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crafts days 2020

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作り手と使い手のつながりを作っていく新しい試みをはじめてみました。ものではなくひとに焦点を当てます。作り手自身が書いた文章を通して、作品制作の背景、思い、暮らし、興味、その日々を… もっと読む
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#陶磁

目次 - crafts days 2020 執筆者リスト

ああづ木クラフト 花塚光弘 アニマル専科 真心堂 真心職人 葵窯 坪内真弓 亜舎 曽木朝子 亜sian.h 津波古亜希 伊藤奈津美 飯村わかな 川風の調べと紡ぐ家 飯島たま 雲歩窯 河野史尚 海月羊 宇田綾 小河幸代 岡村朝子 奥村陶房 か革仕事のお店 tasola 紙束 小泉翔 からこ窯 しばたあや美 清原 遥 菊地克典・工房ととか 靴工房YUTA MITSUMORI 工房ぐるり 工房まつした 松下純一 コバヤシユウジ 工房 月慈

森の種陶工所・森和良

作品のこと森の種陶工所は、「家の作品」と「日常使いの器」、ふたつのテーマで陶器を制作しています。 「家」をテーマにした作品は、15年くらい前に、突然イメージが頭の中にぱっと現れたことがきっかけでした。 今では、ティーポットやマグカップなどの食器もありますが、初めて作り始めたのが、家の中に灯りが灯る「灯りの家」です。 作り始めたころは、家の中は空っぽでしたが、床ができ、暖炉や食器棚、テーブル、食事の様子など、人の暮らす風景も作るようになってきました。どんな家にしようかと考える

戸津圭一郎

作品 りんご灰釉8寸皿 近くのりんご園で剪定された木を頂き、ストーブで燃し、その後何度も何度も水簸して乾燥させて作った灰を含んだ釉薬です。あまり主張のない色合いですがお料理には合うかと思います……。 はじめまして 長野県内の長和町というところで焼き物を作り始め20年を超えました。人の来ない静かな山の中で毎日制作していますが自然、季節、仕事と飽きることなく生かさせていただいています。 ものづくりの相棒 20年以上使っているガス窯です。 ハマっています 山本兼一 も

雲歩窯 河野史尚

作品 室町時代の古窯を訪れた時、そこにはたくさんの陶片が散らばっていた。割れた茶わんのかけら、皿のかけら、壺のかけら、何の変哲もないかけら。大した道具も施設もなかったであろう時代にどうやってこれらを作ったのだろう。よく観てみると精製された素材ではないことが分かるが、そのひとつの破片に秘められた力を感じた。帰ってからもその思いはいつまでも続き、自分もこんな焼き物を作りたいと思った。 作品には山や川から取ってきた原料を土や釉薬として使っている。冬になると、薪ストーブから出た灰

AKI KASARA 竹廣泰介

ブローチのこと 銀彩のブローチは一見金属の様に見えますが、硬質磁器に3回以上焼成し銀を焼き付けたものです。ヤキモノですから軽く、多様な表現も可能です。 ブローチを作る上での私のコンセプトはシンプル、プリミティブ、フラット、そしてシルバー。 ブローチは胸元を飾る小さなオブジェ。洋服をプライベートな画廊空間に見立てて、心の中で移りゆく自由なイメージを、ゆっくりとカタチとして提案していきたいと思います。 はじめまして 静岡県掛川市の山里で「銀彩」という伝統技法を用いたアクセ

陶の棲 渡邊亜紗子

作品について “想像が膨らむもの”を目指し、語りかけてくるような造形作品と、食卓を華やかにする器を中心に制作しています。 器は使い勝手を考慮した形と、色鮮やかな装飾が特徴です。 色釉が少し混ざり合うように彩色しているので、窯ごとに少しづつ滲みや発色が異なるのが面白いところ。 造形作品に関しては、見る人が様々な解釈をし、想像を巡らせるきっかけになれば嬉しいと思っています。 考え方を切り替えることでそれぞれ新鮮な気持ちで制作できるため、どちらも私にとっては必要不可欠なもの

葵窯 坪内真弓

animal マグカップ 信楽の土を使い、1240度で焼き上げた丈夫な器です。 「日々の暮らしのお供に」「お茶の時間が楽しみになるように」 そんな器づくりが目標です。 器づくりについて 田園が広がる緑豊かな長野県に工房を構え、日々こつこつと制作しています。身近な草花や動物をモチーフに、作品ひとつひとつに物語を感じでもらえるような器づくりを目指しています。 大切な灯油窯 20年間メンテナンスを繰り返し使い続けている窯は大切な相棒です。最後に焼いて完結する陶芸は、窯の温

