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“ドレスコードがないレストラン”を実現してみた話 -スーパーマーケット信濃屋研究②-


スーパーマーケット信濃屋食品館を研究していくにつれ、信濃屋がもつ「独特な楽しさ」やオリジナリティについて、私たちクレイジータンクは【ドレスコードがないレストラン】という言葉で表現するに至りました。

しかし……一つの疑問が浮かんできます。それは…

信濃屋を知らない人でも「レストラン」にいるような体験を味わえるのか?


私たちが「信濃屋ならでは」と感じたこのスペシャリティを、信濃屋を知らないor信濃屋への先入観がない方々にも体験してもらいたい!

そのような想いと好奇心から信濃屋で売っている食材だけを使い【ドレスコードがないレストラン -shinanoya-】を実際に開催してみることにしました。

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そうと決まれば、早速、食材調達!

信濃屋代田食品館へと出向き、9時30分オープンと同時にインするためオープン前からスタンバイ(笑)

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↑土曜日朝9時過ぎの信濃屋外観です。これから多くのお客様の来店を迎え入れる準備で、店内からはキリッとした緊張感が伝わってくるようです。


信濃屋代田食品館は、店内スペースはさほど大きくありません。地図上から面積を概算してみると約140坪程度。都市圏のスーパーマーケット面積平均は約313坪程度(平成29年「スーパーマーケット年次統計調査報告書」より)だそうで、信濃屋は都市圏スーパーマーケットと比較してもコンパクトお店であることがわかります。しかしこの小さな店内に詰め込まれた、こだわりの食、食、and食…!これぞ食の宝石箱…。

そうこうしているうちに、オープンの時間を迎えました!いよいよ入店です。


土日の鮮魚コーナーは、朝からいくべし

週末の鮮魚・精肉コーナーは特にすごい…。周辺の住民顧客の食卓をもれなくレストラン化するくらいの食材を取り揃えて勝負を仕掛けてきます。

なかなかスーパーではお目にかかれない鮮魚たちを見るだけでもワクワクが止まらないのですが、ワクワクを覚えると最後。予定がなくともその鮮魚たちを食卓に上げたくなってしまうので不思議です。

この日、私たち「ドレスコードがないレストラン」chef'sチームが選んだのは【ほうぼう】と【いとより】。どちらも身が引き締まって、きれいな目をしていました。新鮮そのもの!

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鮮魚チーフ(と思しき方)が魚を見ながら、どのように食べたら美味しいか、特におススメは何か等たくさんレクチャーしてくださいました。依頼をするとお造りにもしてくれて(有料)、「頭もつけてほしい」と頼むと快く引き受けてくださいました。

これらの鮮魚コーナーは土日の午後にはもう品薄になっていることも多く、仕入れは俄然午前中がおすすめです。


「誰でもとびきり美味しいが作れる!」を叶えてくれる信濃屋オリジナル商品


新鮮なお造りが手に入ったら、じっくり店内を徘徊。どのコーナーにも、あれ、初めて見るな?と思う商品が置いてあることに気づきます。

それもそのはず。

信濃屋には、信濃屋オリジナル商品が多数取り扱われているからです。この信濃屋オリジナル商品の数、そしてクォリティの高さには常日頃驚きと感動を覚えています。

信濃屋はスーパー形態をとる店舗は3店舗のみの運営です。直近公開された2021年の「スーパーマーケット年次統計調査報告書」PB商品関連の報告によると、

・保有店舗数が多いスーパーほどPBの取り扱いが多い
・PBは自社オリジナルや共同開発商品ではなく加盟団体開発商品が多い(自社:37%、共同開発33%に対し、加盟団体開発:70%超)

というPB商品の特徴が見られています。

信濃屋は「店舗数少ない」×「自社オリジナルや共同開発商品ばかり」という全体傾向とは真逆を突き進んでいます。このことはまた別記事で詳しく書きたいと思います。

そんな心意気を感じる信濃屋PBの数々をたくさん仕入れて、レストラン開店準備は着々と整ってきました!

