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レベッカ・クラークのここが好き!

LIVEまであと2週間。多くの人にとって「レベッカ・クラークって結局だれ…?」「どんな演奏会になるんですか…?」という状態だと思いますので、いま作ってる結成LIVEの当日配布資料から、曲目解説の部分を先に公開しようと思います。イメージが湧くといいなあ!

はこびてゃより

レベッカ・クラークってこんな人

 レベッカ・クラークはイギリス出身の作曲家(1886~1979)です。幼いころから音楽教育を受け王立音楽院でヴァイオリンを学ぶも父親により退学させられ、その後王立音楽大学にて最初の女子学生の一人として作曲を学ぶも、再び父親との関係が悪化します。勘当を機にヴィオラ奏者として世界各地で演奏家として活躍し、カザルス、ハイフェッツ、ティボー、ルービンシュタインなど偉大なアーティストらと共演を重ねたほか、女性としてはじめてプロオーケストラで演奏をしたそうです。

 演奏活動のかたわらで作曲を続けたクラークは、自ら演奏することを前提としたヴィオラ曲や室内楽曲を多く残しましたが、そんななか世界はふたたび大戦に突入します。クラークは1942年にベビーシッターとして働きはじめ、1944年に学生時代以来の知古であったジェームズ・フリスキンと結婚。以後の作曲はごく僅かでした。

彼女の作品はその後長らく忘れられていましたが、晩年にさしかかる頃より再び注目を集め、今でも楽譜の出版や録音が徐々に進んでいます。が、しかし……チラシに「ヴィオラを演奏する人しか知らない」と書きましたが、訂正します。レベッカ・クラークを知っている方は、ヴィオラを演奏する人の中でもおそらく、ごくわずかです。

レベッカ・クラークのおもしろさ

 こういうプログラムは曲の書かれた背景や構成をつらつら書くのが通例なのですが、本日はギャルの演奏会、型破りに行ってみましょうか? ということで、はこびてゃが考えるレベッカ・クラークの魅力をお伝えします。

①出会い頭に殴ってくる破壊力(GAL POWER)

全部がそうかと言われると全然そうではないのですが……というか今回演奏する《ヴィオラとピアノのためのソナタ》と《ピアノ三重奏曲》がかなり特別な気もするのですが……それにしてもこの二曲の冒頭の破壊力はすごいと思います。みなさんが帰ったあとここしか覚えてなくても全然不思議じゃないです。

②「モダン」なハーモニーとひなびたメロディ

イギリスの音楽は独特の発展をしています。レベッカ・クラークも西欧の最先端(同時代には調性のない音楽がばんばん出ていました)からはちょっと離れ、比較的調性のはっきりした音楽を書きつづけ、それが戦後にいちど忘れ去られた原因のひとつとされています。

どうも遺族とバトって活動を停止したのではないかと(私が勝手に)疑っているRebecca Clarke SocietyのHPによると、《ヴィオラとピアノのためのソナタ》《ピアノ・トリオ》の部分ではラヴェルやドビュッシー、フランクなんかが引き合いに出されています。たしかに平行和音や半音階進行といった和声の感じやピアノの響きの端々からドビュッシーみを感じますし、弦楽器奏者らしくラヴェルの《ツィガーヌ》を彷彿とさせるなんかかっこいい四つの弦を高速で移動するやつ(なんて言うんですか? これ)も今日演奏するすべての曲に現れますね。

そういった「モダン」な雰囲気の中に「ヨナ抜き」やひなびた五度のひびきをもつ民謡調のメロディが現れるのがクラークの個性だと思います。

(注:ラヴェル→なんか一見ケバいんだけどすっぴんになるとめっちゃ田舎の素朴娘なギャル、ドビュッシー→Wow…Beautiful Japanese Zen…みたいになってたフランスの病んだエロい男、フランク→和声法の授業で転調を強要しすぎたあまり生徒だったドビュッシーが逃げた)

