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クランベリーのエオルゼア外息抜き日記1ーTIGER & BUNNYー

アニメを見るのが下手

昔からアニメを見るのが下手で。

苦手と書かなかったのは、けっして見るのが嫌いなわけじゃないから。

学生の頃、テレビ版のエヴァに死ぬほどハマって、録画したVHS(!)を擦り切れる(!)ほど見た。

押井版攻殻機動隊も大好きだし、TMネットワークが今でも好きなのは、シティーハンターがあったからだ。

大人になってからはマクロスFのサントラを全部買って、ラブライブの熱血に涙した。

だから、アニメを愛してやまないファンたちに適うべくもないけれど、決して嫌いじゃないんだよ、ということをまずは断っておく。

で、アニメを見るのが下手という話。

見るのがとても遅い。

例えば誰かに勧められてあるアニメを見始めたとして。

じっと座ってアニメだけに集中して見続けるというのが猛烈に苦手。

ゲームや小説のように、自分のペースで文章なり物事なりを進めていけるものは何時間つづけても苦にならないのだけれど、アニメや映画、あるいはゲーム中のムービーみたいに、自動的に流れていくものを見ていると、途端に集中力が切れる。

最中に、さっきのあれはなんだったんだろう、とか、そういえばあとであれをやらないとな、とか考え事をし始めたりして、うっかり重要なセリフを聞き逃して巻き戻したりすることが頻繁にある。

集中力がないと言われればそれまでだけど。

これは昔からずっとそうで、いくら努力しても治せない性質だから、仕方ないと諦めてはいるんだけれど。

そうやって一話見るのにも時間がかかるものだから、なかなか一つの作品を見終わらないし、ひとつ見るにはそれなりの時間を取ろうとするから、はかどらない。

あれも見たいこれも見たい

そんなわけで、ゆっくりゆっくり見ているものだから、なかなか友人におすすめしてもらったアニメや映画を鑑賞できない。

数を見ていないから知らない作品も多いし、声優さんなんて数えるほどしかわからない。

たいてい、ゲームを好きな界隈とアニメを好きな界隈の人達は重なっている事が多くて、彼ら彼女らが声優さんやアニメから生まれたミームを使って会話していると、いいなぁと思って羨ましく(少しだけ寂しく)見ている。

ちなみに、友人がおすすめしてくれたものはタスク管理ツールに記録してあって、ぱっと見ただけでも、アベンジャーズを含むMCU作品、ドラゴンボールの映画、宇宙戦艦ナデシコetcetc...と楽しみにしているものがたくさんある。

そんな中で、ようやくタイバニのTV版を見終わったから感想を書いてみたい。

とにかく面白かったし、見て良かった。

あとでもう一度見るし映画もみるし、なんなら新作映画は劇場に行きたい。

けど、ひとまず思ったことを吐き出しておきたかったので、今書いている。

上記の通り、アニメ鑑賞の素人なので、細かい設定やファンなら当然知っているべきかもしれない事を知らなかったり勘違いしているかも知れないけれど、どうかご容赦頂けるとうれしい。

さて、予防線はいっぱい張ったぞ!

歳を重ねたヒーローたちは

で、早速だけど脱線してヒップホップの話をさせて欲しい。

わたしがヒップホップを聞き始めた頃、知っているアーティストは全て若手だった。

ロックならビートルズやローリング・ストーンズのような伝説の大ベテランの存在を教わらなくても知っていた。

邦楽にも、聴いたことはなくてもRCサクセションやユーミンのような、要するに私からみて「大人」なアーティストたちがこれまでの歴史を築いて来たことを知っていた。

だけど、ヒップホップ、特に日本のヒップホップにはそれがなかった。

正確に言えばなかったわけじゃなく、黙っていても入ってくる情報として存在していなかった。

今ならいとうせいこうやもっと黎明期の伝説を調べることが出来るけれど、私の視界に映る90年代の日本のヒップホップアーティストは若者ばかりで、これからこのカルチャーを築き上げていくんだという気概を全プレイヤーから感じていた。

わたしが大好きだったアーティストたち、例えばTHA BLUE HARBは東京中心だった日本のヒップホップに北海道から攻撃を仕掛けた。

今でもクラシックと言われる名盤を引っさげて、東京のヒップホップアーティストをDISり、ただ音楽を聞いているだけのわたしでさえ、もしも彼らが顔を合わせれば流血沙汰の揉め事が起こるんじゃないか、そんな緊張を感じていた。

一方では、ZEEBRAがDragon AshのKJをアルバムの楽曲で、名指しでDISしたこともある。

ヒップホップについての知識が薄かったし、Dragon Ashの大ファンだったわたしの感想はZEEBRAこえー!だったし、何か彼らには簡単に犯してはいけない聖域があるんだろうと思っていた。

そんな感じで、若いアーティストたちがお互いのスタイルをぶつけ合って高めあった時代があった。

その彼らが今、「大人」になっている。

いつまでも尖ったままではいられない。

ZEEBRAも、THA BLUE HARBのMC、BOSSも50歳になる。

あの若かった二人。

ZEEBRAはフリースタイルダンジョンで、ヒップホップをついに世間一般に浸透させた。

BOSSは次々と東京のラッパーや若いラッパーと邂逅しながら、アルバム制作を重ね、ライブを続けている。

そうやって、あの頃の「ヒーロー」たちが年月を重ねていく中であがき苦しみ、変化しながら(あるいは一本の筋を通して)、今何を歌っているんだろうということにとても興味があった。

