ふるさと納税だけじゃない、庶民が寄付でトクする方法。
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ふるさと納税だけじゃない、庶民が寄付でトクする方法。

波柴 純子

「日本人の寄付文化は遅れている」と言われていますが、東日本大震災など復興支援をきっかけに寄付に関心を向ける人は増えています。また昨今、ヘアドネーションやクラウドファンディングなど、よりよい未来を作るための選択肢が増えています。

12月は寄付のシーズン?

そういえば昔「歳末たすけあい」という言葉を聞いた記憶はないでしょうか?赤い羽共同募金の窓口として、かなり前からNHKが毎年12月に実施しています。また、非営利団体が社会貢献するための資金調達を支援する日本ファンドレイジング協会が主催する寄付月間「Giving December」は2015年にスタートし、今年は7回目となります。

なぜ寄付や募金のイベントは12月に多いのでしょう?

クリスマスなどでギフトを選んたり、1年を振り返ったり、「誰かのために何かしたいな」と思いを馳せる時期だから、というのも(きっと)ありますが、FP的に解説を加えるとしたら、この時期は年内の節税の最後のチャンスでもあります。

個人の会計年度は1月1日から12月31日まで。iDeCoの掛金や保険料を払った、とか医療費をたくさん使った、という場合は、年末調整や確定申告をすることで本来課税される所得から一定額を控除できる「所得控除」の対象となりますが、「今年の所得」に対する課税をおさえたければ、「年内に」所得控除の枠を使うのがポイントになります。

所得控除にはたくさんの種類がありますが、その中に「寄附金控除」というものがあります。「ふるさと納税」が有名ですね。ふるさと納税の概要については割愛しますが、通常の寄附金控除に加え「特例控除額」が適用されるので、特に住民税に関しての戻りが大きく(そしてリターン品の魅力もあり)お得さが際立っています。毎年12月末はその年の寄付限度額を使い切ろうとする方で申し込みが殺到します。

寄附金の「税額控除」を知っていますか?

ふるさと納税に注目が集まりがちですが、日常生活の中で「この団体の活動は、社会を良くしてくれそうだな、寄付したいな」と思うこと、ありますよね。自分もそこまで裕福ではないけれど、共感や賛同の気持ちを支援の形でシェアしたい。そんな善意を後押ししてくれるのが寄附金控除です。

実は、認定NPOなど一定の要件を満たした法人に対する寄付の場合、「所得控除」よりも節税効果が大きい(ことが多い)「税額控除」という選択があります。

個人が支出した認定NPO法人等若しくは公益社団法人等に対する寄附金については、1 寄附金控除(所得控除)の適用を受けるか、2 寄附金特別控除(税額控除)の適用を受けるか、どちらか有利な方を選ぶことができます。
ー国税庁HPよりー

さて、先ほど「(ことが多い)」という書き方をしましたが具体的な比較をしてみましょう。

例:比較してみると

最近寄付のサブスク(月額課金)なども増えているので、自分の地元横浜市の認定NPO法人に年間12,000円の寄付をした場合を例に挙げてみたいと思います。

【税額控除を選択した場合】
■所得税の計算
 [寄付金合計額(当該年分の総所得金額の40%を限度) - 2千円] × 40%を税額から控除(控除上限は所得税額の25%)


[12,000ー2,000]×40%の4,000円

が所得税額から控除されます。

■住民税の計算
[寄付金合計額(当該年分の総所得金額の30%を限度) - 2千円]×10%(市民税・県民税の合計%)を税額から控除


[12,000ー2,000]×10%の1,000円

が住民税額から控除されます。

つまり、所得税と住民税合わせ、実際の寄付額12,000円に対して、5,000円を節税できる計算になります。

【所得控除をした場合】
住民税の計算は同じですが、所得税が変わります。
■所得税の計算

寄付金額(当該年分の総所得金額の40%を限度) - 2千円、つまりこの場合10,000円を所得金額から控除し、最終的に寄付者の所得税率をかけた額が控除されます。
ポイントは寄付者の所得税率です。所得税は所得によって税率が変わります。

課税所得(収入から経費や他の所得控除を引いた額)が300万円で、税率10%なら節税額は1,000円、500万円で税率20%なら節税額は2,000円、1,000万円で税率33%なら3300円です。この場合、住民税と合わせても、節税額は「税額控除」のほうが有利となります。

参考:日本福祉大学のサイトに掲載されている比較表
税額控除と所得控除の比較表

上記リンク先をご覧いただくと、おおむね課税所得4,000万円、かつ寄付金額50万円以下であれば「税額控除」の方がお得であるというシミュレーション結果があります(家族構成や他の控除の有無が結果に多少影響します)

税額控除の留意点

ということで、庶民が少額を寄付する際に有利な「税額控除」。下記を確認して利用しましょう。

■寄附金控除の対象となっている団体でも、税額控除を選べる団体とは限りません。認定NPO法人は全ての団体が税額控除の対象になっていますが、公益財団法人、公益社団法人、社会福祉法人は、一定の要件を満たした団体のみが税額控除の対象とされています。

■住民税の控除対象となるのは、その団体が寄付する人の住所地の(納税先となる)都道府県や市町村から指定を受けている場合に限ります。寄付先が対象か都道府県・市町村のHPなどで確認できます。団体の住所地と同じでなくとも「公益財団法人日本ユニセフ協会」は神奈川県の指定を受けていたりと例外もあるようです。

■確定申告が必要、かつ寄附金の受領書が必要となります。

清く正しい節税を

寄附金の税額控除選択ができるようになったのは比較的最近ですが、これは「社会にとって必要な活動を行政だけではカバーできなくなっている。より良い未来を担おうとしている団体への資金調達を手伝ってくれてありがとう、お礼に非課税枠を差し上げます。」というメッセージだと思っています(他の所得控除にも自助努力や個人的な事情への配慮という意味合いがあります)。

寄付は本来「だれかのため」であるのと同時に、自分が「欲しい未来」への投資でもあるのです。

年末にばたばたと節税ありきで寄付するのではなく、日頃から自分の関心のある活動にアンテナを立てるのが第一歩です。寄付月間「Giving December」ではリアル・オンラインによるさまざまな寄付イベントが掲載されるのでチェックしてみてはいかがでしょうか。













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波柴 純子
FP歴15年/ひとり親になった不安からお金の勉強をスタート/ライフデザインをもとにした「無理しない・不安にならない」マーケティングで「経済的自立」を手に入れる/再婚し、歳の差姉弟の母/「ほったらかし投資」と、幸せに生きるために必要な「お金以外の資産」づくりをテーマに活動中/