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無限会社 岡モータース

社史

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昔、郵便局で夜間のアルバイトをしていた時の事です。
目も心も疲れ切った深夜。仕事を終えて足取り重く従業員用駐車場のドアを開けると、ズラリと並んだ真っ赤な車達が何故だか「人」に見えたのでした。明日の仕事を腕組みして待っているかのような車達の迫力に圧倒され、私は咄嗟に「お疲れ様でした」と車に一礼してしまいました。駐車場を出た後もしばらくの間妙な心地でした。

車が人に見えた事にも車に一礼した自分にも心底「ギョッ」と驚いた体験がその後ずっと忘れられず、この感覚をどうにか形にできないものかと粘土であれこれ模索し、こんな感じだと出来上がったのがタイヤを履いた人型の車「モータース」でした。

きっかけとなった郵便局モデルの車をはじまりに、様々な車を人型車にしたのち「お前もモータースにしてやろうか!」という勢いで無節操にモータース化していきました。

だんだん作り溜めたモータースで作業場が車庫のようになってきた頃、車体製造業の社長のような気持ちになり「今日も暮らしに役立たない」をキャッチコピーに無限会社岡モータースと名乗るようになりました。(香川にちゃんとした有限会社の岡モータースさんがあり、いつも申し訳なく思っています)

あれから早10数年。
気徳な方達に支えられ、おかげ様で弱小妄想企業ながら操業を続ける事が出来ています。

暮らしの役には立ちませんが、手に取った人の眉間が緩くなり、緩んだついでにお尻のラッパが「ピース」とうっかり鳴るような、緊張フリーな車体の製造を目指してこれからも日々精進していきたいと思っています。

製造について

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日常で起きた出来事、空耳、勘違い、個人的な願い、憧れ。そこにパロディやダジャレ等を混ぜ込んでモータースを組み立てていきます。見た誰かが笑う所を想像して漫画を描くように。時には憧れをのせてファンレターを書くように製造しています。

そうやって出来上がったモータースを通して、遊びにきてくれた方と色々お話しをする事が今の私の原動力になっています。

製造に欠かせない棒、5選

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・左から1、2本の木の棒
毛が抜けた筆の柄を削った物。捨てるのがもったいないので試しに削って使ってみたらなんだかんだよく使う棒になりました。主に顔を作る時に使っています。

・左から3番目の棒
常滑陶芸研究所(現.陶の森)時代に急須の先生が作ってくれた急須用の竹製のヘラです。頭の神経と繋がってるんじゃないかと思うくらい思い通りに動いてくれる魔法の棒です。ちなみに研究所では歴代ワースト5の称号をいただく成績だったので、一度も急須には使えませんでした。棒もまさか車体製造用として10年以上働かされるとは思ってなかったでしょう。棒にも先生にも後ろめたい気持ちです。

・左から4番目の棒
父が医療用メスを何処からか入手して陶芸用ナイフに加工してくれた物を工作センスゼロの私が更に加工したナイフです。主に面取り、要らない部分を削る作業に使います。この作業の時は何故か昔の恥ずかしい出来事を思い出す事が多く、よく奇声を上げながら作業しています。

・右端の棒
ワイヤー耳かきです。作業中にイヤホンを使用しているからなのか、たまに猛烈な耳の痒みに襲われる事があります。そんな時にすぐ見える所に耳かきが無いと、耳かきのためにひたすら家中を探し回る羽目になります。過去に数回これを繰り返して以降、耳かきは作業道具の仲間になりました。ちなみにこのワイヤー耳かき、引くほど「お宝」が取れます。

2020年秋〜冬の美味しい課題

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焼き物技術を向上するべく様々な物を最適な状態に焼き上げる実験に取り組んでいます。

以下、対流式ストーブを用いた焼成実験の成果報告です。

・お芋
まずストーブの上にブリキ製の焼き芋器「焼き芋やっくん」を据えます(記憶違いで「もっくん」だったかもしれません。しかし「フッくん」でない事は確かです)。中によく洗ったお芋をゆとりをとって入れ、ゆる火でじっくり焼きます。お部屋にお芋のアロマが満ちてきたら焼き具合を確認して完成です。この時に極度の空腹状態だとタイミングを見誤り固いお芋を齧る事になるので焼く時のコンディションには十分注意が必要です。

・干し芋(角切り)
ストーブに焼き網を乗せて干し芋を並べます。
焼き色を見ながらひっくり返し、全面を均等に焼いていきます。
一部カラメル色になったら速やかにお皿に移します。
お皿に移したばかりの熱い干し芋を口に入れた場合飴状になった芋が奥歯にくっ付き、お芋の銀歯状態になり大変危険です。必ず人肌程度に冷ましてから口に運びましょう。

・ヤ◯ザキ ケーキドーナツ
ストーブに網を直接敷いただけでは焼成の際にドーナツの油が染みる、又は砂糖が焦げたりする場合があるので網を適当な物で浮かせます。
網の上にドーナツを並べて油がジュクジュクと音を立てるまで焼いていきます。
溶けた砂糖で火傷しないよう注意しながらひっくり返し、もう片方もサックリするまで焼きます。
程よく焼けたら網ごと更に移し、粗熱を取れば完成です。
キッチンペーパーで油を切ると食感と罪悪感が少し軽くなります。
油が染みた菓子パン類は焼くと別人級に変化するというデータが出ているので、油パン関連でしばらく実験ができそうです。

今年は去年より厳しい寒さになるそうなので、実験が例年より捗りそうな見込みです。

来年ストーブを仕舞い始める頃に実験結果のレポートをまとめる予定なので、詳細が気になる方がいらっしゃいましたら「レポートどうなりました?」と気軽にお声かけください。実験で丸くなった社長が口頭で報告させていただきます。美味しい実験について熱弁できる日を心より楽しみにしております。