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最後に一緒にみた満月と朝日

最後に自宅で一緒に眺めた月は満月でした
あくる朝の朝日が眩しくて
きっと彼女は尿道閉塞の辛さから一睡もできていなかったろうと思う。
私がいつものように
満月を見るためバルコニーにでると
ぼーっと月を眺めていたかと思っていた彼女が
いつものように私につられて立ち上がってきた。
一緒に空を見上げて
これが最後にならないようにと
泣きながら祈っていた。
満月は願い事をする日ではなく
今の自分であることを満たし
執着や願いを手放すタイミングとしりつつも
今このタイミングが新月でないことが悲しかった

最後に一緒に見た朝日はよくる朝
まぶしいくらいの朝日を浴びた彼女は
いつもより儚くみえた
この時は最後だなんて微塵も思っていなかったし
最後だと思うことは本当の最後まで信じられなかった

この11年半どれだけの月と朝日を2人で3人でみただろう。
夜と朝が一番悲しい、一番彼女に語りかけたのは
月や朝日の瞬間だったから…雨が好きな彼女だったけど
毎日のように眺められる
私が好きな月、彼女が好きだたった朝日
私達にとってかけがえない時間だったと思う。

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