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すべて「調理の手間を加える必要がない」「そのまま出してもレストラン級」のものばかり。これは他のスーパーマーケットではなかなか味わえないラインナップであることがお分かりいただけますでしょうか?


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奥能登海水塩、醤油デュカ(アップサイクル調味料ふりかけ)、木桶はちみつナッツ等

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信濃屋店内で真空低温調理されたラムチョップのロースト。その上には同じく真空低温調理自家製のローストポーク。ラムは臭みが気になる調理が難しい食材にもかかわらず…湯煎するだけで簡単に食べることができる信濃屋オリジナル商品

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これらは共同開発PB商品など。信濃屋がPBにて多数シリーズ展開している木桶仕込醤油を使用したシリーズ。ミックスナッツ、黒トリュフオイル、ドレッシングなど。


これらをお皿に盛り付けたり、トマトやサラダ、フルーツなどと合わせたり、掛けたりするだけで「誰でもとびきり美味しいを作れる」のです。これが信濃屋の圧倒的スペシャリティ!


無料でいいのか?と思わされるワインコンサル

食材は調達完了!……ですが、今日開くのは「レストラン」。やはり飲み物とのペアリングも重要です。

信濃屋代田食品館の向かいには、ワイン館という別館があります。

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「ワインはわからないし…」という理由でこのワイン館に足を踏み入れずに帰路につくなんてもったいない!ほどの場所なので、ぜひ勇気を出して足を踏み入れてみてください。

ワインに明るくないクレタンchef'sがワイン館へ出向き、

「ワインに詳しくはないのですが、食品館に売っている信濃屋オリジナル商品の真空低温調理ローストポークに合うワインが欲しいのですが…予算は2000円程度の……」

とおそるおそる尋ねると、ワインソムリエの方が快くワインを紹介してくれました。さらに「なぜその料理に合うか」までも解説してくれるのです。そして

「ローストポーク以外だと、実はお魚のマグロにも合いますよ」

とのこと。これはマグロも必要だということでマグロも追加調達。一本のワインをきっかけに食の世界が広がってゆく…なんとも豊かな体験です。

さらにお酒が苦手な方やドライバーのためにノンアルコールのロゼも発見。これはフランスの4〜5ツ星レストランの半数、かつトップレストラン約1,300店舗で取り扱われているというアランミリア(フランス)のスパークリンググレープジュース・ロゼ。どのような人でもスペシャルな料理と飲み物を楽しめるように抜かりがないのが信濃屋というスーパーなのです。

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向かって左がワインコンサルしていただいた赤ワイン。カリフォルニアワインの8年もの「ピノノワール」。右がスパークリンググレープジュース。


レストランのテーブルには、信濃屋をイメージした花々を

食材と飲み物だけでなく、レストランといえばテーブルに飾られた季節の花々も楽しみのひとつ。そこで今回、幼少期より華道を趣味でつづけているというみちこさんに、信濃屋をイメージした花を生けていただくことに。

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信濃屋代田食品館の入り口脇には、2つの花壇があり、季節によって花々が装いを変え、訪れるたびに気持ちを和ませてくれます。丁寧に管理されていることが伝わってきて、信濃屋らしさがこの花壇にも表れています。

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みちこさんは信濃屋を直接訪れたことはなかったのですが、この写真と信濃屋研究情報を共有すると、ご自身でイメージを膨らませてくださって生けてくださいました。当日のテーブルが華やいだことはもちろんですが、一つ一つに意味や想いをもってセッティングすることで、信濃屋のこだわりや姿勢を表現することに繋がると考えました。

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「ドレスコードがないレストラン -shinanoya-」 produced by クレイジータンク を実現


そうしてついに「ドレスコードがないレストラン」開店!この日は、クレイジータンク発足当初より親交が深いクレタンファンクラブメンバー数名をゲストとしてお呼びし開催しました。

