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UFC ファイトナイト ラスベガス53 注目した試合と感想
メインイベントの「ロブ・フォントVSマルロン・ヴェラ」と同じくらい注目していたカード「平良達郎VSカルロス・カンデラリオ」が延期となってしまった今大会。
修斗世界王者でありプロMMA戦績10戦無敗の平良達郎が世界最高峰の総合格闘技団体「UFC」の舞台でどんなパフォーマンスを見せてくれるのか。
そこを楽しみにしていただけにその試合を見ることが出来なかったのは残念ではあったけれど、それ以上に対戦相手の体調不良で試合開始の数時間前に延期を伝えられた平良選手は誰よりもガッカリしただろうと思う。
また、今回延期になった試合は2週間後の5月14日にスライドされるので、その大会で世界を相手に強さを見せる日本人ファイターの誕生を期待したい。
注目カード プレリム編
○ゲイブリエル・グリーン(11-3)VS●ヨアン・レイネス(8-1)
今回の一戦を終えるまでは無敗だったヨアン・レイネスは打撃を得意とするストライカー。それに対してゲイブリエル・グリーンは距離を取って相手の打撃を躱しながら飛び込むタイミングを計り、打ち合いはせずに自分のペースを作っていこうとする。
敗戦の少ない選手の多くは自分の得意な形を持っていて、その強みを相手に押し付けることが出来る傾向にあるので攻略するにはそういったところを崩していく必要がある。
それは簡単ではないけれど、今回この一戦でグリーンは結果的にそこを上手くやった印象がある。
というのも先述したようにグリーンはレイネスに対して距離をとってなるべく被弾を避けるようにしていたので、序盤から勢いをつけたいレイネスの打撃が思うようにヒットせず中々リズムに乗れない流れにあった。
その結果、レイネスは得意の打撃ではなく組んでテイクダウンを狙うプランにシフトしていく。しかしレイネスに組技でのフィニッシュはなく、そこに強力な技術があるわけでもない。つまり、この時点でレイネスは自身の得意を押し付ける展開から遠ざかることになる。
さらに組みを多用することで大きな力を使い、普段とは違うゲームメイクとなったことでスタミナの消費にも大きな違いが出てしまった。
その影響で2ラウンド目からレイネスの動きが落ちてくる。
ただグリーンも自身のペースを乱さなかったという点でコンディションは僅かに優勢のように見えたが、レイネスを往なしきれていた訳ではないので1ラウンド目ではテイクダウンを許しトップコントロールされ、2ラウンド目では強力な打撃でダウンされ大きなピンチを迎えていた。
やはり無敗のレコードは伊達ではなくレイネスの方が威力という点では勝っていて脅威はあった。
けれどトップをとってからの攻めの選択肢が乏しくスタミナを失ったことでじりじりと追い詰められていき、最終的にポイントでは劣勢にあったであろうグリーンの打撃を浴びてマットに沈んでしまう結果となる。
相手の強みに勝てなくてもゲームを上手く運ぶことで相手のリズムを乱し相手を負ける流れに落としていく。
グリーンが戦術としてそういったことを意識していたのかどうかは分からないし、結果的にそうなっただけという部分もあるかとは思うけれど(レイネスがトップからの攻め方に長けていたら厳しい展開になっていた可能性が高い)、効果的な勝ち方を示す内容が含まれていたという点で注目出来た。
注目カード メインカード編
●ロブ・フォント⓹(19-6)VS○マルロン・ヴェラ⓼(19-7-1)
連勝の途切れたフォントはキャリ初の体重超過で今回の試合に臨んでいる。対するヴェラは2連勝中。群雄割拠のバンタム級で行われる上位ランカー戦。
試合開始からリーチのあるフォントのジャブがヴェラにヒットしていき距離感を掴みながら先手をとる。ヴェラは自分の距離を把握出来ないまま1ラウンドを過ごした。
この段階で圧倒的優勢だったフォントだが、手数に対してダメージがあまり与えられていないように見えてその点が気に掛かっていた。
自分のペースで試合を運んでいるのはフォントだったが、そこまで削ることが出来ていない印象。
けれど2ラウンド目も支配的なのはフォント、手数でヴェラを圧倒する。しかしカウンター気味のジャブやミドルキックなどヴェラの打撃も徐々にヒットし始め威力も高い。
そして2ラウンド終了間際、ヴェラのプレッシャーからケージ際に追い込まれたフォントはヴェラのフック気味の左を被弾しダウンする。
追撃を仕掛けるヴェラにしがみ付いてなんとか生き残るフォント。
優勢から一転、フィニッシュ寸前まで追い込まれたフォント。ヴェラの打撃も致命傷になるような当たりには見えなかったが、顎を捉えていたようでフォントは立ち上がることも出来ずヴェラの足に組み付くことしか出来ないほどのダメージを負った。
それから残りの3ラウンドは2ラウンド目と同じような展開を繰り返し、ラウンドを重ねるごとにフォントにはダメージが加わっていき、終わりに向かってどんどん余裕になっていくヴェラに対してフォントは勢いを失い血だるまになっていった。
フィニッシュこそされなかったが、3-0の判定でヴェラが勝利を収めバンタム級のタイトル戦にまた一歩近づく結果となった。
前戦でジョゼ・アルドに敗れタイトル戦線からやや外れてしまったフォントにとって、復帰戦となった今回の戦い。試合前から軽量でキャリア初の体重超過を犯したり、表情にも張りがないことからメンタル面での調子の悪さを不安視されていたフォント。
今回手痛い2連敗を喫し、怪物がひしめくバンタム級の争いの中で再びタイトル戦線に浮上することは出来るのか。今後の動向にも注目していきたい。
また、次週は「UFC274」が開催される。
ダブルタイトルマッチの他、ライト級ランカー対決も組まれるのでそちらも引き続き注目していきたい。
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