【後編】プロラクチノーマ体験談

2021年8月にプロラクチノーマと診断されました。
この記事では前編に続き、その体験談をお伝えします。
婦人科受診から検査入院までの体験談は以下の記事にて。

実際の体験談(治療方針決定~現在)

2021年8月 大学病院受診

いよいよ検査結果を聞きに大学病院へ。
不思議なことに、どんな話でも受け入れられる心の準備はできていました。今思えば6月頃が不安のピークでした。平凡に生きてきたはずの自分がなぜこんなところで珍しい体験をすることになってしまったのか。どうせならもっと良い珍しい経験がしたかった。そう思っていた頃と比べると、採血、MRI、検査入院等、人生初の経験ができたのは良かったとさえ思えていました。

結論、先生は投薬治療の方が良いと仰いました。

MRIの結果から、腫瘍のサイズは小さく、さらに正常な部分と腫瘍の境目が曖昧で判断が難しい、ということが分かりました。この場合、確実に全ての腫瘍を取り除くためには正常な下垂体部分も含め取り除く必要があり、それが原因で将来、不調が表れる可能性があるとのこと。つまり、手術がある意味で失敗する可能性が(先生の経験の中と比較すると)高いということを言われました。
加えて、薬を投与しながら行った採血の結果からも、腫瘍がプロラクチンを産生する能力は低いと判断されました。
つまりどういうことかというと、
今回行った検査はホルモンを出せ~という薬を点滴で投与しながら、30分間隔で5回採血を行い、ホルモン値の推移を見る、というものでした。腫瘍がホルモンをたくさん産生している状態では、初めの採血から最後の採血まで一貫してホルモンの値は高くなり、値の変化は小さくなるはずです。反対に正常な場合では、投与されている薬の影響を受けて一度ホルモンの値が高くなり、最後の方の採血では薬の影響がなくなってホルモンの値が元に戻る(低くなる)はずです。
今回、私の検査結果は正常値(15以下)を上回っているものの、値の推移としては上がった後に下がっているので、病名としてはプロラクチン産生腫瘍と言って良いが「微妙な状態」とのことでした。7月から婦人科で処方されて一時的に服用していたカバサールが腫瘍に効いたのだろう、とのこと。

赤枠がプロラクチンの推移
正常値の範囲外ではあるが、上がって下がっている

これらの検査結果から、投薬治療を進められたという訳です。前回の診察の雰囲気からするとこの場で手術を決断しなければならない気持ちになっていたので、拍子抜けしました。投薬治療は長期に渡ってカバサールを飲み続ける必要があります。初めてMRIを撮った6月には手術はしたくない気持ちだったのが嘘のようで、手術一発でこの病気と縁を切ることができないことを少し残念に思う気持ちもありました。
先生の方針に反対してまで手術を受けたいという気持ちはなかったので、投薬治療を選択することにしました。投薬治療における注意点についても2点説明がありました。
まず、1つ目は、胎児に影響を与える可能性があるため、妊娠中は服用を中止する必要があるということです。そして2つ目は、腫瘍が袋状(嚢胞)になって薬が効かなくなることがあるということです。こうなった場合、プロラクチンの値が高くなります。その状態では妊娠が難しいため、妊娠を希望するときには手術で腫瘍を取り除く必要があります。薬が効いてくれることを願うばかりです。
以上の説明を受けて、診察は終了。薬を処方してもらい、経過をみるために次の診察を予約してその日は帰宅しました。

2021年10月 大学病院受診

薬(カバサール)がしっかり効いているか、経過を確認するために再び大学病院を受診しました。まず採血を行い、結果が出るのを待って診察室へ。(その日中に結果が出るところあたり、さすがは大学病院ですね。
採血の結果、プロラクチンは無事正常値となっていました!
ちなみに、その頃には生理不順もすっかり解消していました。薬ってすごい。
カバサールが問題なく効いていることが確認できたので、このまま投薬治療を進めることが確定しました。週1回1錠カバサールを服用すること以外は日常生活で何も気にすることはありません。検査入院前は影響が出る可能性があるから、と止められていたコロナのワクチンも接種OKです。
これ以降、薬は家に近い婦人科で処方してもらうことにしたので、大学病院とはしばしの別れとなりました。次に来るのは妊娠を希望するとき。妊娠する前に念のためMRIを撮りに来るよう指示を受けました。

2023年(現在)

治療方針が確定してからは、定期的に婦人科に通って薬を処方してもらっています。木曜日の夕食後に飲むと決めて、飲み始めて2年近く経ちますが、今のところ副作用を感じたことはありません。半年に1回採血でプロラクチンの値を確認し、1年に1回子宮頸がんの検査を受けています。現時点ではプロラクチンの値は正常値で、カバサール(途中からジェネリックのカベルゴリンに変更)が問題なく効いているようです。

婦人科受診のすすめ

生理不順、見過ごしていませんか?

