのだ。

で、最近はそんな叫びが聞こえてこない。なんか落ち着いている感じがする。

2022年8月のライブで発表されたAloudからそうなった。そもそも叫んでいるような曲調を採用しなくなった。

表現自体が変わったわけだが、これは彼の苦難の結果ともいえる気がしている。

おそらく、叫びたくなるくらい感情が高ぶらなくなった、つまり彼は大人になってしまったという結論に至った。

今思えば、そのほかにも苦しんでいる片鱗はあったかもしれない。

例えば、2022年12月の年末に「来年は100曲作るぞー」とツイート(当時)した。
私はこれに違和感を覚えた。

単なる冗談とか、彼は100曲作った内の珠玉の一曲をいつもリリースしてるとか いろいろ考えたが
一番しっくりくるのは、「あえて自分に目標を課した」というもの。

「来年は100曲作るぞー」という言葉からは、「現状そんなに曲作れてない自覚」と「来年こそ頑張らなくちゃという焦り」というニュアンスを感じた。
ある種クリエイターに期間制限を課すような言い方だ。彼はもともとそういうタイプではないと思うんだ。

むしろ、納期や目標よりも自分が表現したいことを優先するタイプ。(まったく考えてないことはないと思うが)
そんな彼が、期間を決めて目標を立て始めた。彼の中で何かのバランスが崩れ始めたのではないかと考えてる。

話が変わるが、私は2022年8月に、彼のライブを観に行った
そこで初めて彼の顔や話し方(曲以外の部分)を見たわけだが、早々察したことがある。それは「彼は音でしか自分の感情を表現できない」ということ。
「音で表現することが得意」なのではない。「音でしか表現できない」というところがポイントだ。悪い意味じゃない。

MCのあどけなさや 喋ることがなくなったから次の曲に行っちゃったり、曲以外は本当にちょっとしゃべるのが苦手な友達みたいな感じだった。

そんな、表現が音に特化した人間が大人になって曲が書けなくなってしまったら、、、と考えると
それは私が想像する以上に辛い思いをしているのではないかな。

それは、昨日まで目が見えていた人間が視力を失うこと、耳が聞こえていた人が難聴になるのと同じことだ。
しかも、他人からしたら作曲家のよくあるブランク 彼本人からしたら、徐々に体が動かなくなること なのだ。

病名が付くわけでもなく、急ではなく徐々に分からなくなっていくのだから、もしかしたら自分でも気づかないかもしれない。

だからもがいてみる 活動は続けているが なんか魂が入らない 納得感が無い といった感じだ。

そいう言えば、みんなが少年の時って周りで起こることの6-7割くらいに対して未完成なものの見方してなかった?
前まではそれが曲に表れてる気がしていた。

でも、もう彼はアメリカ住んでるし、学校も卒業してる。
当時の海の向こうへの好奇心も、いまや飛行機で数時間で行けるほどになった。
当時に比べて虫だって殺し慣れてるし、命とも思ってない(歌詞の通りになってるわけだが)

そんな、当時6-7割を占めていた彼の未完成は、もはや0-1割くらいになっちゃってる。
それはそう それが大人になるってことなのだ 人間にとって当たりまえ。

それによって苦しむがどうしようもない。

私にとっては、まさに子役が成長してしまったように見えているわけだ。

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