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おじいちゃんの言いつけを守ったら、抽出に90分かかったデカフェ豆


先人が残した言葉を意識し始めたのは、東日本大震災の時から。遠野物語に描かれた話と全く同じことが起こった地域があったり、石碑に残された過去の津波の痕跡と全く同じ場所まで津波が押し寄せていた、など、先人は常に自分たちの経験を今に伝えようとしてくれています。


こんな言葉を聞いたことがある方はいらっしゃるでしょうか。

炒った物をたくさん食べたり飲んだりしない方がいい


炒った物、とは麦茶やコーヒーなど、火にかけて水分を飛ばし、中には焦げを楽しむような食べ物や飲み物のこと。おそらく胃に良くない、とか、癌になるリスクがある、などそういった心配から先人が残してきた言葉なのだと推測できます。

その言い伝えが正しいのかは正直わかりません。コーヒーをよく飲むある国では長寿が記録されている、なんて特集をテレビで見たこともあります。


でも、デカフェコーヒーに限っては、少し理解できるような感覚になることがあります。


何かが抜け落ちるデカフェコーヒー豆


デカフェコーヒー研究に協力してくださっている焙煎師でありデカフェマニアの日比野泰之さんと話している時、常に悩みとして出てくるお話があります。それは、コーヒー豆をカフェインレスにする段階で、どうしても味わいの大切な要素が抜け落ちてしまってると感じる、ということです。

それはデカフェ抽出師として活動する私たちも感じていて、これまでデカフェコーヒーが美味しくない飲み物と認識されてきた1番の要因だと思います。


でも、焙煎師の多くがなんとかカフェイン入りのコーヒーに近づけようと努力した結果、焙煎を深くして苦くするという手段をとっていた時期もあるような気がします。今は美味しいデカフェ豆も増え始めたので、多少無理をすることも少ない気もしています。

そんなデカフェ豆に出会うといつも「これは焦げだな...。」と悩むこともあります。その悩みを取り除くにはどうすれば良いか...。焦げはどこに付着しているのか...。色々悩んだ結果、こう考えるようになりました。


焦げを削っちゃえば良いじゃん!


さっそくホームセンターに行き、ヤスリを購入。焙煎師の日比野さんに話したところ、確かに焦げるのは豆の表面だから削るのは理にかなっているとのお墨付きもいただきました。

いざ!一杯分、約12gのデカフェコーヒー豆を削ってみることにしました。

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ガリガリガリガリ、ガリガリガリガリ...。

あれ...一粒削るのに5分くらいかかる...。何粒あるのかな...。

ガリガリガリガリ、ガリガリガリガリ...。

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一杯分、全て削るのに要した時間...90分...。ちなみに12gを削るのではなく、削ったデカフェ豆を12g作るので約14gのデカフェ豆を削りました。全体で2gほど削りました。

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削り終わってみると、明らかに見た目が変わりました。左が削る前、右が削った後。テカリが消え、マットな仕上がりとなりました。


さて!飲んでみましょう!

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一応、削っていないデカフェ豆も同じドリッパーで抽出し、味比べもやってみました。

恐る恐る飲んでみると...

違う、圧倒的に違う...。苦味がまろやかになり、苦味によって隠されていた、本来あるはずの旨味が顔をのぞかせてるではありませんか!衝撃!


美味しい!もう一杯飲みたい!

........いや、90分はもう無理だ。

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そして今、CRAZYTANK research stationは、デカフェ豆を削るための道具の開発に勤しんでいるとか、いないとか...。

to be cotinued...あるかな...。


CRAZYTANK research station研究員一同

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