はこびてゃによる解説

③個性豊かなダンス・ミュージック

今回のプログラムには色々な「アレグロ(元気に)」や「ヴィヴァーチェ(快活に)」が出てきます。乱暴に説明すると、速いテンポで演奏してください、という指示です。

緊迫感のある《前奏曲、アレグロとパストラーレ》のアレグロ、ちょっと田舎っぽい《ドゥムカ》や《ピアノ三重奏曲》のアレグロ、ちょっとおどけているけれどファンタジックな《ピアノとヴィオラのためのソナタ》のヴィヴァーチェ……それぞれの個性をお楽しみいただけるのではないかと思います。どれもとってもダンサブル(死語)(絶対ギャルは使わない言葉出ちゃったね……)なので、是非ノリノリになってください。

おわりに

 簡単にそれぞれの曲の情報をお伝えします。
《ヴィオラとピアノのためのソナタ》:1919年作曲。作曲コンクールに出して次点に選出され、音楽祭で演奏されたクラークの出世作。いろんな作曲家の変名と間違えられたらしい。
《ピアノトリオ》:1921年作曲。同じ作曲コンクールに出し、同じく音楽祭で演奏をされた作品。
《ドゥムカ》《前奏曲、アレグロとパストラーレ》:1941年作曲(諸説あり)。おそらく弟の家で書いたものであり、乳母としての職を得る直前の作品。初期の作品と比べると和声や旋律がシンプルかつミステリアスに。

 今日ではあと3~4回は演奏会ができるくらいのレベッカ・クラーク作品が出版されており、本日ご紹介できなかった作品にも素敵なものが多くあります。CDも少ないながらもきちんと配信サイトにありますし、ライブ動画もYoutubeにアップロードされています。
 今日の演奏会でレベッカ・クラークを好きになってくださったら、ギャルたちはめっちゃテンアゲです。

 ひとつお詫びをしなければならないことがございます。現在レベッカ・クラークに関する資料の多くは義理の大甥(?)が管理しており、公式HPによればそれぞれの目的に合わせてライセンス契約のもとでの閲覧に応じているらしいのですが、チラシがギャルすぎて連絡を取りづらかった(義理の大叔母がマ〇リックスにされてたら怒るでしょ……)ため、インターネットや自力で取り寄せた資料を駆使してに書いています。このビジュアルとコンセプトで走り始めてしまった以上は、下手に認知されると「ライブを開くな」みたいなことを言われかねないと思い……。誤算でした。

いかがでしたか? 多分あんまりよくわかんなかったよね。当日配布資料には譜例等も載せて、もうすこしわかりやすくする予定です。またレベッカ・クラークが晩年に残したコメントの和訳なども同時に収録する予定です。お楽しみに!

はこびてゃより

❤️‍🔥❤️‍🔥❤️‍🔥CGO結成記念コンサート❤️‍🔥❤️‍🔥❤️‍🔥

2023/9/2 Sat. 17:30 Open 18:00 Start
今福音楽堂(大阪メトロ長堀鶴見緑地線「今福鶴見」駅から徒歩3分|Google Map

特集:レベッカ・クラーク

そもそもレベッカ・クラークのことなんて、ヴィオラを演奏する人しか知らないし、その中でも「好き」という人はあまりいないかもしれない。まして、クラーク作品しか演奏しない演奏会など、誰もやろうとしなかっただろう。だからこそ、初回の特集に選んだ。なぜならわたしたちはクレイジー・ギャル・オーケストラだから。

SET LIST

  • ヴィオラとピアノのためのソナタ(1919年)

  • アンダンテ、アレグロとパストラーレ(1941年:ヴィオラ・クラリネットの二重奏)

  • ドゥムカ(推定1941年:ヴァイオリン・ヴィオラ・ピアノの三重奏)

  • ピアノ三重奏曲(1921年)

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