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お皿やグラスは全て、クレイジータンクオリジナルUPCYCLINGプロジェクトより、ペットボトルをアップサイクルしたブランド「PETUP(ペタップ)」を使用してサーブいたしました。

信濃屋を日々研究し感じるのは、地域貢献、環境貢献といった感度が高いスーパーマーケットだということ(このことはまた別記事で書かせていただきたいと思います)。そういった信濃屋の姿勢は、私たちクレイジータンクのUPCYCLINGプロジェクトとも通じるものを感じています。


信濃屋の食材と飲み物を体験したゲストからは次々と驚きの声が上がりました。商品の珍しさ、美味しさ、豊富さ、華やかさ…皆さん圧倒されていた様子です。

ノンアルコールのスパークリングロゼを口にしたゲストたちは「えっ!?なにこれジュース!?」と目がぶどうのように丸くなり驚かれていました(笑)

ワインソムリエから教えていただいたカリフォルニア赤ワインはポークなど淡白な肉類に合う軽めな味わいで、紹介されたマグロの刺身と合わせたゲストは、一瞬言葉を失っていました(笑)そして「マグロに赤ワインが合うなんて初体験!」と大興奮。

お刺身盛りの「ほうぼう」「いとより」の鮮度には感嘆されていて、瞬く間に消えていくほど楽しんでくださったようです。

メインでお出しした信濃屋オリジナルの真空低温調理シリーズ「ローストポーク」や「ラムチョップ」に辿り着く頃にはお腹がいっぱい…それでも皆さん、一つ残らず(本当に残らず!)召し上がっていました。

その他、生ハム、チーズ、パテ、シーフードマリネ、フルーツや野菜、豆腐、ナッツ等、一つ一つに信濃屋のこだわりが詰まっていることも感じながら楽しんでいただけたのではないかと思っています。

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「ドレスコードがないレストラン」の魅力とは

改めて「ドレスコードがないレストラン」の真の価値は何なのか…

それはきっと日常のなかに存在できる非日常の時間なのではないかと思います。

日常と非日常は本来切り離されています。日常には安心感、非日常には感動や発見がついてきます。私たちは普段、この日常と非日常を行き来することで、人生の豊かさを味わっているのではないでしょうか。どちらもとても大切な時間です。

信濃屋は、この日常と非日常を心地よく融合させてくれる存在であると感じています。

たとえば今回、私たちは久しぶりにファンクラブの皆さんと会うことができました(実施をしたのは感染状況が落ち着いていた時期でした)。

こういった時間は、コロナ以前までであれば日常に近いものだったかもしれません。しかし今は非日常に近く、とても特別な時間に思えました。

喉を潤し、お腹を満たせるものは世の中にたくさん溢れています。しかし、そのような特別な時間には、みんなで「なんて美味しいんだろうね!すごいね!」と感動を共有しながら味わえるものを添えたい。それでも肩肘張ることなく、ゆったりと時間を味わいたい。信濃屋はそうした「日常と非日常のちょうどいいバランス」を私たちに提案してくれていると感じています。


例えば…

『仕事で大変な時期が終わり、自分を労いたいけれど、外に食べに行くのは気負いする…美味しいものをゆっくり食べれたらいいなぁ』
『子どもがいるから、なかなかレストランにはいけないなぁ。手間がかかる調理もむずかしい』
『大切な人のお祝いをしたいけど、料理は苦手だからなぁ』

など、こういった事例は皆さんの近くにもあるのではないでしょうか。

「ドレスコードがないレストラン」では、自分たちのペースを大切に、時には足を伸ばしたっていい、時には大笑いしながら食べたっていい、誰かが常にキッチンに立ち続けなくていい、だけどレストラン並みのとびきりの美味しさを味わえます。

そこは、日常と非日常のちょうど真ん中。

「ドレスコードがないレストラン」信濃屋の魅力に、今後も迫っていきたいと思います。






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