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クライマックスは来年以降か ~HPVワクチン薬害大阪訴訟~

2月17日から新型コロナワクチン接種が始まり、「効果は?」「副反応は?」などワクチン報道が溢れている。

過去の薬害の影響でワクチンに対する懐疑的な感情が根強いと言われる日本だが、現実にHPV(子宮頸がん)ワクチン接種による薬害の裁判が進行している。HPVワクチン薬害大阪訴訟の現状について、弁護団事務局の西念京祐・弁護士に電話で話を聞いた(取材日2月19日)。
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※画像は「HPVワクチン薬害訴訟全国弁護団」公式HPより引用
※新型コロナワクチンについては、大阪弁護団内で議論がまだ集約されていないため現時点でコメントするのは差し控えたいとのこと。
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ーーHPVワクチン薬害大阪訴訟の現状での手応えはいかがでしょう?

提訴して時間が経ちますが、まだ手応えを感じる段階ではありません。現在、総論に関する主張の応酬を行っているところです。

薬害についての裁判では、薬に効き目があるかどうかという「有効性」、そして、その薬を使用することでの「危険性」はどれほどか、被告が「危険性」をいつから認識していたのか、といったことがポイントになります。「有効性」が「危険性」を上回る度合いを「有用性」と呼びます。

薬の使用は、身体に異物を入れるという一種の侵襲行為なので、本来は許されないことです。そのことによって得られる「有効性」が「危険性」を上回る場合のみ薬として承認され世の中に流通させることができます。臨床試験はその点を確かめるために行われているものです。

特にワクチンの場合、この「有用性」の判断が厳格に行われなくてはいけません。病気の治療薬の場合は、服用する前は病気の状態。それを改善する目的で使うものなので、服用による有害作用が一定程度あっても世間は許容すると言われます。しかしワクチンは、健康な人が予防のために接種するものであるため、それによって生じる健康被害に対しては一般的に反感が強い。ですので、一般の治療薬よりも厳しい目で見ていきます。

我々は、子宮頸がんワクチンが客観的に見て「有効性」は限定的で「安全性」が欠けていること、異例の緊急促進事業等によって慎重な検討を欠いたまま広く接種が呼びかけられたことの違法性等を主張しています。

この後さらに、被害に遭った原告さんたちに生じている損害がどのようなものか、その損害がワクチン接種によってもたらされたのかどうかという因果関係の争点等についての主張・立証が重ねられます。

相手は大手製薬企業なので、規模にものを言わせて数多くの論文を提出していますので、そのすべてを読み込んで、隙を見つけて反論をしていくという作業に労力を要しています。

来年以降、医師などの専門家の意見書の提出や法廷での証言、そして原告さんたちの被害の訴えが始まりますが、その辺りが裁判のクライマックスと言えるでしょう。


ーー訴訟以外の弁護団の活動(全国弁護団としての活動含め)について教えてください。

全国市長会・日本医師会などさまざまな公的機関に、ワクチン薬害の実態を説明したり、接種対象者への個別通知(郵送や学校を通じての配布)等を行わないこと、どうしても個別通知するのなら、重篤な副反応症状が起こりうることなど最低限記載してほしいことをお伝えするなどしています。

子宮頸がんは性感染症ですが、自分の生活の中でのリスクがどれくらいあるのか、そして接種によって得られる効果はどれほどかを、保護者の方も含めてしっかり検討した上で判断できるような情報提供が必要です。

原告の少女さんたちは学校でワクチン接種を勧められ、周囲も接種するからなんとなくみんな接種するものだという雰囲気の中、十分な情報を得ないまま接種していることが多いことを踏まえて、正しい情報を伝えてもらえるよう各方面への働きかけを今後も続けていきたいと考えています。





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