これを読んでいるあなたやあなたの娘さん、彼女さん、姉妹の中で生理不順の方はいませんか?
それはもしかすると私のように、下垂体の腫瘍(良性)が悪さをしていることが原因かもしれません。私は2、3年の間、生理不順は起こって当たり前のものだと目を背けていました。でも、徐々に予定日になっても生理が来ないことや、10日前に終わったはずなのにまた生理がくること、出血量がまちまちであることが大きなストレスとなっていました。(当時はプロラクチンの値が高く正常に排卵していなかったはずなので、それらの出血を生理と呼べるかは分かりませんが。)
不規則に生理が来る度に生理不順の原因をネットで調べました。
ストレス、生活習慣の悪化、睡眠不足等、どれも自分に当てはまるような気がするようなものばかり。私はそういう体質なんだ、と生理不順の原因を安易に決めつけていました。私が調べていた中では、下垂体の腫瘍が原因である可能性がある、ということにはたどり着けませんでした。2、3年探し続けた生理不順の真の原因は、婦人科を受診することによって約2ヶ月で判明しました。自分で調べるには限界があったのです。

婦人科受診をためらわないでほしい

婦人科を受診するのはハードルが高い。
そう思っている方がいるかもしれません。私もそうでした。
2、3年の間、生理不順に悩んでいる最中、婦人科に行くことを考えては「病院に行くほどではない」と行くのを止めたことが何度かあります。「たかが生理不順でおおげさだ」と自分に言い聞かせていました。
しかし、婦人科に行って適切な検査をしないと原因がわからないことを身をもって体感しました。少しでも迷っている方がいれば、一度婦人科を受診することをおすすめします。
もし、あなたの周りの女性の中に婦人科に行くことをためらっている方がいたら「人間なんだから生理なんて規則的にくるもんじゃないよ」とか「たかが生理不順で婦人科なんておおげさだよ」等の声かけは控えていただきたいです。

かかりつけ婦人科をもつメリット

私は薬を処方してもらうために、半年に1回のペースで診察を受けています。1年に1度のペースで自覚症状なく進行すると言われている子宮頸がん検診も受けています。(20歳以上の女性は2年に1度、検診を受けることが推奨されています。)定期的な通院によって、自分の意思ではスキップしがちな検査を半ば強制的にでも受ける状況を作ることができています。

さらに、考え方は人によるとは思いますが、婦人科系の悩みを知人に相談するのが苦手な私にとって、何かあれば私自身の今までの経過を知っていて、相談できる先生がいるのはかなり安心材料となっています。例えば、旅行に生理が被るのを避けたいときにも、いつもの薬を処方してもらうついでに相談し、月経調整のための薬を処方してもらったこともあります。

かかりつけ婦人科をもつことは個人的にメリットしかないと思います。

後悔しないための婦人科選び

この記事を読んで婦人科に行くことを決意した方がいたとしたら、その決断を後悔して欲しくないと思っています。
私は(やんわりとした親の反対を押し切って)婦人科に行く、という決断をしたことを後悔したくなかったので、婦人科選びは妥協せず、以下の条件を満たす病院(先生)を探しました。

探していた婦人科の条件
・家から自転車または徒歩で通える
・女医さんがいる
・ネットで予約できる
・先生や受付の方が優しい(最重要)

4つ目の条件"先生や受付の方が優しい"はネットの情報から判断するのはなかなか難しいのですが、せっかく勇気を出して婦人科に行くことにしたのに嫌な気持ちになるのを避けたかったので最重要視しました。
長期的に通う可能性も考えると、家からの距離は近い方が通いやすいですが、4つ目の条件が確実に満たせるのであれば、多少妥協しても良いと思っていました。ネットで調べた限り、家の最寄り駅には4つ目の条件を満たす病院が見つからなかったので、1つ隣の駅にある女医さんしかいない病院に決めました。その際、以下のサイトやGoogleの口コミを参考にしました。

通える範囲の婦人科について、上記のサイトとGoogleの口コミを全てチェックし、この病院のこの先生なら大丈夫そう、と思えたところに決めました。
本気の婦人科探しが功を奏したのか、良い先生に診てもらうことができ、学生のうちに生理不順の原因を特定することができました。

まとめ:迷うくらいならまず受診

婦人科受診を迷っている方がいるのであれば、一度受診することをおすすめします。私は
もやもやした気持ちはネットの情報だけで晴れることはない
ことを一連の経験を通して体感しました。

長くなりましたが、ここまでお読みいただきありがとうございました!

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