冨本 大輔

蓋付五寸丼 混じりけのない綺麗な磁器土ではなく、鉄分や砂も含む土で簡素な成形をし、呉須、鉄絵、赤絵の独楽筋(こますじ、同心円状の線)を描いた器を主につくっております。最近は左右対称の独楽筋だけではなく、ふぞろいな線も描いています。 はじめまして 愛知県常滑市でやきものをつくっております。祖父の代で窯元としてはじまり、父、そして自分へとつながっています。私がやきものをはじめた20代の頃には、刺激のある生活や強い個性に憧れましたが、この仕事を続けていくうちに、近頃は陶工や職

無限会社 岡モータース

社史 昔、郵便局で夜間のアルバイトをしていた時の事です。 目も心も疲れ切った深夜。仕事を終えて足取り重く従業員用駐車場のドアを開けると、ズラリと並んだ真っ赤な車達が何故だか「人」に見えたのでした。明日の仕事を腕組みして待っているかのような車達の迫力に圧倒され、私は咄嗟に「お疲れ様でした」と車に一礼してしまいました。駐車場を出た後もしばらくの間妙な心地でした。 車が人に見えた事にも車に一礼した自分にも心底「ギョッ」と驚いた体験がその後ずっと忘れられず、この感覚をどうにか形に

からこ窯 しばたあや美

自分が欲しいものを こちらは餃子のタレ専用の小皿です。 餃子好きからうまれたマニアックな器。 自分の欲しいに向き合って、たまには無駄と思われるような物を作っていると新たなアイデアが浮かんできます。 きっかけ 私が陶芸に興味を持ったのは高校の修学旅行でした。この時初めてロクロをさわり、粘土の気持ち良い肌触りと、どんどん形が出来ていく楽しさにあっという間に魅せられてしまいました。 その後、当時瀬戸にあった短大に進んだことにより、陶芸はさらに身近なものに。学校に通う途中に

星野友里 机上工芸舎

うつわとかたち 手びねりという技法で土に触れながらコツコツと作っています。 制作を続ける中で人が“器を使うこと”に興味を持ちました。器に触れたり、形を感じることで観るとは違った表現ができるのではないかということです。 器の中に自分の作りたい形を取り込むということには制限もたくさんありますが、その中で自分が生み出せる境界線のうつわやかたちを探しています。 つくるきっかけ 小さい頃から何でも作るのが好きで、いつからか「いろんなものを使ってつくる人になりたいなぁ」という漠

村井陽子

新しい筆で描きました 最近、今まで使っていた大切な筆が壊れてしまい、新しい筆で絵付けした最初のフクロウ。これからよろしくお願いします。 手びねりと絵付け 愛知県瀬戸市で動物のオブジェを制作しています。最初はろくろで器を作っていましたが、出産・子育てを機にそれまで何となく作っていた動物オブジェをもっと真剣に作ってみたいと思い、本格的に製作をスタート。手びねりで形を作ること、絵をつけること、削って毛並みを描くこと。どの工程も楽しく制作しています。 よるのスケッチ 夜の空

無風窯 髙木逸夫

作ること 山の中で蹴ロクロを使って作る「薪窯ライン」と、廃校の2階をお借りして制作している「灯油窯ライン」の2本立てで作陶しています。 大阪出身の自分が、ここ大分の山里に住むことになった理由の一つが「薪窯で焼くため」でした。土を焼くということの本質は、薪で焼くことあるのではと考えたからです。しかし長年それでやっていると、自分の中にそこからずれているものがある。どうもそれは「安定して焼ける」という上に乗っかる技術みたいなものかもしれない、と思いました。 そこから、釉薬もの

飯村わかな

作品 「あ、今ならかける」と朝起きてすぐに筆を取り描いた『鬼』。迷っても悩んでも、こっちだよと手をさしのべてくれる。思い出の作品になっています。 はじめまして 岐阜県の多治見市に移り住み、多治見市内の工房で作陶をしています。 山の緑と季節の流れを感じる田畑。こだわりのたくさん詰まった美味しい喫茶店。時折カモシカも立ち寄る美術館がある町で、穏やかに暮らしています。 ものづくりのきっかけ ものづくりを始めたきっかけは、たまたま立ち寄った旅先の窯元で頂いた蕎麦茶。職人が