エスター ファースト・キル


 さて、今回の記事で色々述べる前にざっくりした感想で言うと超面白かったよ!ネタバレをこのあとガンガンするし、なんなら観たこと前提の書き方するから映画館でやってるうちに観に行きましょうね!

というわけでこっからはネタバレするよ!

 さて、まず考えてみたいのは、エスターというキャラクターが、そもそも何を象徴しているのかってこと。この映画でも語られるように、彼女はホルモン異常で成長が止まった大人だ。で、1作目の大きなポイントだったのは、ある意味で老いを受け入れられないということでもあったのかな、と思ったりするんだよね。これは、ソフト版に入ってるオルタネイトエンディングが『サンセット大通り』オマージュだってことが論拠になる。一方、俺が考えているのは、エスターは「エレクトラコンプレックス」の表象としてのホラーキャラクターなんじゃないかってこと。
 エレクトラコンプレックスが何かっていうと、エディプスコンプレックスの逆。つまり、母親を殺して父親からの愛情を独占しようとする子供の心理のこと。これ自体は別に病的なものではなくて、現実的に自分より強い存在である母親を殺すことはできないから、現実が自分の思うままにならないことを理解することで現実感覚を学んだり、あるいは父親への愛情から自己の性的な認識を深めたりする発達の過程における心理らしいよ。俺の認識が合ってるか自信なかったからChatGPTに聞いたら大体合ってるって言われたわ。
 さて、考えてほしいのは、『エスター』ではエスターが大人であり父親を性的に独占しようと考えていることはツイストとして機能させるために物語の終盤まで明示されなかったってこと。一方『ファースト・キル』では、エスターの秘密を観客は共有しているから、最初から明確にエスターが父親の独占を狙っていることが明らかなんだよね。俺がファーストキルを好きなのはここが大きいと思う。
 つまり、エスターがエレクトラコンプレックスの象徴であることが明らかだからこそ、中盤からの父親の独占を巡った母娘のパワーゲームが描けるわけだよね。
 そのパワーゲームがあるからこそ、ある種の共犯関係にある二人が「コイツ、なかなかやるじゃん」って雰囲気で、ある意味仲良くお互いの秘密を守りつつお互いの上を行こうとする絶妙な関係性が描けたわけだよね。
 個人的にはあの絶妙な共犯関係を保ったまま、父親に近づくサイコキラーを二人で狩っていくドラマシリーズとかが観たいほど気に入った!
 皆も観よう!エスター ファースト・キル!!

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