丸太と岩と椰子、樹脂でできた楽園
振り返ると漠然と建築が好きな子どもだった。そのきっかけは父母が1980年代のバブル時代に、週末ごとに関西各所の売出し中のマンションに連れ回したからかもしれない。実家は酒屋と立ち呑み屋を営んでいたが、それとは別に安定した収入のために、マンションの賃貸業も細々とやっていた。元になる資産が潤沢にあるわけではないので、毎週末物件を巡っては、ここはひどいな、とか、エントランスの雰囲気はいいけど、タイルの色が全然あかんわ、などとたいていお眼鏡にかなわず、その行程を夫婦で趣味として楽しんで