そこに現れたのがタイバニの主人公の一人、鏑木・T・虎徹だった。

鏑木・T・虎徹

虎徹には9歳の娘がいて、妻を病気で亡くした「大人」だ。

そしてワイルドタイガーという「ヒーロー」を生業にしている。

たくさんあるアニメの中にはきっと、いわゆる「おじさん」が主人公のものもあるんだろうと思うけど、わたしには初めての作品だった。

初めて見たときの感想は、「なんか冴えないし、これが主人公・・・?」みたいな感じで。

なんの前情報も仕入れてなかったから、ひょっとしたら別に主人公がいて、あとから出てくるんじゃないかと疑ってたくらいだ。

そのくらい、第一印象は悪かった。

いったいなんでそこまで印象が悪かったのかと思いだしてみると、一見してやる気のなさそうに見える態度と、頑固そうな性格だろうか。

あと旧スーツのデザイン。

そもそもシュッとしてなくて、ヒーローっぽくない。

あとでバーナビーが出てきたとき、そりゃ嫌がるよね、って思いながら見ていたけれど、その虎徹を物語が進んでいくにつれて、こんなに好きになるとは思っていなかった。

物語の初め、虎徹は徹底的にバーナビーと対比して描かれる。

イケメンで人気者のバーナビーと、ファングッズが売れなくて自分で買おうとさえする虎徹。

所属会社を追われてバーナビーの所属する会社に再雇用されるけれど、明らかにバーナビーの引き立て役として使われる。(なんたってバーナビーが赤で虎徹が緑なのだ!)

虎徹はすでに10年の活動歴があって、全盛期を過ぎている。

豊富な経験とヒーローたる自負を持った自分の前に、新人の若造がさっそうと現れて活躍するとき。

たぶんそんなとき、人は試される。

相手の良さを見なかったフリをして、どうせあんな顔だけの若造がと言いたくならないだろうか。

自分のほうがすごかったんだと過去の栄光を持ち出して、今を塗りつぶしたくなるかもしれない。

昔あれだけ頑張っていたんだから、その分を加味して今評価しろと、恨むことだってありそうだ。

そんなふうに、相手の本当を見ずにただ周囲の扱いだけで自分の価値を図って、スネたくならないだろうか。

きっと、わたしだったらスネてしまうんじゃないかと思う。

腐っていい加減に仕事をしてしまうかもしれない。

でも、虎徹はそうしなかった。

皮肉を言いながらも、自分の信じる市民の命を守るというヒーローとしての道を大切にして、活動を続ける。

バーナビーの現実主義を否定しても、それを理由にヒーローを投げ出したりいい加減なことはしなかった。

それはやっぱり、彼が自分にとって本当に何が大切かを知る「大人」で、娘を守るために生きて、大切な妻を愛したことがあったからかもしれない。

ぶつかり合う

物語の中で、虎徹とバーナビーは何度もぶつかりあった。

仕事で出会った同僚と、自分の持つ主義信条をああまでも戦わせることは簡単じゃないだろう。

適当に流せばいい。

ある程度合わせて必要なときだけ仲良くしておけばいい。

そう考えたくなる、わたしなら。

けれど虎徹はときに鈍感にバーナビーの心の内に踏み込む。

何も分かっていない、こっちは親を殺されているんだぞと言われても怯まない。

バーナビーのことを真剣に考えて必死で関わろうとする。

だって簡単なのだ、それは相手の大切な部分だから踏み込まない、と、一線を引いてしまうことは。

それをしないでバーナビーだけじゃなく仲間のヒーローと関わっていく虎徹はかっこよく、正しく人生経験を重ねた「おじさん」だった。

衰え

虎徹の能力・ハンドレッドパワーは、5分間100倍の身体能力の向上をもたらす。

物語終盤、その能力の持続時間が次第に短くなっていく。

ここでも彼は試される。

目の前に確実に迫る自身の衰え。

物語には都合のいい解決方法は登場しなかった。

画期的な薬も、友情パワーの奇跡による回復もない。

ただ残酷に事実としてそれは突きつけられる。

かつて虎徹がヒーローになるきっかけを作ったレジェンドは、ハンドレッドパワーの衰退とヒーローとしての重責から家庭内で暴力をふるい、酒浸りになった。

ヒーローとしての力が弱くなっても、虎徹の魅力が無くなるわけじゃない。

これまでにやってきた行動が否定されるわけじゃない。

外から見れば答えはそれだけだ。

でもそれが当たり前に出来る人がどれだけいるだろう。

特にヒーローとして称賛を浴びて強いスポットライトの下にいた期間が長いだけに、その葛藤は計り知れない。

なのに、虎徹はいったんヒーローを引退した後で、2部リーグのヒーローとして戻ってきた。

1部リーグではバーナビーと最新の乗り物で事件現場にかけつけていた虎徹が、2部リーグで小悪相手に、若者と一緒に自分の足で必死に走るエンディング!!

最高のエンディングで、これ以上ない虎徹の回答だった!!

この先どうなるかは映画を楽しみにしているけれど、きっと彼なら多少1部リーグの栄光を調子に乗って自慢しちゃったりするかもしれない。

だけどけっして2部のヒーローたちを馬鹿にしたり下に見たりせずに、頼れる「おじさん」でいることだろうと思う。

おしまい

書きながらうろ覚えのところもあって、見直したいなあとか、続きを見たいなあって何度も思った。

だけどひとまず溜まった思いを吐き出しておいた。

本当に素敵な物語に出会えて良かった。

紹介してくれた友人に感謝を。

わたしも虎徹のような「大人」になれるように努力を惜しまずにいたい。

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